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新業務システムのパイロット開発

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(設問ア)
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ア−1.B社の事業内容
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 B社は従業員300名の中堅建設業である。プラント
分野の建設工事の請負を事業の中心としてきた。近年、
プラント分野の需要減少・採算性悪化で、一般建築分野
に進出した。B社の新事業分野は、アパート・マンショ
ン・一戸建ての新築工事だけでなく、改築・改修なども
含む。このため、従来と比較して、業務内容が大幅に変
化した。
 a.特定少数顧客から不特定多数顧客へ
 b.扱う工種・資材および協力会社の増大
また、B社では、新事業分野進出と同時にISO900
0の認定も取得した。

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ア−2.業務システムのニーズ
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 B社の情報システムは、15年前に開発した勘定系し
かなく、決算業務に特化していた。B社の事業本部は、
次の目的で新業務システムの企画を模索していた。
 a.定型文書の作成作業の効率化
 b.承認・稟議ルーチンの能率化、迅速化
 c.顧客・案件・工事などの情報の一元管理と活用

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ア−3.システム化の構想
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 わたしは、B社から業務システムの開発計画のコンサ
ルテーションを受託した。前述のような説明をもとに、
現行調査と共にシステム化の構想を練った。a.とb.はさ
ほど困難であるとは思えないが、問題はである。一般
建築分野は新規進出であるので、標準的な業務プロセス
がまだ定まってない。
 わたしは、次のようなシステム化を構想した。
 a.DBMSをカプセル化したテーブルの集合
 b.DBMSを組み合わせたユーザインタフェース
 c.単機能の作業ツールの集合
 d.以上を業務日報と合わせたWebポータル

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(設問イ)
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イ−1.B社の情報環境
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 B社では、一人1台のPCが配備されており、本社と
12の支店にはLANが導入され、専用回線による
WANが構築されていた。事業部員の7割は、表計算に
よる文書・予算作成が問題なくできる。しかし、部員の
PCユーズは主にデータの蓄積に使われ、LANによる
情報の共有はあまり普及していなかった。
 また、システム化説明会後のアンケートなどを集計す
ると、部員の6割以上がシステム化の効果として「楽に
なる」「儲けにつながる」と回答していた。

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イ−2.部門システムと想定リスク
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 わたしが構想したシステムは、業務で発生する情報・
データを業務日報という形でシステムに吸い上げ、DB
に整理・蓄積した上で、作業ツールの中で提供するもの
である。本来、業務フローの中に取りこまれるべきプロ
セスが、作業ツールの形で独立している。標準業務フ
ローの定義が困難な状況で、システムの現実性を追求し
た結果であった。
 しかし、業務情報を網羅的に収集する必要性から、業
務日報は従来よりかなり多くの項目を記載してもらわね
ばならない。
 ここで、次のようなリスクが想定される。

 a.システムはいわゆる逐次蓄積・提供型である。入力
  がなければ、すなわち機能は発揮されない。情報を
  共有・提供するという発想・認識が低い中で従来よ
  り多項目の業務日報が日常記載され得るか?

 b.システム化の効果がユーザの目に見えにくい。シス
  テム化に対する期待度が大きいので、少しの失望感
  でも拡大波及され、影響が大きい。

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イ−3.対策とパイロット運用
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 わたしは、前述リスクに対して次のような対策を考え
た。
 a.導入前研修会として業務のモデル化、情報の共有・
  活用などの研修・演習を行い、意識改革を図る
 b.システムで提供する作業ツールを充実し、ユーザの
  期待感を満足させ、利用度向上を図る
 c.対象部門を限定してシステムの導入・運用を行い、
  検証する。これをモデルケースとして、事業部全体
  に対象を拡大する

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イ−4.パイロット対象部門の選定
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 事業本部からは、建築一部をパイロット対象として指
定された。PCに詳しい若手が多く、部長もプラント分
野からのベテランである。しかも業績がよく、協力が得
られるであろうということであった。
 しかし、わたしは、PCリテラシ度が低く、部長も経
験が浅い、かつ業績の悪い建築二部を対象として選定し
た。

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(設問ウ)
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ウ−1.パイロット運用の評価
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 わたしは、建築二部でのパイロット運用をユーザの利
用度とDBの蓄積度を主な指標に検証した。システムは
Webアプリであったため、閲覧されただけの画面もア
クセス回数として集計でき、ユーザ別に関心度を分析で
きる。
 最も多い利用パターンとしては、作業ツールの機能を
確かめ、それから業務日報の必要事項を書きこむという
ものであった。作業ツールの利用度の高いユーザは、業
務日報をほぼ全項目にわたって記載していた。
 また、建築二部を対象としたので、ユーザインタ
フェースの使い勝手や、業績・収益に直結する作業ツー
ルの機能などストレートな意見・要望が反応として得ら
れた。

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ウ−2.パイロット運用結果の反映
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 わたしは、建築二部でのパイロット運用を予定の3ヶ
月から5ヶ月に延長した。成約度や予想利益度などの目
に見える成果が固定されるまで、事業部全体への導入を
待った。B社トップには、機能の追加・改造ということ
で了承してもらった。
 実際に、研修会やパイロット運用の反応から、インタ
フェースの改造、リンクの見なおし、作業ツールの追加
も行った。さらに、早期に利用度を上げるために、顧客・
商品・営業日報などの実績データをあらかじめ入力して
おく事にした。
 全社導入に先だって、成功事例として建築二部部長か
ら説明会に立ってもらった。





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