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大型運輸トラック配車仲介業の情報戦略立案

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(設問ア)
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1.企業の枠を超えた業務プロセスの統合について
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1.1 統合を進めることに至った背景と統合のねらい
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 H社はクレーン、シャベル等の重機、および、大型鉄
骨資材等を専門に扱い、これらの荷主の依頼を受け、大
型トラックを持つ協力会社(運輸会社)に対する、運送
業務の仲介を主な業務としている。
 ”大物貨物”に対するノウハウ、そして、信頼できる
協力会社を多く持つことにより、荷主からは継続して安
定した配車依頼を頂いている。
 しかしながら、近年のデフレ傾向により荷主からの単
価ダウン要請に迫られ、減益傾向が続いていた。
 このような状況下、荷主からの運送依頼〜配車手配ま
での業務について、協力運輸会社を含め統合化した業務
プロセスに変革し、顧客サービスの向上と物流コストの
削減を目指し、スピードアップを図ることが大きな課題
となってきた。

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1.2 対象業務プロセスの概要
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 H社から、この課題について、IT活用戦略を提案し
てほしいとの依頼を受け、私はシステムアナリストとし
て、この情報戦略の立案を担当した。
 H社の現行状況をヒアリングしたところ、オフコンを
導入しており、トラック運輸業務支援パッケージソフト
を利用して、これらの配車手続きを行っているが、運輸
会社への配車手配とその調整をFAXと電話とで行って
おり、これに掛かる手間が最も大きいとのことであった。
 これらの業務プロセスは次の通りである。
(1) 荷主からの配車依頼
(2) 協力運輸会社のピックアップ
(3) 見積もり要請
(4) 協力運輸会社からの見積もり授受
(5) 協力運輸会社の選定と配車スケジュールの調整
(6) 荷主への運送スケジュール連絡


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(設問イ)
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2.ITを活用した業務プロセス統合の立案と工夫点
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2.1 ITを活用した業務プロセス統合の立案内容
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 私は、現行業務プロセスフローを作成し、それぞれの
プロセスに掛かる時間と人間系の作業を整理した。その
結果、協力運輸会社のピックアップ、すなわち、空車を
見つけ出す作業に最も時間が掛かっており、この効率化
が大きなポイントとなることをつきとめた。
 この対策として、空車の割り出しの自動化を狙いと
し、協力運輸会社の配車スケジュール立案業務と、H社
での空車の検索・ピックアップ業務プロセスを統合し、
Webシステムにて連携させることを私は立案した。
 この結果、統合前と統合後においては次に示すように
大きな改善が図られた。
(1) 統合前
 協力運輸会社のピックアップは全て、電話で問い合わ
せをしていた。
(2) 統合後
 インターネットWebシステムにより、リアルタイム
に空車検索を行う事が可能となった。

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2.2 私が特に重要と考え工夫した点
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 私は今回の情報戦略の立案において、次の具体的工夫
を実施した。

(1) 協力運輸会社の配車スケジュール立案と空車検索の
Webシステム化
 私は同業他社の成功事例の調査を行った、ここで救車
救貨システムを知った。これはWeb上で荷主からの運
輸トラック要求と運輸会社からの貨物要求のマッチング
を行うシステムである。
 私はこれをベースに協力会社の配車スケジュール立案
システムを組み合わせ、空車の検索を可能にすることを
考えた。
 現在、ハンドでスケジュールしている運輸会社が多く、
配車スケジュール立案をシステム化するにより、協力会
社の事務処理の効率化も図れるのである、なお、このシ
ステムは無償で提供することし、協力運輸会社とのさら
なるアライアンス強化をめざした。
 ここでのポイントは協力運輸会社の配車スケジュール
のデータを検索することにより、空車トラック情報をリ
アルタイムにピックアップすることを可能にした点であ
る。加えて、帰路の貨物なしのトラックも対象として
ピックアップすることし、更なる経費削減を狙った。
具体的な業務プロセスとしては次の2パターンがあ
る。

a.長期的、工事件名毎の運輸案件
(工事が完了するまで、運輸サービスを継続して提供)
 これについては、H社で運輸データを入力し、求車要
求をWebシステムに登録し、協力運輸会社の見積りを
待つ。

b.短期的、単発運輸案件
 特にスピートがもとめられる、Webにて空車検索を
行い、ヒットした協力運輸会社との配車契約を結ぶ。

(2) 外部委託業者であるIDC(インターネットデータ
センタ)の採用
 H社において、システム開発、サーバの維持・運用に
は要員・技術的に困難であり、システム開発およびサー
ビス支援をIDCに委託することとした。
 私は次の手順でこれを進めた。

a.要求仕様定義
 インターネットシステムに対する要求定義をまとめた。

b.提案要求書(RFP)の作成
 要求仕様定義、サービスレベル、開発体制、セキュリ
ティを含む補償要件、契約内容等を網羅し、提案要求書
を作成した。

c.委託業者の選定
 3社のIDCの中から、
・セキュリティに関するプライバシーマーク制度の認定
 を受けていること。
・同業他社でのインターネット開発実績があること。
 などの理由によりC社を選定し委託した。



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(設問ウ)
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3.評価
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 この協力運輸会社の配車スケジュール立案とH社の空
車検索のふたつの業務プロセスの統合により、荷主への
配車確定連絡に至る期間が平均3日から1日へと大幅短
縮された。
 これにより、生まれた余裕工数は本来の営業活動、す
なわち、新規顧客の獲得、協力運輸会社に対する教育等
に割り当てることが可能となった。
 課題としては、まだまだ、配車スケジュールをペー
パーで立案している協力会社が2割程度あり、これらへ
のメリットの説明と、インターネット配車スケジュール
立案システムの利便性の向上などの対策が必要であると
感じている。
 今後は、さらなる物流サービス向上、物流効率向上を
目指し、貨物所在地情報、車両所在地情報の把握及び提
供ができるよう、GPSの導入検討も視野に入れるべき
と考えている。

                          以上





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