一過性の腰痛と慢性の腰痛
腰に不安や痛みを感じている人は、日本人の中では2割から3割もいると言われています。
腰痛には、それまで何ともなかったのにある原因が元で急激に生じる「一過性の腰痛」と、継続的にずっと痛い「慢性の腰痛」があります。
■一過性の腰痛
一過性の腰痛は急性腰痛症とも呼ばれています。
この場合、原因として考えられるのは、ぎっくり腰・椎間板ヘルニア・脊椎圧迫骨折・腰部脊柱管狭窄症・脊椎すべり症・悪性腫瘍・化膿性脊椎炎などです。
■慢性の腰痛
2,3ヶ月以上痛みが続いている場合、慢性の腰痛と言えます。
原因として考えられているのは、変形性脊椎症・椎間板ヘルニア・腰椎分離症・椎間関節性腰椎症・内臓の疾患、あるいは原因不明の腰痛症などです。
慢性疾患の場合、原因が特定できる場合とできない場合があり、また、内臓が悪くても腰に痛みが来るなど、原因とは別のところで痛みが発生する場合もあり、痛みの原因の特定が難しい場合もあります。
内蔵の病気が原因で起こる腰痛
一過性の腰痛でも、慢性の腰痛でも、腰が痛いということには変わりありません。腰痛は単に腰だけの問題ではない場合もあり、内臓の病気が関わってきている場合もあります。
まず考えられるのは、内臓に腫瘍が出来たことにより、痛みが発生することです。
腎臓・胃・前立腺・子宮などに腫瘍ができた際に、腰が痛くなる場合があります。この場合、楽な姿勢をとっていても痛みを感じることになります。
また、腎臓が原因となっているケースもあり、腎臓結石・腎梗塞が起こった時に痛みを感じることがあります。
これは、腎臓から伸びている神経と腰から伸びている神経が、体の中の同じところを通っていることが原因で、本来であれば腎臓に痛みを感じるところを、腰の痛みと勘違いしてしまうのです。
また、女性特有ですが、子宮筋腫・生理痛・卵巣嚢腫・月経困難症などが腰痛の原因となることもあります。
特に子宮筋腫に関してですが、この病気は、子宮の筋層に腫瘍(良性)ができるものですが、女性の20%が発症し、さらに0.5%ほどが悪性化すると言われている病気です。
患部が腫れ上がって、臓器や神経を圧迫し痛みを生じさせるのです。
また、これら以外に考えられているのが腹部大動脈瘤・大動脈解離・急性膵炎・十二指腸潰瘍・膀胱炎・胃の不調などで、原因として考えられるものには様々な病気があります。
整形外科で診察を受けたり治療しているのに、あまり変わらないという場合は内科や婦人科の診察を受けてみることが大切です。
筋肉が原因で起こる腰痛
内臓の病気よりは、まだ、こちらの方が原因としては良い方かも知れません。
腰周りにある大腰筋(だいようきん)と呼ばれる、背骨から腰につながっている筋肉があります。上半身と下半身を結んでいるとも言える筋肉です。
この大腰筋は、まっすぐ立った時に体の姿勢を整える役目をしています。ですが、他の全ての筋肉と同様、歳をとっていくと衰えてきます。
負担が過度にかかったり疲労したりすると、この大腰筋が縮んだりこわばってしまうことがあり、疲労物質がたまるとともに血行が悪い状態が続いてしまいます。
特に普段運動不足の人は疲労しやすく、ここが原因で腰が痛くなった場合は、まずは緊張を解いてコリをほぐすことが重要です。またこの筋肉だけでなく周囲にある関係性が高い筋肉に対しても同様にマッサージなどを行ってみます。
骨格の歪みが原因で起こる腰痛
人間の体を正面から見るともちろん左右対象にできているのですが、これが骨格という観点から見たらどうでしょうか。
普段、我々が生活している中では様々な場面があります。仕事も趣味もスポーツもしていく中で、左右が不均等な動きや姿勢をとっていることも多いものです。
いつも利き手でカバンを持つ、同じ肩にカバンをかける、いつも同じ脚を上にして脚を組む、ゴルフやテニス、野球など、同じ方向の腰の回転をよく使う、といったことです。
これらが長年に渡ると、少しずつ骨格がずれて左右が微妙に均等ではなくなってきてしまいます。
特に腰を形成する骨盤は、いくつかの骨が集まって出来ている部分であり、ここに骨と骨の隙間が開いたり歪んできたりすると腰痛の原因となります。
不自然な体勢が続いたらストレッチをしたり、左右の不均等な習慣で直せるものは直し、また、腰に違和感がある人であれば、骨盤矯正のコルセットを使ってみましょう。
寝る姿勢も腰痛に影響します
時々、家に帰った時に畳に横になって枕もせずに横たわっていたら、そのまま何時間か寝てしまい、起きた時に腰が痛くなっていることがあります。硬い畳の上で寝ていたせいでしょうね。
寝る時の姿勢や寝具というものは、やはり腰に結構な影響を与えます。
大体、人間は寝相をコントロールできるものではありませんが、布団に入って眠りにつく瞬間は人それぞれ、もっとも寝やすい姿勢になっているのが普通です。
仰向けか横向きがほとんどですが、うつ伏せで寝る人もいます。
仰向けの人は薄い座布団などを腰のくびれの部分に差し込むと少し楽になります。また、ひざの下に置くことでも楽な姿勢になります。
横の姿勢の場合は抱き枕を抱くことにより、腰が不用意にねじれるのを防ぐことができます。
また、うつ伏せで寝る場合は、腹の下とすねの下に座布団などを入れることで前方向への反りを止めることが出来ます。
会社のデスクワークで腰痛になる
毎日、何時間も同じ姿勢をとり続けるというのは非常に腰に負担をかけ、腰痛の原因にもなりやすいものです。
デスクワークもそうですが、運転の仕事をしている人にも腰痛の人が多いです。
時々体操などをして体を動かすのが理想ですが、仕事中にそういうことも出来ません。せめて、筋肉や筋(すじ)を伸ばす動きをしてみましょう。
上半身全体を、上や斜め上の方に伸ばしたり、緩やかに腰を回転させるなどして腰周りの筋肉を伸ばしましょう。
また休憩時間にはできるだけ歩くように心がけたり、前屈などをして、ストレッチの体操を行うと良いですね。
ですが前屈といっても、勢いよく体を曲げるとかえって腰を痛めることもありますので、ゆっくりと少しずつ行うようにするのが理想です。
また、寒いと血行が悪くなり、筋肉も凝り固まりやすくなりますので、ひざ掛けやカイロを使ったりして体を冷やさないように心がけましょう。
腰痛になりやすい姿勢
イスに座った状態というのは、確かにずっと立ち仕事をしているよりは腰も体も楽です。ですが、何時間も座っていれば、その座り方や姿勢が問題で、悪い姿勢を長時間毎日取り続ければ、やはり腰痛の原因になってしまいます。
一番悪いのは猫背になって、背中を丸めたような姿勢をずっととり続けることです。パソコンを操作する人だったらついありがちですね。
また、顔を洗う時などは、上半身を倒して背中を丸めるような猫背の姿勢になってしまうのは普通ですが、その姿勢のままで横にあるものを取ろうとしたり、体をひねったりすると、その瞬間、腰を痛めることがあります。
猫背にひねりが加わる体勢というのは油断は禁物で、日常生活でも色々な場面で遭遇しますから、腰痛にならないように十分に気をつけましょう。
女性特有の、出産後の腰痛
女性特有の症状として、出産後に腰痛になる人がいます。この場合、一般的な腰痛とは原因が大きく異なります。
出産後の腰痛の原因として考えられるのは、狭い体内を大きな赤ちゃんが通り抜ける時に、骨や関節、骨の接合部位などに大きな負担がかかることです。
特に仙腸関節や恥骨結合部位などの骨のつなぎ目部分は押し広げられることになり、結合部分が緩むことで腰に痛みが生じることになるのです。
この場合、一般的な腰痛体操とは違い、産後体操と呼ばれる体操を行うようにします。
体操以外では、骨盤ベルトやコルセットなどの、骨盤を締めたり矯正したりする器具も出ていますので、そちらも活用してみます。
また出産後に腰が痛くなるのはそれだけが原因ではなく、分泌されるホルモンが一因となっている場合もあります。
女性は出産時に、赤ちゃんが通りやすくなるために関節や結合部分をゆるくする働きのあるホルモンが分泌されています。このホルモンが腰の痛みの遠因となっている時もあるのです。
もちろん、ホルモンの分泌を自分でコントロールすることは出来ませんが、しばらくたてば落ち着いてきますので、その間しばらくは腰痛対策として骨盤ベルトなどで乗り切ることになります。
腰痛を予防する体操やエクササイズ
体操を行うことによって、筋肉や腱を伸ばして、こわばりをほぐします。ストレッチをすることで痛みの原因のひとつである、凝り固まった腰周りの筋肉をほぐすことが出来ます。
・仰向けに寝た状態でゆっくりと足を持ち上げ、無理がない程度に手でひざを抱えるポーズをとります。
・また、仰向けの状態でひざを曲げたまま足を上げて、上半身はそのままにゆっくり腰を回転させつつ、上げた足を反対方向の床にもっていきます。
この二つの運動はゆっくりと行うことがポイントです。
また、筋肉に刺激を与えるためのエクササイズとして、動きの少ない腹筋を行います。
仰向けになって両ひざを立て、上半身をゆっくりと少しだけ上げます。おへそを見る感覚です。これだけでも、腹筋に刺激を与えられます。
また、同じく、仰向けになって両ひざを立てているこの姿勢で、今度はゆっくりと腰だけを上方向に上げるエクササイズもあります。背中とお尻の筋肉に刺激を与えることができます。
ただこうしたエクササイズは必ずしもすべての方に有効というわけではなく、すでに腰が痛い人が行う場合はかなりの注意が必要です。
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