Top Page 文書館 No.003 No.001
A君が電話ボックスで、電話をかけていた。 そこへ向こうから高級車のセルシオがやってきて、A君の電話ボックスのすぐ横へ車を停めた。運転席と助手席から二人の男が降りてくる。 降りてきた男たちは、どっからどう見ても一般人ではない。髪型といいスーツといい、誰が見ても完全にヤクザである。 二人のヤクザはそのまま道路を歩いていき、向こうの自動販売機でジュースを買っている。どうやら自分には無関係みたいだ。A君は少しホッとして、そのまま電話を続けていた。 そこへ今度は後ろの方から凄い音を立ててソアラがやってきた。このソアラも、これがまたマフラーを始めとして、改造しまくっているような、族かヤンキーが乗っているのがはっきりと分かるようなソアラであった。 道路の幅は狭い。前にいるセルシオが邪魔でソアラは通れない。ソアラにも二人の男が乗っていたようだ。両側の窓があき、二人の男が 「どかんかい!! コラ!!!」「どこに停めとんや!! ボケ!!」と、怒鳴り始めた。 A君が、ちらっとソアラの方へ目をやると、ヤンキーたちはこっちの方を見ながら怒鳴っている。 「横のセルシオを、俺の(A君)のものと勘違いしているのか・・?俺に怒鳴ったってどうしようも出来ないっての。」 A君はそう思いながらも、面白いからますます勘違いを誘発するかのようにわざとヤンキーたちに背中を向けた。 ついでにヤクザのほうもチラッと見てみると、ジュースを片手にタバコを吸いながらなごやかに談笑している。こっちの騒ぎの気づいてないわけはないのに。 ヤンキーたちは「パパーー!! パ パ パ パ ーー!!」と、クラクションも鳴らしまくる。ついに助手席からヤンキーの一人が降りてきた。 「ブッ殺すぞ!!コラ!! いつまで電話かけとんや!! 邪魔や、言うとるだろうが!!クソボケ!!」と、ついに電話ボックスを蹴り始めた。 A君も中で電話をかけながらひたすら耐える。そこへやっと二人のヤクザがゆっくりと戻ってきた。それぞれセルシオのドアに手をかけてヤンキーの方をちらっと見る。 その瞬間、電話ボックスを蹴っていた男はダッシュでソアラに乗り込み、ソアラそのものは、もの凄い勢いでバックして、後ろの路地に尻から突っ込んで方向転換し、反対方向へと猛スピードで走り去って行った。事実が分かってビビリまくったんだろうか。 対するヤクザたちは何事もなかったかのようにゆっくりとセルシオを発進させ、立ち去って行った。格の違いをまざまざと見せつけられたような一場面であった。 |