Top Page 文書館 No.032 No.030
かつて公共料金を溜めまくっている人がいた。 携帯は常に滞納していて、毎月のように月末になると止められる。家賃は7ヶ月くらい、ガス代もなかなか払わないで、たびたび止められている。ただ水道だけは8ヶ月滞納しているのに、まだ止められていないと言っていた。水道は命に関わるので、止めるのは結構遅いらしい。ただ、これは10年くらい前の話なので、現在の、水道を止められる基準は知りません。 ある日彼が飲みに行って帰ってくると、電気を止められていた。部屋の灯りをつけようとしても全然つかない。ここでとうとう彼もアタマにきてしまった。あまりにもしょっちゅうライフラインを止められるので腹が立ったのだ。 すぐに電力会社に怒りの電話をかけた。 「○○市の××という者ですが、お前んところは一体どういうつもりや! 勝手に電気止めるなー! すぐつけい! 不便だろーが! 」 電話に出たのはその日の宿直の、何か気の弱そうな人だったらしい。 「あ・・いえいえ、あの・・料金を払っていただかないと止めざるを得ないような状況になってしまいまして・・誠に申し訳ありません・・。」 「料金もクソもあるか! さっさとつけいや! 」 「す、すいません・・払っていただかなければ・・すいません、すいません。」 「そんなに言うんだったら、今から払いに行ったるけえ、お前、そこ動くなよ、ええかコラ! 」 電話を切って彼は電力会社へと向かった。時間は夜中の12時を過ぎていた。電力会社に着くと、建物の門の外に誰か立っている。どうやらさっき電話に出た人らしい。わざわざ外まで出て彼を待っていたのだ。彼が車から降りると、すぐにその人が走って近寄って来た。 「す、すいません、すいません! 電気を止めてしまいましたあ! 誠にすいませんでしたーっ」 「お前か、さっき電話に出たのは! 払いに来てやったけえ、さっさとつけいや! 」 と言って叩きつけるように、ピシャーっと、一ヶ月分払ってやった。 「今日はこれで帰ってやるがのぉ、これから気ぃつけいや! 分かったか! 」 「は、はい、誠にすいませんでした! すいません、すいません! 」 と、何度も何度も電力会社の人は謝っていたという。 なんか謝る方が違うような気がするのは、気のせいだろうか。 |