多くの本に書かれ、恐怖映画のモデルともなった猟奇的殺人者のエド・ゲインは、1906年、ウィスコンシン州で生まれ、1957年に逮捕されるまで、少なくとも15人以上は殺害している。

たが彼が世間の注目を集めたのは、殺害した人数よりもむしろ、彼が死体に対して・・死体から切り取った部分に対して異常な執着を持っていたという点である。

まず、彼が最初の殺人を犯す前には友人に協力を頼んで、一緒に墓を掘り起こしては埋葬されていた死体を切り刻み、色んな部分をコレクションしていたと言われている。

だが色んな墓を掘り起こしていると、時には白骨化した死体に当たったりして効率がよくない。欲しいのは新鮮な死体なのだ。そこで彼は新聞の死亡欄を毎日チェックして、自分の望む死体を手にいれる努力も怠らなかったようだ。

だがしばらくして、この協力してくれていた友人は精神病院へと送られることになる。独りぼっちになってしまったゲインは、この頃から殺人者へと変貌を遂げることとなった。

1954年、ゲインはマリー・ホーガンという酒場の経営をしている女性を射殺し、その死体を自宅に運んだ。そして1957年にはバーニス・ワーデンという金物店の経営者を殺害した。この間、約3年。

その間にどれだけの人間を手にかけたのかは定かではないが、とにかくこの金物店の経営者を殺害した事件でアシがつき、警察が彼の自宅に踏み込むこととなった。

バーニス・ワーデン氏殺害の容疑者として逮捕の予定であったが、突入した警官隊がゲインの自宅で見た光景は、まさに凄惨の一言であった。

冷蔵庫には大量に人間の内臓が詰め込まれ、靴箱の中からは切断された9人分の女性器、そぎ落とされた鼻、そして人間の皮膚で作ったストッキングも発見された。

また、台所のフライパンの上には、明らかに人間の心臓であろうという臓器が乗せられていた。

ベッドの上には頭蓋骨が並べられ、壁には顔の皮膚をきれいに剥(は)ぎ取ったデスマスクが9人分ほどかけられていた。骨と皮で作られた家具や太鼓、頭蓋骨で作った食器、女性の皮膚で作ったベスト・・そして女性の生首が10人分ほど発見された。


ゲインはこれらの作品群をとても大切にし、オイルを塗って手入れをし、デスマスクには口紅をさし、女性器にもリボンをつけて飾ることも行っていた。

また、倉庫の方からは首を切断されて逆さ吊りにされた女性の死体も発見された。現場検証を行った警官の話によると、少なくとも15人分の女性の死体があったということである。

ゲインは死体を切り刻む時には自分で作った人間の皮のベストを着け、同じく皮で作ったマスクをつけて踊り狂いながらこれらの儀式を行っていたという。

逮捕されたゲインは、しばらくしてミネソタ州の精神病院に送られ、1984年にそこで生涯を終えた。


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