Top Page 心霊現象の小部屋 No.07 No.05
彼女は、どこにでもいるような、普通のOLである。彼女には以前、証券会社に勤めていた彼がいたが、性格の不一致からか、2年くらい前に別れてしまい、今は別の人と付き合っている。 ある日、彼女が会社からの帰り、いつものように駅から出てくると、なんとそこで昔の彼にばったり出会ってしまった。 「やぁ、久しぶりじゃないか。元気してる?あれからどう?」こんな感じで、男は彼女に話しかけてきた。 「あ・・木戸さん(仮名)、こんにちは。お久しぶりです。」彼女としてはあまり顔を合わせたくない相手だった。一応の挨拶だけをして、その場から立ち去ろうとしたのだが、その「木戸さん」は更に話しかけてきた。 「ねぇ、久しぶりに一緒に食事でもしない? 以前二人でよく行ったあの店、まだ覚えてる?」こんな感じでしつこく食事に誘う。まぁ一回ぐらいなら、と思い、昔の彼と久しぶりに食事をした。 食事が終わると、今度は彼女の家に行きたいと言い出した。 「あの・・私たち、もう、終わった仲だから・・。」と何とか断ろうとしたのだが、「いいじゃないか」の連発で、男は強引に家までついてきてしまった。 そのままずうずうしく上がり込む。彼女の方もしかたなくコーヒーくらいは出す。時間にして一時間くらいか・・ やっと帰ってくれた。 そして次の日、彼女が会社から帰ってご飯じたくをしていると「ピンポン」とベルが鳴る。ドアを開けてみると、また、昨日の男だ。木戸さんだ。「やぁ、今日もきちゃったよ。」とか言いながら、また勝手に家にあがってくる。 「困ります。帰って下さい!」追い返そうとしたのだがきかない。しかもイスに座って、あつかましくコーヒーまで要求してくる。 どうやらまたヨリを戻して付き合って欲しいらしい。「別れてやっと分かったんだ。僕には君しかいないってことを!」男は必死に口説く。 しかし彼女には、今はもう、そんな気はない。「少し考えさせて。」と言ってやっと帰ってもらった。 そして更に次の日。「ピンポン」とベルが鳴る。また来た。これで3日連続だ。「困ります。私、もう、そんな気ないんです。付き合ってる人もいるんです!」今日はドアにチェーンをかけたまま対応した。中には入れなかった。しばらくするとあきらめて帰ったようだ。 毎晩、昔の彼が自分の家に来ているなんて、今の彼に知られたらえらいことになる。「しかたない、こんなことはしたくないけど、木戸さんの会社の人に注意してもらおう。」 自分と付き合ってた時と、会社も部署も変わってないと言ってた。翌日、その木戸さんの会社に電話をかけ、人事部につないでもらった。 「あの私、○○と言います。私もこんなことはしたくなかったんですが、実はお宅の会社の○○部の木戸さんにしつこく付きまとわれて、すごく迷惑してます。申し訳ないんですが、そちらの会社の上司から注意していただけませんでしょうか。」と、彼女は訴えた。 しかし相手の人事部の部長から返ってきた言葉は意外なものだった。「木戸? 木戸ですって!? 木戸だったら一週間くらい前に交通事故で死んでますよ。なにかの間違いじゃないですか。」 彼女は驚きのあまり言葉を失った。 「だったら、あの人はなんなの・・? 私の家に上がり込んで、コーヒーまで飲んで帰ったあの人は・・。」 そしてその日の夜、男はもう、来なかった。 |