Top Page 心霊現象の小部屋 No.21 No.19
親の反対を押し切って香織さん(仮名)は、モデルを夢見て上京してきた。東京へ出てきた香織さんは、ある6畳一間のワンルームマンションを借りてモデルの養成学校へと通いだした。 何事もなく一ヶ月が過ぎたのだが、ある晩、夜中の10時ごろ布団に入った香織さんはふと目を覚ました。時計をみると0時。急にトイレに行きたくなった香織さんはトイレへと向かう。トイレの戸を開けるとなぜか明かりがついていた。 「変ね・・。確かに寝る前に電気は切ったはずなのに・・。」と思った瞬間のことである。「ザッバーッン!」と、突然トイレの水が流れ出した。びっくりして背筋が震え上がった。手も触れていないのに、なぜ急に・・?! その日はそれ以上のことは何も起こらなかったが、この日から奇妙なことが次々と起こり始めた。置いていたものが勝手に動いていたり、変な物音が聞こえてきたり・・。 頭をよぎったのは「昔、この部屋で人が死んだりして、その霊がいるんじゃないだろうか。」ということだった。だが不動産屋に問い合わせてみても「当方ではそのようなことは聞いておりません。」という返事しかもらえなかった。 思い余ってマンションの住人に聞いてみることにした。するとそこに10年くらい住んでいるという人が、 「そうです。あの部屋では昔、大学生が手首を切って自殺したんですよ。それ以来、出るんですよ、あの部屋。今までもあの部屋に住んでいた人はいましたが、みんなすぐに引っ越して行ってしまいました。あなたで4人か5人目ですよ。あなたも祟(たた)られないうちに早く引っ越したほうがいいですよ。」 と教えてくれた。「やっぱり・・。」A子さんは改めて怖くなってきたが、引っ越すといっても金に余裕がない。親の反対を押し切って上京してきただけに親を頼ることも出来ない。 近くの神社へ行ってお札をもらってきて、それを壁にはりつけることにした。その効果があってか、それからしばらくは何もおこらなかった。ところがある晩、彼女が風呂に入ってシャワーで髪を洗っていると、突然シャワーがピタッと止まってしまった。 一瞬、霊のことが頭をよぎる。すぐにお経を唱え始めると、またシャワーは出始めた。ほっとしたのもつかの間。今度は髪を洗っている自分の手ごたえが何かおかしい。何かぬるっとしたような感じ・・。 「あっ!!」次の瞬間香織さんは悲鳴をあげた。彼女の自慢の長い髪がごっそりと、かたまりになって抜け落ちてしまったのだ。「きゃあぁーっ!!」とまた悲鳴をあげる。すると今度は風呂場の電球が、パリーン!と音を立てて砕け散った。 少々のことなら我慢したかも知れないが、霊の影響が、モデルの命である容姿にまで影響を与え始めたとなったら耐えられない。恐怖で固まってしまった香織さんはその日は一睡も出来ずに、次の日泣く泣く両親に電話して引越しのお金を都合してもらい、すぐに引っ越していった。 |