ブラッディウァリアーズ シャンゴーの逆襲 |
フィールド型 コマンド式RPG。 経験値を得る通常の戦闘は、よくあるコマンド式の戦闘だが、要所要所で、部下の兵隊を使ったユニット式のタクティカルバトルになる。 仲間になるのは8人 |
オークみたいなこの顔が、 主人公のナラシンハ? |
ストーリー
異教徒から聖地奪還の「聖戦」の名の下に、スカンバ共国は、ヘルクルセーダーズ遠征を開始した。 遠征軍は聖地アンガル占領に成功し、その結果、遠征軍指揮官 暴帝カルワリオの荒涼国家が建設された。 しかし暴帝カルワリオの目的は、領主になることでも、武勲をたてることでもなかった。 |
彼の目的は、伝説の8つの聖石を探し出し「無敵の力」を手に入れ、世界の王として君臨することであったのだ。 だがここに、反ヘルクルセーダーズの英雄 獅子神王 ナラシンハが現れたのだ。 |
レビュー
まったくどんなゲームだかわからずに始めたのですが、カセットの絵といい、タイトル画面といい
なんだか洋ゲーテイスト プンプンです。
でもコレ、東映動画だし、れっきとした日本のゲームなんですよねぇ・・・
気になって調べたところ、どうやらこれは、ゴッホ今泉なる人物の影響によるものだそうで(それについては、欄外にて)。
それはそれとしまして――
ゲームを始めてまず感じるのは、普通のゲームじゃねぇ・・・ってコト。
村の建物は、中南米の遺跡みたいな建物だし、主人公もたてがみはやした半裸のいかついオヤジで、角まではえてる。
それもそのはず、これが、獅子神王 ナラシンハなのだそうで。
フィールドはこんな感じ。 あんまり意味はないんですけど、 季節も再現されています |
これが町の風景 |
まず初めは、村の長となるために、とある洞窟に試練を受けに行かなければならないのだとか。
で、その前に村を回ってみると、宿屋はあれど、武器屋も道具屋もない。
つまり主人公は、素手で戦わなければならないんですなぁ。
まぁ、ないもんはしょうがないんで、村から出てみると、出会うのは、オオカミとコウモリ男みたいなモンスター。 のしのし歩く半裸のいかついオッサンが、こんなモンスターと格闘を繰り広げていると思うと、なんだか新鮮でワクワクします。 |
こんな怪物とも素手で戦っちゃいます |
と、ゆーよーに、
やってて気づいたんですが、
これは漢(おとこ)のゲームだったのです。
なんせ、メインキャラの98%は、むさい、いかつい野郎ばっかで、敵キャラもヘビだのカエルだのコウモリ男だのかわいいヤツなんてのは、まったく登場しません。
これが主人公ナラシンハ 恐いっす |
これが初めての仲間 マラサイト |
これは、アショーグン 左腕は義手? |
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なんとナラシンハには こんな娘が・・・。 どうやったら、こんな子が 生まれるんでしょうか? まさか大きくなったら ナラシンハみたいに!? |
これは草原の狂戦士 クレージーホース 武器マニアです |
ちょっと気弱そうな 司祭 エターナー 魔法は使えません |
これが憎き 暴帝 カルワリオ |
それに、メインのコマンドは、「はなす」「どうぐ」「しらべる」のたった3つだけ。
「どうぐ」のコマンドは、さらに「つかう」「そうび」「はずす」の3つ。
「わたす」とか「すてる」なんてコマンドはありません。
「しらべる」のコマンドも、「あしもと」と「レベル」の2つのみ。
これ以外のコマンドは必要なし!
そして戦闘でのコマンドも、「たたかう」「にげる」「どうぐ」の3つで、「ぼうぎょ」とか「まもる」なんてコマンドは存在しません。
戦って、戦って、戦って、戦って、
やられたら、ポーションをラッパ飲みするか、
薬草を貪り食って体力を回復させるのみ。
ダメなら逃げる。
もちろん「まほう」なんて軟弱なものもありません。
力です、
筋肉です、
肉と肉のぶつかり合いです!
いやはや、実に単純明快。
まさに、これぞ 漢のゲーム。
もう、ここまでコマンドが少ないと、「メシ!」「フロ!」「寝る!」って感じで、ホント、いさぎよいです。
しかも、最初に素手で戦っていた反動からか、序盤で最強の武器と防具が手に入ってしまいます。
戦闘のバランスなどあったもんじゃありません。
ボス戦も楽勝です。
ザコとの戦闘は、ほぼ金を略奪するだけの行為といった感じ。
ちなみに、このゲームのお金の単位は「g」なんですが、これって通貨じゃなくて金が何グラムってコトなんでしょうか?
大胆です! 大味です!
大雑把です!
でもそれでいいんです!
なぜって、これは、
漢のゲームなんですからっ!!
えー、なんだかこう書くと、つまらないゲームに思えてしまうかもしれませんが、世界観や設定が独特なんで、次に何が起こるのかわからないという、ドキドキ感があります。
本当の設定は知りませんが、私が受けたイメージとしては、「マッドマックス」や「北斗の拳」みたいな、近未来の荒廃した世界にモンスターが人間と同じように闊歩している――という感じでした。 古代の世界なのかと思ったら、後でバイクなんかが出てきて、ちょっとビックリ。 |
このゲーム一番の笑いドコロ。 誰もが使ってみたいとは思うが、 あえて使わなかった このセリフを使うとは(笑) |
そしてこのゲームに、ちょっとした変化を与えているのが、集団戦闘のタクティカルバトルです。
途中で、一緒に戦いたいっていう村人が仲間になったのに、パーティにも加わってないし、どうなってんだろ? と思ってたら、とある敵部隊との戦闘で、画面が切りかわってビックリ。
タクティカルバトルの画面 地形効果もあるような、ないような |
これがタクティカルバトルの 戦闘画面 |
歩兵だけでなく、 バイクや車両も登場 |
まぁこのバトルは簡単なもんですから、それほど力まなくてもいいんですが、いろいろと問題もあります。
それは、集団戦闘が始まるまで、自分たちにどんな部隊がいるのか見れないことと、消耗した部隊を回復させることができない上に、全部で8部隊までしか持てないのに、解雇することもできない点です。
部隊は、お手軽に道具屋で買える(しかも口調がモノ扱い。人身売買も当たり前の世界か・・・)のですが、これは問題です。
最初の方はいいんですけど、後半は当然 敵の部隊も強くなるわけで、最初からいる歩兵を後生大事に連れてても、申し訳ございませんが、役に立ちません。
ですから、弱い部隊、数の減った部隊は、わざとにでも全滅させる必要があります。
せっかく志願して加わってくれたというのに・・・哀しいけど、これって戦争なのよね。
なので、部隊が増えた時とバトルの終りには、残った戦力を記録しておく方がよいです。
このゲーム、バランス取りを放棄してる(?)分、戦う楽しみが激減してますが、そことタクティカルバトルの部分をもっとしっかり作っておけば(メインのメンバーが各部隊を指揮できて、部隊にも経験値をつけて育てる楽しみなんかもあれば)すごく面白くなったのでは? と残念に思います。
その辺はともかく、独自の世界観のおかけで、次に何が起こるのかわからないというワクワク感は充分に楽しめると思いますので、興味のわいた方はぜひプレイしてみてください。
今のキレイキレイなゲームにはない、想像力をかきたててくれる面白い/興味深いゲームだと思います。
(02’7/30)
60年代正調アメリカンコミック・スタイルを踏襲し、ビッチでグラマラスなものを探究しているイラストレーター
なのだそうで、なんとあのペプシマンをデザインしたのも、このゴッホ今泉氏なのだとか。
このゲームでは原作とキャラクターデザインを担当していて、当時、シナリオコミックス「プレ・ブラッディ・ウァリアーズ」という本も出ていたようです。
このゲームは、今で言うところの、雨宮慶太氏や韮山靖氏のデザインをウリにしたゲームなんかの先駆けでもあったんですね。
ちなみに、ゴッホ今泉氏は、ドラァグクイーンとしての側面も持っていらっしゃるのだとか。
ドラァグクイーンが何なのかは、各自で調べてください。