|
業務用HARD DRIVIN’は、89年米国アタリゲームズ社が発表した、世界初の本格ドライブシミュレーションゲームです。日本では同年5月に設置されました。 限りなく実体験に近い高度なシミュレーション性と斬新奇抜なコースによって大人気となったので、運転された方(遊んだ方)も多いと思います。 |
本当にあったら怖くて走れないループやジャンプが、あなたのドライビングテクニックで挑戦できるのです。ドライブシミュレーションを極めるために、なんと開発には3年も費やしたそうです。さすが。 |
システム
ポリゴンで構成されたコースを、制限時間内に走り、一定時間内に走れるとチャンピオンとタイムを競って走れる。 チャンピオンに勝てば、次回からは、そのときの走りのゴーストカーとタイムを競うことになる。 |
コースには、普通の道路と同じようなスピードトラックと、ループや跳ね橋などがあるスタントトラックがある。 事故を起こすと、第3者的視点から見た、インスタントリプレイが見られる。 |
レビュー
メガドラ初のテンゲン製ソフトであり、家庭用ゲーム機初のポリゴンゲームでもある、ゲーム史に名を残すゲームです(正確に言うと、、メサイヤの「スタークルーザー」も同じ発売日だったので、家庭用初のポリゲーは2本あるのですが)。
今見ると、フレーム数(コマ数)が少なくて、かなり動きがカクカクしていますが、やっていれば、だんだん目が慣れてきて、何の問題もなく楽しめます。
まぁ、ポリゴンの粗さは仕方ないところです。
ですがドライブシミュレーターだけあって、対向車も走ってきますし、逆走もOK。
ぶつかって倒れた標識は、ずっと倒れたままなどという、現実では当たり前なことが再現されている点も、さすがポリゲーといったところです。
制限時間のない練習モードもありますし、一定時間内にコースを周れれば、チャンピオンのゴーストカーとの1対1のバトルが楽しめます。
しかも、チャンピオンに勝てば、次回からは、そのときの走りがゴーストカーとなって再現されますので、自分の記録、限界ギリギリの走りに挑戦できます。
ただ、電源を切ると消えちゃいますけどね。それに、バトル中にクラッシュすると、そこでバトル終了となりますので、ご注意を。
さて、こういうふうに書くと、まったく普通のゲームのように見えますが、このゲームを、バカゲーたらしめている第1要因は、『インスタントリプレイ機能』にあります。
これは事故ってしまった時に、第3者的視点で、事故の再現をしてくるもので、「♪ズンチャッチャッチャッチャッ・・・」と、実に物悲しい音楽とともに流れるリプレイと、炎上する車の姿は、思わずブルー入っちゃいます(でなければ、あまりのお間抜けさに笑ってしまうことでしょう)。
しかし、それも最初の内だけ。
そのうち、このリプレイを逆手にとって、
跳ね橋の間から落ちてみたり、
バンクからコース外にぶっ飛んでみたり、
ループの頂点から、まっ逆さまに落ちてみたりと、
いろいろなリプレイを見ることが、楽しくなってきます。
暗ぁ〜い音楽と、リプレイの映像のギャップが激しければ激しいほど、お間抜けで笑えます。
そしてさらに、このゲームのバカテイストに拍車をかけているのが、ウシさんと取扱説明書(以下、取説)の内容でしょう。
ウシさんとは、ポリゴンで表現された、ウシと言われればウシかな〜という、薄っぺらいウシさんで、車で引くと、
「もぉ〜っ」
と鳴いてくれます。ただそれだけなんですけどね(笑)。
この鳴き声が聞きたくて、ついつい、ひいちゃうんです。
かわいそうだけど。
取説の方は、ゲームとは直接関係ないんですけど、書いてある内容が変なんです。
これまでの取説といえば、普通に真面目にゲームの内容が説明されているのが当たり前でした。
しかし、このゲームの取説といえば、読んでいる人を、おちょくっているのかというような感じに書いてあったりします。
このノリは、以後のテンゲンマニュアルに受け継がれていくのですが、この脱力感、ナンセンスさが一部の人間に受け、ゲームの取説に、お便りコーナーができたり、この取説を読みたいがために、テンゲンのゲームを買ってしまうという現象まで引き起こしてしまいました。もっとも、テンゲンのゲームがよくできていた、というのも事実ですが。
そういえば、このゲームのマニュアル車には、珍しくクラッチがついています。
ただ、コントロールパッドでやると、いちいちクラッチボタンを押して、上か下のボタンでギアチェンジするのは面倒ですけどね。もちろん、オートマにすれば、そんなことを気にする必要はありません。
オプションで、メーターを、キロメートル表示か、マイル表示にするかとか、走行車線を右にするか左にするかを変更できるというのも、ドライブシミュレーターであるこのゲームのこだわりが感じられて、好感が持てます。
この、家庭用ゲーム機初のポリゴンゲームですが、「ハードドライビン」では、自由度の高さを、「スタークルーザー」では、仮想空間の空間表現と実在感が、ポリゴンの未来を物語っていたように感じます。
「レースドライビン」も「ハードドライビン」同様、業務用のドライブシミュレーターで、セガ・サターン、プレイステーションに移植されています。
「レースドライビン」では、車種、コースともに増え、リプレイ機能やウシさんも健在。
ポリゴンにテクスチャーを貼ったモードもあります。サターン版をやってみましたが、動きが滑らかになったのと、コース、車種が増えたのはいいのですが、パッドでスパイラルを回るのは至難の技なのでは?
スピードを出しすぎると、簡単なコーナーでも曲がれなくなるのも、ゲームとしてはツラいところですね。オート三輪でスピード出してハンドルを切ると、コケてしまうというのは、リアルとはいえ、バカで笑えますね。