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あらすじ、みどころ

ダンジョン&ドラゴン

監督
コートニー・ソロモン

脚本
トッパー・リリエン

キャロル・カートライト

プロデューサー
ジョエル・シルバー

プロダクション・デザイン
ブライス・ペラン

撮影
ダグラス・ミルサム

特殊視覚効果スーパーバイザー
ジョアン・コリンズ・カーリー

特殊効果スーパーバイザー
ジョージ・ギプス

衣装デザイン
バーバラ・レイン

 魔法を使える貴族階級が支配する国 イズメール王国。
 若くして女王に即位したサヴィーナは、その制度に疑問を持ち、人々は平等に暮らすべきであると考えていた。
 宰相プロフィオンは、その考えを危険な革命思想だと評議員たちに吹きこんで女王を失墜させ、その地位とサヴィーナの持つドラゴンを支配する王錫を手にいれようとしていた。

 サヴィーナは高名な魔術師ヴィルダンに助言を求め、プロフィオンを打ち負かすためには、レッド・ドラゴンを操ることができるサブリールの杖が必要だいうことを知らされる。
 だがその会話は、プロフィオンの放った使い魔に盗み聞きされていた。

 サヴィーナに共感するヴィルダンは、サブリールの杖について記されたスクロールを読み解こうとするが、プロフィオンの手下のダモダーに殺されてしまう。
 ヴィルダンの助手であったマリーンは、スクロールを持って逃走し、魔法大学へ忍びこんでいたリドリーとスネイルは、それ巻きこまれて一緒に逃亡するはめになった。

 マリーンは、師ヴィルダンの無念を晴らし、国を守るため、サブリールの杖を探すことを心に決める。
 リドリーはマリーンに惹かれ始め、そしてスネイルは財宝を得るため、マリーンに手を貸すことにした。

 一方その頃、評議会ではサヴィーナと評議員たちの対立が本格化し、戦いは避けられない状況となっていた。

 果たしてリドリーたちは、サブリールの杖を手に入れてプロフィオンを打ち負かし、国を救うことができるのだろうか?

* * *

 さて、困りました。
 何が困ったかといいますと、この映画は、D&Dの映画でありまがら、D&Dっぽいところが少ないという、とんでもないことになってまして、D&Dっぽいところといえば、

 触媒を使って呪文を唱えること(ただしその触媒は怪しい)

 盗賊ギルドが出てくるところ

 ホムンクルス、ビホルダーか出てくるところ

 くらいで、あとはD&Dでなくとも良いような、ソード&ソーサリーな映画でしかありません。

 そんなわけですので、これだけを見てD&Dを勘違いしないように、逆にD&Dっぽくないところを挙げていきましょう。

 まず一番気になるのは、ドワーフの背が高すぎるところ。
 どう低く見ても150〜160cmはありますが、D&Dでドワーフといえば、120〜135cm程度が平均身長です。

 次に、エルフが黒髪なところ。
 そういう部族もいるでしょうが、金髪碧眼というのが、D&Dのエルフのスタンダードです。
 ついでに言うと、エルフはクロスボウよりロングボウを好んで使います。

 エキストラとして登場するハーフリングはいいですが、リドリーたちが盗賊ギルドに行くために後をつける三つ目のヒューマノイドは、私が知らないだけかもしれませんが、一般的な種族ではありません。
 ついでに言うと、酒場でちらっと登場するカッパのような顔をした白い肌のヒューマノイドも、何か不明です。

 呪文についても、ファイヤーボール以外の呪文がイマイチ判別しにくいです。
 詳しくは、下の『登場する魔法』を参照してください。

 それからD&Dの名前にもなっている、ドラゴンと双璧を成す『ダンジョン』ですが、映画ではまともなダンジョンが登場してません。
 インディジョーンズみたいに、トラップをかいくぐって進むだけでは、ダンジョンとはとても言えません。

 モンスターでは、プロフィオンのスパイとして登場する小悪魔みたいなホムンクルスはいい感じです。

 ビホルダーも、このデザインが広まっているのは確かですが、本当の設定では、小さな目のついた突起は頭頂部からはえていて、全体をカニのような甲羅でおおわれていることになっています。

 ドラゴンは、若いドラゴンなのは間違いないですが、杖の力に支配されているとはいえ、知性の感じられないただのモンスターとして出てくるのは、あまり魅力が感じられません。
 質より量で勝負といったところなのでしょうか?
 ブレスも、火の玉が飛んでいくだけというのは設定と違います。
 もしかして〈ファイヤー・ボール〉なのかもしれませんが。

 さて、個々の部分についてはそれくらいですが、全体的に見てもD&Dっぽくない原因は山とあります。
 それは、

 ダンジョンの欠如

 モンスターとの戦闘シーンが皆無。

 人間同士の戦闘も、ただ武器で殴り合っているだけ。

 移動してもすぐに場面が切り替わり、旅をしているんだというシーンがない(ロングショットの欠如)。

 パーティが力をあわせて困難を乗り越えるシーンがない。

などなど

 この映画よりは「ロード オブ ザ リング」の方が、断然 D&Dのイメージに近いです。

 すべて予算の都合と言われれば、それまでなのですが、カットされたシーンが多くて話が見えない、ぶつ切り感があるところなどをみると、どうしても監督の力量不足のように思えてなりません。
 作るならば、満を持して「ロード オブ ザ リング」の後に予算をかけて、「ドラゴンランス」を作った方が良かったのではないでしょうか?

 それでは、最後になりましたが、この映画のみどころを。

 やはり一番のウリは、ドラゴンの群の空中戦でしょう。

 それからアーバレストでドラゴンを撃ち落すというシーンもなかなか他では見られないかと思います。

 アイテムでは、90度に開く折り畳み式の魔法の照明がユニークでした。

 設定では、魔法とドラゴンと世界ついての件の
 ――魔法とドラゴンはこの世界と密接なつながりがあり、ドラゴンが生まれる度に1つの魔法が生まれ、その魔法(魔力)が自然の調和を保っている――
 という設定は、D&Dの骨子である魔法とドラゴンについて、非常に説得力のある説明を与えていると思います。

登場人物

リドリー
【人間・ローグ】
 スネイルとつるんでいる盗賊。
 平民を差別している貴族/魔術師を軽蔑している。
 潜在的に魔法の力を持っているらしい。

スネイル
【人間・ローグ】
 リドリーとつるんでいる盗賊。
 お調子もので、負けず嫌い。
 いつもリドリーに言いくるめられて、危ない橋を渡ることになる。

マリーン
【人間・ウィザード】
 魔法大学で魔法を学ぶ貴族の魔法使い見習い。
 貴族と平民の垣根を取り払おうとしているサヴィーナに共感している。

エルウッド
【ドワーフ・ファイター】
 赤毛のドワーフ。
 カネにうるさい。

ノルダ
【エルフ
レンジャー(?)】
 黒髪のエルフ
 サヴィーナがマリーン達を追うために放った名うての追跡者。

サヴィーナ
【人間・女王(一般人)】
 前王が亡くなったため、若くしてイズメール王国の女王として即位した。
 魔法を使う貴族が平民を奴隷同然に扱う制度に心痛め、国を変えようと考えている。

ヴィルダン
【人間・ウィザード】
 イズメール王国の高名な魔術師。
 サヴィーナの良き相談役でもある。

* * *

プロフィオン
【人間・ウィザード】 .
 イズメール王国の宰相。
 ドラゴンを支配し、王国を支配することを狙っている。
 どう考えても、ケイオティック・イービル。

ダモダー
【人間・ファイター】
 プロフィオンに仕えるクリムゾン隊の隊長。
 プロフィオンによって、脳に魔物を植えつけられるが、仕えているのはそれだけが原因ではなさそう。

* * *

アズマス
【人間・ウィザード】
 イズメール評議員長。
 王女を信頼していたが、プロフィオンに騙され女王と対立することになる。

ザイラス
【人間・ローグ】
 イレブンの盗賊ギルドのマスター。
 わたくし的には、この映画の中で最も人間味あふれるキャラかと。

登場する魔法 登場する特殊なアイテム

〈リード・マジック〉
 ヴィルダンがスクロールを読もうとする時に使う呪文は、おそらくこれではないかと。

〈魔法のロープ〉の呪文
 〈エンタングル〉とも〈ウェブ〉とも違う感じで、指輪から出ているような感じもあるので、マジックアイテムなのかもしれません。

〈電撃〉の呪文。
 電撃といえば〈ショッキング・グラスプ〉か〈ライトニング・ボルト〉ですが、どちらとも違います。
 ラストにプロフィオンが似た呪文を使っているので、〈ホールド・パーソン〉なのかもしれません。

 〈テレポートできる魔法の入り口〉の呪文。
 〈ディメンジョン・ドア〉のようですが、移動距離が長すぎます。
 〈ディメンジョン・ドア〉の強力版なのでしょうか?
 演出上、こんな感じになったのだと思われます。

キュア・ウーンズ(ヒール?)
 瀕死のリドリーを回復させたエルフが使った魔法。

ファイアー・ボール
 迫り来るゴールド・ドラゴンの群に向かって魔術師達が唱える呪文。
 1発も命中していないので、爆発は見れません。

〈ウォール・オブ・フォース〉
 ゴールド・ドラゴンのブレス(?)に対して魔術師達が使う呪文。
 セリフでは「シールド」と唱えてますが、〈シールド〉の呪文ではブレスは防げないので、この辺りかと。

〈ドロームジズ・イスタント・サモン〉
 プロフィオンがリドリーと対峙した時に杖を召喚した魔法。
 厳密な設定では、剣の長さ以下の長さとなってはいますが、魔法の力が強い世界であれば、気にしなくて良いのかも?

〈サモン・シャドー〉〈シェイド〉
 プロフィオンがサヴィーナに向かって唱えた、魔物を召喚する呪文は、おそらくこれかと。
 シャドーやシェイドがあんな姿をしているかは、不明。

幻影の箱
 開くと幻が飛び出してくる、ビックリ箱。

マップ・トゥ・トレジャー・スクロール
 サブリールの杖を手に入れるための方法や場所が書かれているスクロール。
 呪文を唱えると、その中に入ることとができ、亡霊(?)と離すことができる。

ロッド・オブ・ゴールド・ドラゴン・コントロール
 サヴィーナの持つゴールド・ドラゴンを操ることができる杖。
 セリフでは「セプター(王錫)」とも呼ばれ、王の権威の象徴でもある。

ドラゴンの瞳
 拳大の大きさがあるルビー。
 ドラゴン宮の扉を開くのに必要。
 もしかすると、それ以外の効果を持っているのかも。

サブリールの杖
 レッド・ドラゴンを操る力を持つアーティファクト。

ソード+?
 リドリーが、エルフ(?)からもらった魔法の剣。

トゥハンド・ソード+?
 ダモダーが持つ黒塗りの両手剣。
 切り結ぶ時に電気を発生させるところから、〈電撃〉のタレントがあると考えられる。

魔法の鏡
 ノルダがサヴィーナと交信するために使った鏡。

?スタッフ
 プロフィオンがリドリーと対決する時に召喚した杖。
 〈ストライキング〉のタレントあるのは間違いないと思いますが、あの派手な装飾からすると、ウィザードリィ・スタッフかも?

登場するモンスター 一行のルート、登場する場所

オーク

ビホルダー

ゴールド・ドラゴン

レッド・ドラゴン

シャドー/シェイド

〈3つ目の緑色の皮膚をしたヒューマノイド〉

〈カッパのような顔をしたヒューマノイド〉

〈ダモダーの脳に植えつけられた魔物〉
 プロフィオンがダモダーの脳に植えつけた魔物。
 植えつけられたものは、その魔物を通して他人の記憶を読み取ることができる。
 劇中では「イット」と呼ばれてますが、(A)D&Dでもそんな名前のモンスターがいたんでしょうか?

イズメール王国
アンタティスの町
 プロフィオンの研究室
 サヴィーナの私室
 評議会場
 魔法大学

イレブンの村(?)
 市場
 盗賊ギルド
 試練の迷宮

?城(砦)

エルフの住む大樹

ドラゴン宮

首都上空
魔術たちの塔

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