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ゲームブック「奪われた竜の卵」

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あらすじ、みどころ

ドラゴンランス

 第1巻 廃都の黒竜

エンターブレイン

ドラゴンランス戦記

 第1巻 廃都の黒竜

富士見文庫

マーガレット・ワイス
/トレイシー・ヒックマン 著

安田均 訳

 5年ぶりに〈憩いのわが家〉亭で再会したタニスたちであったが、スタームが同行してきたゴールドムーンの持つ〈青水晶の杖〉が原因で、ソレースを追われることになった。
 一行はその杖を調べるため、ヘイブンに向かおうとするが、道中、ドラゴンと人間を掛け合わせたような不気味な生き物に襲われ、進路の変更を余儀なくされる。
 そこは呪われた〈闇の森〉であったが、そこで出会った〈闇の森〉の長から、アンサロン大陸に迫りつつある危機的状況と、それを打破するためには、〈青水晶の杖〉を持って、2日以内に失われた都ザク・ツァロスに行かなければならないことを知らされる。
 一行は〈闇の森〉の長の助力により、楽にザク・ツァロス入りできるはずであったが、実際に降り立ったその場所は、ザク・ツァロスから程遠い平原であった。
 果たしてタニスたちは2日以内にザク・ツァロスにたどりつき、そこでアンサロン大陸を救うための力を手にする事ができるのだろうか?

* * *

 AD&Dの新境地を開き、今なお新しい小説がリリースされている人気作品。
 D&D3rdエディション対応の新ルールの発売も予定されている。

 ドラゴンランスの設定は、D&Dのスタンダードな世界観とは違うところが多いんですが、現在 日本の本屋で買える唯一のD&D小説ですし、D&Dのゲームシステムを読み解きながら読んでも、小説として読んでも、とても面白いので、D&Dをやるなら必読の書といっていいでしょう。

 D&Dのスタンダードな設定と変更されている主な点は、≪世界設定別 クリン≫のページを参考にしてください。
 もちろんこれらの変更点は、物語を面白くするためであって、決してマイナス要素にはなっていません。

 基本的にはシリアスな小説なのですが、タッスルやフリントの掛け合いや、1巻では、どぶドワーフなどの滑稽で愛すべきキャラクターたちも出てきますので、笑える場面も多いです。
 私が密かに気に入っているのは、戦闘が終わった後で、タッスルがこれ以上ヘンな事をしでかさないようにと、タニスが「タッスルはどこだ?」と振り向いて探そうとすると、決まってタッスルにつまづくところ。

 全体としてのみどころは、
 次々と変わって行く舞台と、いかにもD&D(TRPG)っぽい戦闘と交渉、ダンジョン探索なんかがあるところです。
 特に、交渉や敵に捕まった状況からの脱出などは、コンピューターRPGにはない、テーブルトークの自由度の高さの現れでもありますので、初心者プレイヤーやDMには、プレイする上でも、シナリオを作る上でも、学ぶべきところが多いと思います。

 魔法では、
 この世界での魔法の呪文も登場しますので、ゲーム中に唱えて雰囲気を出すというのも面白いと思います。
それから、レイストリンの消耗は激し過ぎますが、魔法を使った後の消耗についても参考になると思います。

 種族、モンスターでいえば、
 もちろん、どぶドワーフの生態についてが最大の見どころ。

 ゴブリンの行動についても色々と参考になりますが、トードはあまりにも臆病すぎて、ホブゴブリンの典型とは考えない方がいいです。

 ドラコニアンでは、死んで石化する場面の他、ドラゴンを崇拝している場面が見れます。

 それからブラック・ドラゴンの酸のブレスの破壊力の凄まじさというか、やられた人間の悲惨さは、炎や電撃のブレスでは見れない残酷描写です。

 ペガサスに乗ると眠気が襲って、恐怖によって落下しないようになるというのも、この世界独自の解釈ではありますが、面白いと思います。

 ハーフ・エルフのどっちつかずの苦悩というのも、このシリーズを通して(1、2巻は特に)描かれています。
 リヴァーウィンドの「ハーフ・マンではなくてハーフ・エルフと呼ばれるのはどうしてだ?」という問に、
「人間側から見れば、半分エルフだといっても全存在のほんの一部でしかない。しかし、半分人間というのは不具者とみなされる」というタニスの答えは、名言です。
 ただ、種族的には迫害されたとしても、潜在能力的にいえば、両者の能力を兼ね備えた「ダブル」といえる種族になれるのですが。

 インフラビジョンについての描写も、ところどころに出てきますので、デミヒューマンのプレイヤーはそれも参考になります。

登場人物

タニス(タンサラス)
【ハーフ・エルフ・ファイター】
 私生児として生まれ、クォリネスティ・エルフの長の子供とともに育ったが、自分が人間でもエルフでもないことに悩み、エルフの元を離れて冒険者となった。

スターム・ブライトブレイド
【人間・ファイター(パラディン)】
 ソラムニアの騎士だった父を捜し求め、自らもソラムニアの騎士となるベく、正義と名誉を規範としている。

キャラモン・マジェーレ
【人間・ファイター】
 
ハンサムでたくましい大食漢の戦士。
 双子の弟レイストリンをいつも気遣っている。

レイストリン・マジェーレ
【人間・ウィザード】
 双子の兄のキャラモンとは対照的に、体は弱いが、魔法に関しては卓越した才能を持つ。
 若くして〈大審問〉に合格したが、そのせいで、肉体は致命的なまでに弱体化し、変化してしまった。
 砂時計の形に変化してしまってた瞳孔は、全てのものが、老い、朽ちる姿を見てしまう。

フリント・ファイアフォージ
【ドワーフ・ファイター】
 細工師として一流の腕を持つ、丘ドワーフの老戦士。
 愚痴っぽく頑固だが、仲間を思いやる気持ちはとても強い。

タッスルホッフ・バーフット
【ケンダー・ローグ】
 好奇心旺盛なケンダー族の青年。
 考えるより先に行動してしまい、それが他の仲間にとってよかったり、悪かったり。
 いつのまにか他人の物が彼の小袋に入っていることもしばしば。
 地図集めが趣味。

ゴールド・ムーン
【人間・クレリック】
 平原の蛮族 ケ=シュ族の族長の娘。
 羊飼いであったリヴァーウィンドと恋に落ち、彼の持ちかえった青水晶の杖により、2人はアンサロン大陸の運命左右する冒険へと導かれていく。
 他のケ=シュ族の者と違い、白い肌と美しいプラチナブロンドの髪を持っている。

リヴァーウィンド
【人間・バーバリアン】
 ケ=シュ族の羊飼いだったが、ゴールド・ムーンにふさわしい男となるため旅に出、女神から授かったという青水晶の杖を手に戻ってきた。
 同じ部族以外の人間を信用していない。

ティカ・ウェイラン
【人間】
 〈憩いの我が家〉亭の看板娘。
 幼い頃に両親を亡くし、オティックとフリントに育てられた。

オティック
【人間】
 〈憩いの我が家〉亭の主人。
 〈憩いのわが家〉亭の名物料理は〈オティックの揚げじゃが〉

ヘデリック
【人間・(僧侶)】
 ソレースを統治しているシーク教の祭司長。
 狂信的で傲慢、狭い了見しか持ち合わせていない。

トード
【ホブゴブリン・ファイター】
 でっぷりと肥え太った、ソレースのゴブリン警備隊の隊長。
 愚かで小心者だが、弱い者にはめっぽう強い。

ブープー
【どぶドワーフ】
 自分では魔法が使えると思いこんでいる、どぶドワーフの一団のリーダー的存在。
 レイストリンに首ったけ。

バルプ大王・ファッジ一世
【どぶドワーフ】
 ザク・ツァロスに住む どぶドワーフの王。
 どぶドワーフの例にならって愚かだが、抜け目のないずる賢さを持っている。

オニクス(キンサス)
【ブラック・ドラゴン】
 ドラゴン卿ヴェルミナァルドの命により、ザク・ツァロスを守っている雌の黒竜。

ティアソング
【人間】
 ケ=シュ族の巫女にして、今は亡きゴールドムーンの母。
 ミシャカルの使いの聖霊となって現れる。

謎の老人
【人間・?】
 タニスたちの再会する日を知り、古の神や伝説を語る不思議な老人。
 その正体は・・・
フィズバン

フィズバン
【人間・ウィザード】
 白く長いひげと、つぶれたとんがり帽子がトレードマークの老魔術師。
 ボケて、的外れ事ばかりしているが、その言動に真実が秘められていることも少なくない。

登場するモンスター 登場する魔法

ゴブリン(イラストあり)

ホブゴブリン

ドラコニアン(イラストあり)

スペクター(イラストあり)

ケンタウロス

ユニコーン(イラストあり)

ペガサス

ブラック・ドラゴン(イラストあり)

ガリー(どぶ)・ドワーフ/アガー
(ブープー、バルプ大王のイラストあり)

スリープ(呪文・触媒あり)

バーニング・ハンズ(呪文あり)

ウェブ

ダークネス・15フィート・レイディアス

フレンズ(呪文あり)

フェザー・フォール

キュア・ウーンズ

ニュートラライズ・ポイズン

ヒール

〈降霊〉の呪文(呪文あり)
 〈闇の森〉のスペクターと会話する時に、レイストリンが唱えた呪文。
 術者の口を通して、アンデッドと会話できる。
 この時点でレイストリンは4レベル以下なんで、1か2レベル呪文なんでしょうが、もしかすると「コンプリヘンド・ランゲージ」でしょうか?

登場する特殊なアイテム 登場する場所

マギウスの杖
 ヒューマの友人であり相棒であったマギウスの名を持つ杖。
 先端には水晶玉をつかんだドラゴンの鉤爪の飾りがついている。
 劇中で見られる効果は、「コンティニュアル・ライト」と「フェザー・フォール」程度。

青水晶の杖
 先端に青水晶と羽根飾りのついた簡素な杖。
 癒しの力を持ち、善良なものしか触れられない。
 攻撃に使っても、強い力を発揮する。

フーパックの杖
 ケンダーの旅の必需品で、先端はパチンコになっている。
 振り回すと低い不気味な音を発して、臆病な生き物を追い払うことができる。

蛍灯りの水晶玉
 中で無数の蛍が飛び、輝いている水晶玉。

魔法のテーブルクロス
 一見何の変哲もない布だが、四隅を持って持ち上げると、空中に浮かんでテーブルの代わりになる。
 注釈では「―フローティング・ディスクの応用」と書いてありましたが、マジックアイテムであったような気がします。

一本足の椅子
 木材の一片を削って作られた簡素な椅子。
 一見 座れそうもないが、座ると安定し、身体に合った高さと形になる。

スクロール
 
「フレンズ」の呪文のスクロール

ミシャカルの円盤
 何枚ものプラチナ製の円盤を閉じたもので、古の神の教えが刻まれている。

フィスタンダンティラスの呪文書
 クリンの歴史上最強の魔術師だったフィスタンダンディラスの呪文の書。

ソレース
 〈憩いのわが家〉亭
 ティカの家

クリスタルミア湖西岸

ソレース谷

〈祈祷者の眼岳〉の麓

闇の森

アバナシア平原
 ケ=シュ族の村

東賢者街道

湿地帯

ドラコニアンの野営地

ザク・ツァロス
 ミシャカルの神殿
 死者の道
 先祖の間
 納骨堂
 つるべ車エレベーター
 大広間
 パルプ大王の宮廷
 王宮 キンサスのねぐら 

登場する神 登場する詩、歌

パラダイン
 白金のドラゴンの姿として知られている善の最高神
 名前、伝承のみ

〈暗黒の女王〉(タキシス)
 さまざまな名と姿を持つ悪神
 名前、伝承のみ
 人間の姿のイラストあり

ミシャカル
 
癒しの女神
 彫像のイラストあり

レオルクス
 
ドワーフの守護神
 名前のみ

竜の頌歌

青水晶の杖の歌

ケンダー逍遥歌

ソラムニア鎮魂歌

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