その1

まずそうですね、とっても

「これ、あげる」
そう言って、コーンポタージュを1本差し出す。
「遅れたお詫びだよ」
「それと…」
「再会のお祝い」
「7年ぶりの再会が、コーンポタージュ1本か?」
差し出された缶を受け取りながら、改めて女の子の顔を見上げる。
素手で持つには冷たすぎるくらいに冷え切ったコーンポタージュの缶。
「どうして、こんなに冷たいんだ?」
俺は当然の疑問を彼女に投げかける。
「本当はわたしが飲もうとして買ったんだけど、冷たいのが出てきたんだよ」
「それで」
そんなもの、俺に飲ませるな!!


かのそ

「わたしの名前、まだ覚えてる?」
「そう言うお前だって、俺の名前覚えてるか?」
「うん」
雪の中で…。
雪に彩られた街の中で…。
7年間の歳月、一息でさらに広げるように…。
「ネ右一」
「…………」


秋子さんだったらファイナルフュージョンも一秒で了承だよ

「…あら?」
玄関で固まってると、背中から不意に声がかかった。
「名雪、まだいたの?」
リビングの扉を開けて、秋子さんが顔を覗かせていた。
俺の母親の妹。
つまりは、俺の叔母で名雪の母親でここの家主だ。
昨日までは、この家で名雪とふたりっきりで住んでいた。
俺が居候先を探していたときに、急な申し出を一秒で了承してくれたのは秋子さんだった。
そう、たった一秒で…。


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