数値予報の簡単なお話


1 はじめに

 今回から、数値予報について、簡単な話をはじめます。

 

 簡単な話なので、理論はあやふやです。大まかなイメージがつかめる程度のお話と考えてください。ヨーロッパでは19世紀に空気や水のことを取り扱う流体力学が完成しました。この中で天気予報(これも19世紀半ばから始まった)も理論式を用いた計算で行おうという意見がありました。今の言葉で言えばこれが数値予報です。19世紀末のことです。ここからおよそ半世紀の間数値予報が実現することはありませんでした。原理はわかっていても膨大な計算をする計算機がなかったからです。計算機以外にも大気の3次元構造を明らかにする観測、数値計算に伴う問題の認識などがありませんでした。

 これらの問題は第二次世界大戦末にはおおむね解決し、第二次大戦後すぐに数値予報が実現しました。日本でも数年遅れで数値予報が導入されました。しかし、1970年代くらいまでは予報官に数値予報を多少軽く見る傾向がありました。今日のように数値予報が予報の主力として広く認識されるようになったのは1980年代からです。

 

 さて、今までの話で多少出てきましたが、数値予報に必要なものを並べてみましょう。

     1    計算機

     2    初期値(を作る基となる観測)

     3    計算機に入力する問題の解法

     4    計算結果を理解する方法

の4つです。これらについて、今後少しずつお話します。

 

                     2000/6/12 金崎

もどる