4.大気の渦と翼(舵)のまわりの渦
台風や低気圧、竜巻といった自然界の渦は、気象現象の根幹をなすものです。
これらの渦は、地球の自転などの影響によって流体中に発生する渦で、その強さは緯度や気圧傾度などに依存します。
これに対して翼のまわりの渦は、同じ流体中に生ずるものでも台風などとは多少異なります。円を描いて一巡するのでなく、翼の上下を異なった速度で流れ去っていますが、一様流を差し引くと循環しているように見えます。これは偏西風の蛇行や風速シアが渦度を持っているのに似ているかも知れません。この循環は翼によって強制的に作られるものと言っていいでしょう。
船の舵は翼の一種で、上方へ揚力を発生させる代わりに、左右への舵力を発生させるものです。この力は循環に比例し、舵の形状その他で大きく異なってきます。
いわゆる特殊舵といわれるものは、特殊な構造によってこの舵力を増加させることを図るものです。
最近の特殊舵の一つに「平行補助翼付舵」があります。
詳細は特許庁のホームページwww.jpo-miti.go.jp/indexj.htmの「提供サービス一覧」で特許第2942132または公開フロントページ特開平07-165188を見ていただくと分かります。
この舵を付けた船は、燃料消費が減少し、排出ガスが低減することが期待できます。そのため地球温暖化ガスの増加防止に少しでも寄与することになれば、自然界の渦と工学の渦がどことなく関連してくるようにも思われます。
2000/03/26
福谷