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CHRISTIE

クリスティーの棚

1940年代

杉の柩Sad Cypress 1940
恩地三保子訳・HM文庫  
幼馴染のエリノアとロディー。二人は静かな愛を育んでいると思っていたのだが…。二人の前にメアリーが現れ、そしてロディーは彼女から目を離すことが出来なくなってしまった。平静を装うエリノア、しかし彼女の心には激しい憎悪が・・・そして、殺人は起こった。犯人は本当にエリノアなのか?彼女を愛する若い医師から依頼されたポワロはその背後の意外な人間関係を暴く。
愛国殺人One,Two, Buckle My Shoe(The Patriotic Murders) 1940
加島祥造訳・HM文庫  
ポワロが診察台の拷問を終えて、心も軽く帰っていったその直後、歯医者は謎の自殺を遂げる。当初は、誤診療に気がついた歯医者が発作的に自殺したものと思われたが、彼の秘書に対するいたずら、当日彼の治療をうけた女性の失踪など不審な事実が浮かび上がる。マザー・グースの童謡に題材を取った作品の一つ。
白昼の悪魔Evil Under the Sun 1941
鳴海四郎訳・早川書房  
平和な避暑地で殺されたのは、美貌の元女優アリーナ。彼女のまわりには羨望と、嫉妬と、そして憎悪が渦巻いていた。犯人はホテルの滞在客と思われたが彼らにはそれぞれ完璧なアリバイが・・・ポワロも休暇を楽しんではいられなくなり…
「地中海殺人事件」として映画化されたが これは原作にまけないいい出来。
NかMかN or M? 1941
深町真理子訳・HM文庫  
トミーに依頼された任務は、軍の要職についている敵のスパイの正体を突き止めることだ。この件を追っていた諜報員は殺され、いまわの際に残した言葉は「NかM」と、あるホテルの名前だった。タペンスに秘密で、「NかM」というコードネームのスパイを探るべく出発するトミーが、ホテルで紹介されたのは、先回りしたタペンスだった。
書斎の死体The Body in the Library 1942
高橋豊訳・HM文庫  
ミス・マープルの家の電話が8時15分前になった。こんな時間に誰が?不審に思いながら電話をとったミス・マープルに友人バントリー夫人は言った。「書斎で死体が発見されたの」まるで、小説に書いてあるとおり!しかし、事実なのだ。誰の死体?どこから来たの?バントリー夫妻のために立ち上がったミス・マープルは被害者のを養女にしようとしていたある大富豪とその家族に接近する。
五匹の子豚Five Little Pigs 1943
桑原千恵子訳・HM文庫  
16年前の殺人事件で、有罪となったまま亡くなった母の無罪を立証して欲しい…!娘の真摯な依頼にポワロは「真相」を探り出すことを引きうけた。娘の母は何故、無罪を闘わなかったのか?長い時を経て、それぞれの関係者自身の目から見た「事実」が語られる。そして最後にポワロが再現した「真相」とは?
動く指The Moving Finger 1943
高橋豊訳・HM文庫  
傷痍軍人のジュリーが療養のために移り住んだ村では、悪意と中傷の匿名の手紙が、村人を悩ませていた。そして、手紙を受取った地元名士の夫人が自殺するという事件が起こり、やがて、その家のお手伝いの娘が殺されるという事件にまで発展する。夫人は、本当に自殺なのか?村に滞在することになったミス・マープルはこの事件にひどく興味をそそられて・・・事件の陰にラブストーリィあり。
ゼロ時間へTowards Zero 1944
田村隆一訳・HM文庫  
周到に練られた殺人計画。バトル警視の娘に起こったある事件。自殺しそこなった男。いろいろな要素がすべて、やがて訪れる「ゼロ時間」へと集約されていく。犯人は誰なのか?そして何よりも、本当の犠牲者とは誰だったのか?バトル警視の私生活が、ちょっぴり描かれているところが興味深い。
死が最後にやってくるDeath Comes as the End 1945
加島祥造訳・HM文庫  
紀元前ニ千年のエジプトが舞台。一族の長が領地から愛妾をつれて帰ってきた。一族の間には反目が起こり、やがて長は息子たちと縁を切り、愛妾を妻にすえると宣言する。その矢先、愛妾は崖から転落死を遂げる。一族は平穏を取り戻したかに見えたが、やがて次の死が…
忘られぬ死Sparking Cyanide 1945
中村能三訳・HM文庫  
ローズマリーは自分の誕生パーティーで、服毒自殺を遂げた。そして一年、夫であったジョージは同じメンバーのパーティーを、同じ状況で開き、その場で殺された。ジョージの思惑はなんだったのか?ローズマリーの死は本当に自殺だったのか?思い悩むローズマリーの妹アイリスの前に、現れたのはアンソニーと名乗る男。彼の正体も何か怪しい・・・ レイス大佐登場。
ホロー荘の殺人The Hollow 1946
中村能三訳・HM文庫  
これはひどすぎる…ホロー荘でのアンカテル家の午餐に招かれ案内されてみると、そこにはわざとらしい殺人場面が演出されていた。うんざりするポワロ。しかし死体は本物だった。撃たれたのは医師、そしてそばでリヴォルヴァを手に呆然と立ち尽くしているのは、彼の妻だった。当然そのリヴォルヴァで、妻によって殺害されたものと思われたのだが…人物の心理描写が、大きな効果をあげている。
満潮に乗ってTaken at the Flood 1948
恩地三保子訳・HM文庫  
ゴードン・クロードは若い未亡人ロザリーンと結婚してわずか一ヶ月後に空襲で死んだ。遺言書の書き換えの無いまま、莫大な財産はロザリーンのものとなる。一族は困窮し、ロザリーンに憎しみが向けられていく。そんな時、ロザリーンの兄デイヴィッドは、ロザリーンの最初の夫の事をよく知るという男から呼び出される。実は、彼女の前夫の死は、はっきりと確認出来るものではなかったのだった。そして恐喝者の死。彼こそロザリーンの前夫だと証言する人物まで現れる。一族の一人からロザリーンの前夫に付いての調査依頼を受けたポワロは・・・
ねじれた家Crooked House 1949
田村隆一訳・HM文庫  
ねじれた家に住む老人が死んだ。若い未亡人と莫大な財産を残して。未亡人は若い家庭教師と関係が、そして長男は事業に失敗し、金策に窮していた。変わり者ぞろいの家族達の、それぞれに抱えた事情。一族の血の中に流れる「残酷さ」を、もっとも濃く受け継いでいるのは・・・

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