またまた由利先生ものです。表題作は『悪魔の設計図』(「富士」昭和13年6〜7月)。
信州の湖畔に静養にやってきた三津木俊助。芝居見物に出かけたのはよいが、なんとその舞台で殺人事件が。心を残しつつ東京に帰った俊助だったが、関係者である黒川弁護士に事件を依頼された由利先生から連絡を受ける。
いや、金持ちのじいさんの、相変わらずの身勝手と独り善がりぶりには参ってしまいます(^_^;)金が絡むから、人も思い切り悪くなってしまうしね。サスペンスフルな展開(なぜか小娘が活躍するという、横溝センセの大好きな展開 笑)、と異常な執念深さと怨念のダブルパンチ(な、なんでここまで…^^;)が思い切り楽しめる一品です。
お次は『石膏美人』(「講談倶楽部」昭和11年5〜6月)、短めの長編ですね。
敏腕記者三津木俊助の乗った自動車に、ぶつかってきたトラックには奇妙なものが積み込んであった。白木の箱に入れられた石膏人形なのだ。トラックにのっているのは不気味なせむし男。そのせむし男がはみ出した人形の腕をぽきんと折ったその瞬間、「あ、痛ッ!」という叫び声が。空耳か…?気になる三津木はやがてある殺人事件を目撃することに。
三津木が目撃する殺人現場は、なんと三津木の恋人、瞳の自宅の裏の空家。その空家は瞳の父、一柳博士の親友藤巻の持ち家だったのです。大事な恋人瞳の父親やその友人と、奇怪な殺人事件はどう関わってくるのか?いや〜、三津木俊助って何歳くらいなのかしら?と常々思っていたのですが、結構楽しい恋愛生活を楽しんでおられたのですね…と言いつつ、どうも恋人同士って感じがしない二人でした(笑)しかし、この作品、少々間が間延びしている感じはあるのですが、ラストに向かって凄い盛り上がりを見せます〜。ちょっと思いもかけない秘密が暴露されたりして、めっちゃ悲しい展開になってしまうのがちょっと意外だったり(T_T)三津木の事件との関係も、ううむなるほど!という感じでした。大変、面白ろうございました……。
最後は短い作品『獣人』(「講談倶楽部」昭和10年9月)。これは珍しいのではないでしょうか?若き日の由利麟太郎青年の事件です。
バラバラ死体ばら撒き事件が勃発。その一片を発見した由利麟太郎は、怪しい学者の住む家に連れ込まれた珠枝を助けることになる。その屋敷には何か、不気味なものが住んでいるらしい気配が…。
いや、気色悪いです(^_^;)想像するとちょっと笑えるのですが。最後にすごい尤もらしい話が出てくるところがまた面白い。ううーん、「金色の液体」っていったい何だったんだ!それにあの「鎧」は一体何のために着ていたんだ?!設定の面白さに幻惑されつつ、ちょっと意味の分からない話でした。でもま、若き日の由利センセに出会えたので大満足〜♪