壁島ウ渡来地
和久漁港及び特牛港の沖合五百メートル位のところに白壁をぬったような一連の岩礁がある。これが天然記念物壁島であり、昭和九年五月に指定されている。
この島が白壁のように見えるのは、渡鳥特に「うの鳥」と「さぎ」等の渡来地点であってこれらの鳥に依るものであり、響灘を観めるこの付近景観光に一際の光彩を添えている。
壁島は和久の北微西700メートルの海上にある岩礁で、鳥塗瀬、地の瀬、中の瀬、大瀬、竜宮瀬などの総称であるが、干潮時には連続して一つの島になる。島の最高部は大瀬の標高16、8メートルのところである。
ウミウは主として本州島の北部で5月から7月にかけて繁殖するといわれてきたが、昭和40年玄海灘の沖の島でも繁殖することが確認されている。
壁島のウは毎年11月下旬ごろから翌年の3月中旬ごろまで越冬する。日中は響灘から日本海西部、関門海峡付近にかけて飛行し、夕暮れ迫るころこの島に帰って夜を過ごしている。
壁島のウはすこぶる多数なので累積するグアノは膨大な量に達し、主として燐酸肥料として使われているが、島の地形からその全部を採取することができず、遠望すると雪におおわれたように見える。壁島の名はこの遠景にちなんだものである。