静岡県小山町 南寿堂医院院長岩田祥吾先生の書かれた文書を、

岩田先生のご許可を得て下記に転載させていただきます

タバコの害からこどもたちを守る!
−タバコ規制枠組み条約に注目−
 
1.健康増進法
 肺がん、喉頭がん、肺気腫、心筋梗塞、歯周病、ニコチン依存症など「タバコ病」
については多くの方がご存知だと思います。しかし受動喫煙の害、特にこどもや妊婦・
胎児に対する害はあまり知られておらず、社会的に大きな問題となっています。受動
喫煙とは「他人のタバコの煙を吸わされること」を言い、平成15年、健康増進法
「受動喫煙の防止」が施行されました。学校、体育館、病院、集会場、事務所、官公
庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を「管理する者」は、これらを利用
する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければ
いけないのです。

2. こどもの受動喫煙の害
 静岡県立こども病院の加治正行医師は、こどもが受動喫煙にさらされると、以下の
危険があることを大人に呼びかけています。
1) 乳幼児突然死症候群の原因となる。
2) 気管支喘息、肺の病気、中耳炎などにかかりやすくなる。
3) 病気入院が増える。
4) 身長の伸びが悪くなる。
5) 知能の発育が劣る。
6) 虫歯になりやすい。
7) 成人後の発がん率が高くなる。
 さらに今年になって米国シンシナティこども病院のチームが、こどもが受動喫煙す
ると「学力が低下する」ことを発表し、世界中の親たちに衝撃を与えています。

3.タバコによる死者
 これだけではありません。タバコ病は知っていても、タバコの害の「重大さ」が知
られていません。平成14年英国オックスフォード大学、リチャード・ペト氏らの推
計によると世界で年間500万人、日本で11万人もの人がタバコの害で死んでいま
す。さらに世界禁煙デーのWHO(世界保健機関)資料にあてはめると、日本人の受動
喫煙による死者は、年間2〜3万人にも及びます。交通事故による死者が年間1万人
ですから、なんとその2〜3倍も多いのです。そして合計13〜4万人が死亡すると
いうことは、御殿場市・小山町を合わせた人口(以上)が、毎年タバコによって奪わ
れているということです。恐ろしい話です。

4.WHOタバコ規制枠組み条約
 世界のタバコによる死者が2020年には年間1000万人になるという予測がで
ました。当時のWHO事務総長のブルントランド氏は「タバコ病は世界的流行病である
が予防可能」とした上で、「タバコ規制は個々の政府やNGO、マスメディアが単独で
取り組んでも有効ではなく、国際的な取り組みが必要」と1998年に宣言し、タバ
コのない世界構想を立ち上げました。これは歴史上初のWHOが策定する公衆衛生に関
する条約です。タバコ規制枠組み条約には、次のようなことなどが対策の項目として
盛り込まれています。
1) たばこの値上げ、増税を奨励
2) 誤解を招く商品名(マイルド・ライトなど)を規制
3) 包装面の30%以上に警告表示
4) 広告を禁止か規制
5) 未成年の自動販売機利用を規制
 こどもは親を真似、広告を見てタバコにあこがれ、友だちや先輩に勧められ吸い始
め、そして自動販売機で購入します。また欧米のタバコ・パッケージには「SMOKING
 KILLS」すなわち、「タバコは(人を)殺す」と書かれています。こどもがこの警
告表示(事実)を見たら、吸い始めないのではないでしょうか。

5.未来(あした)のために
 本年2月27日、タバコ規制枠組み条約が「発効」しました。米国とともにタバコ
に寛容な日本ではありますが、いよいよ動き出しました。もちろんタバコ産業で生計
を立てている方々への配慮は必要ですし、現在の喫煙者はタバコの害を知らずにニコ
チン依存症にさせられてしまった「被害者」なのですから、充分納得して協力いただ
かなくては成功しません。禁煙支援だけでなく、禁煙治療をしやすい制度も必要だと
思います。しかし、なにがあっても、こどもの前でだけは、絶対にタバコを吸わない
でください。こどもの受動喫煙対策と防煙対策に関しては、毅然とした態度を示さな
ければいけません。稿を終えるに当たり、加治正行医師のお言葉で締めたいと思いま
す。
 「受動喫煙は子どもへの虐待!」
 「防煙は未来に向けた大人の責任!」
 未来(あした)のために、タバコの害から、こどもたちを守りましょう。