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永 遠 の 謎


熱の夏磯に夜の帳がおりると

満天の星々が零れ落ちそうなほどに輝き始め、

昼間からは想像も出来ないような別世界に驚くことがあります。


眼下には、青き夜光虫の輝きを模様として、

妖しく揺れ動く黒き水面の絨毯が敷き詰められ、遠く水平線に目を遣ると

その先端が星明かりに照らされて僅かに光って見えます。


漆黒の海原は水平線を境に星野の背景へと辿り着くことが出来ず、

水平の向こう側で滝の如く垂直に落ち込んいるかに思えたりもします。



釣りに出かけると(場所にもよりますが)

時にはこの様なシーンに出会えたりするのです。


近頃は光害のせいでそのチャンスもめっきり減ってはきたものの、

大気の透明度、気流の条件に恵まれると壮大なパノラマが眼前に広がります。

夏の夜は流れ星も決して珍しくはないのです。



夜ともなれば魚信も途絶え

ただボーっと釣り糸を垂れながら考えたりします。

きれいだなぁ〜。僕一人ではもったいない、誰かに見せたいねぇ。

でも恐ろしいほどきれいだなぁ〜。昔はもっともっと綺麗だったんだろうなぁ〜。

あっ、また☆流れたっ!

なんてね。



古の昔‥‥

古代の人々は、今の僕らには想像も出来ない程の美しき自然と

日常的に接していたことでしょう。

そんな彼等は、その汚れなき心でいったい何を思ったのでしょう?

現代人には、きっと永遠の謎?なのかもしれませんね。




  星降る海の夜想曲 (絵画調作品)

漆黒の闇を背負うと、波音だけが聴こえる
海原の彼方、その先端は星明かりに浮かび
やがて深遠なる星々の海へと続く

星がひとつ、静かに流れた
一瞬だけ煌き、音も無く逝った
淡き銀河の傍らに、その光芒を微かに残して


漆黒の闇を背負い、繰り返す波音に耳を凝らす

波は確かに呟いた‥‥ この星は小船だと

波は確かに囁いた‥‥ この星は奇跡だと

星々の海原に、波音のノクターン
僕らの地球は、宇宙に浮かぶ‘奇跡’の‘小船’


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