萩焼は優れた焼物だと思っています。特に茶器は群を抜いてその素晴らしさを感じてもらえると思っています。ただ、その良さゆえに萩焼にはいくつか欠点があります。ここではその欠点を考え、問題の解決法を紹介したいと思います。
水漏れについて
 萩焼の土は大変やわらかく吸水性が豊かです。そのため、お茶が器にしみ込んで味わい深く変化します。しかし、逆にいうとたいへん漏れやすいということです。特に私のやっている鬼萩は萩焼で最も土が荒いため、お茶を飲んだ後、茶たくにお茶がたまっていることなどがあたり前のようにあります。大抵の場合、お使いいただくうちに止まってきますが、中には大変時間がかかる場合もあります。
解決法
1.飲食器等の漏れがあるときは、まず抹茶、こな茶等をしばらくお使いいただくと比較的早く止まります。

2.飲食器等の漏れが激しいときは、鍋にお湯を沸かし、片栗粉を小さじ一杯くらいを溶き、それを器に一杯になるまで入れます。そして、それが器から滲み出なくなるまでしばらくおき、漏れが止まったら、よく洗い乾燥させてからお使い下さい。漏れのひどい場合はこれを何度かくり返して下さい。

3.壺、花入れの花器等は自力で漏れを止めることよりも専門の漏り止め剤・シリコンなどをお勧めします。
臭い・シミ・べとつきについて
 萩焼の土はやわらかく、強く焼き締まっていませんので漏れだけではなく臭いなどがつきやすい所があります。購入した時点で窯ぼこりという土臭いにおいがしている場合がありますし、食器棚に匂いの強い料理と並べて入れているだけで臭いが付くときもあります。
まずお使いになる前に
1.窯ぼこり(購入時の土臭いにおい)がある場合は、お湯で煮て、そのまま3時間くらいお湯につけたままにしていて下さい。(鬼萩手はお湯で煮ず水につけるだけにして下さい)

2.油分の多い食品、醤油等を長時間入れたまま使用されたり、電子レンジ等の使用は貫入に浸透し、シミ、異臭、べとつき、カビの原因になりますのでなるべくお控え下さい。
解決法
1.かるい臭い・べとつきの場合はお湯で煮て、そのまま一晩つけておいて下さい。

2.油分の多いものなどの臭い・べとつきは、食器用洗剤を入れた水に一晩つけておいて下さい。

3.カビ臭いときはオーブンで250℃くらいて15分程度焼いて下さい。

4.シミの場合は塩素系台所漂白剤(キッチンハイターなど)に一晩つけておいて下さい。
注 オーブン等のご使用は、購入先の窯元・お店に使用の確認をしてからご使用下さい。
カビについて
萩焼の土は吸水性が豊かであるため、料理の煮汁やお酒なども器が吸い、カビが生える場合があります。
カビを生やさないために
1.油分の多い食品、醤油等を長時間入れたまま使用されたり、電子レンジ等の使用は貫入に浸透し、シミ、異臭、べとつき、カビの原因になりますのでなるべくお控え下さい。

2.ご使用後は、とにかくよく洗い、よく乾燥させてから収納して下さい。特に徳利などは一晩水につけ、しっかり乾燥させてから収納して下さい。
解決法
1.オーブンで250℃くらいて15分程度焼いて下さい。
注 オーブン等のご使用は、購入先の窯元・お店に使用の確認をしてからご使用下さい。
欠けやすさ、割れやすさについて
萩焼の柔らかさは熱を逃がしません。だから、長く暖かいお茶が飲めます。しかし、それは欠けたり割れやすいということです。洗い桶などに磁器などと一緒に入れて洗うと、ぶつかって負けてしまいます。
長く使っていただくために
1.使用後、洗うときは他の食器などと一緒に洗い桶などに入れず、一つずつ別に洗うようにして下さい。初めは面倒くさいかもしれませんが慣れるとそうでもありません。
最後に
こんなに欠点の多い焼物は他にないかもしれません。しかし、どうしてこんなに欠点の多い萩焼が長く焼物の世界で愛されて来たのでしょう。それは、萩焼の良さが、それらの欠点を十分に越えているからではないでしょうか。確かに萩焼にはいろいろと手間がかかります。身勝手な考え方かもしれませんが私としては、何でも便利なこの時代にそういうことも焼物を味わう一つとして考えるようなことが大事なのではないかと思っています。
もし欠けたり割れたら
高価な物や、とても大事にしているような物でしたら、少し高くなりますが専門の補修屋さんに頼んで下さい

自分でやってみようと思われる方は

1.もし、パカッときれいに割れたら、あとが残ってしまいますがホームセンター等に売っている陶器用ボンドで接着するしかないと思います。

2.もし欠けたりした場合は、ホームセンター等に売っている陶器用のパテで欠けた部分を補修し、その部分に大きな釣具店等に売っているうるし剤(金、銀、黒等いろいろあります)を塗って仕上げるのが良いと思います。(昔からある金継ぎという方法です)