一焼き、二土、三細工

登り窯での焼き上がり

 荒い土が使われているすべてのものを鬼萩といいますが、すべての鬼萩にカイラギや地割れが出るわけではありません。ただ、そういうものが出なかったとしても鬼萩は鬼萩ならではの独特の味わいをかもし出します。
 よく うちのギャラリーにお越しになられた方に「ここは他のところと雰囲気が全然違うね」と言われますが、それはギャラリーの作りや内装ではなく、鬼萩が持つ焼物としての力です。

他地方では灰被りは別の焼きのことを
いうところもあります、

萩の窯変

薪の炎が直接当たったところだけ薄紫色に変化します

萩の灰被り

萩では灰かつぎともいいますが
薪を投げ込む場所で焼きます。

鬼萩土に拘ってやっていますが、やはり焼物は一焼き、二土、三細工です。
土も大事ですが、その土を生かすも殺すも焼き次第です。
ずっと登り窯だけでやってきました。鬼萩土を登り窯で焼くことによって、その味はさらに深みを見せてくれます。

 ひとつに萩焼と言ってもいろいろなものがあります。
 私のやっている萩焼は とても荒い土を使った鬼萩といわれるものです。荒いというのは大量な砂、なかには石に近いような大きなものまで混ざっている土のことです。(右の写真)
 鬼萩も昔からある萩焼の一つなのですが、手間がかかるうえ、作りにくく、傷が出やすい、その上 漏れやすいため量産に向かず、茶盌やぐい呑などの一部だけ鬼萩でやる作家さんはいますが、全部鬼萩だけでやっているところは、もう うちだけになってしまいました。

そして、いろいろな萩・・・・

 よく鬼萩は、亡くなられた人間国宝の三輪寿雪先生が得意としていた 白く厚く掛かった釉薬(白萩釉)にカイラギといわれる釉薬の縮れやヒビが出たものだと思っている方がいますが、それは鬼萩のひとつで他にもいろいろなものがあります。
 例えば、地釉(透明釉)のもので 地割れといわれる焼物の表面に細かいヒビが出たものなども鬼萩の代表的ものです。

カイラギ

鬼萩って聞いたことがありますか

地割れ