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(設問ア)
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1.当社の業務と情報システムの概要
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1.1.当社の業務の概要と私の役割
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 当社は中堅食品メーカーの子会社で、インターネット
を利用した通信販売を業とする有限会社である。私は当
社のCEOとして経営に当たっているが、従業員4名の
小さな会社であり、幅広い業務を自ら担当している。販
売商品の専門家として、商品の選定やセールスプロモー
ションも重要な職務である。一方で、上級シスアド資格
保有者として、当社情報システム全般の責任者も兼ねて
いる。後述するシステムは自ら企画したものであり、開
発段階にも深く関与し、運用管理者をも兼ねている。

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1.2.情報システムの概要と機器構成
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 当社の通信販売用ウェブサイトは独自に構築したもの
ではなく、大手ショッピングモール「R市場」のシステ
ムを利用している。R市場では受注データをCSVファ
イルとしてダウンロードさせるサービスを提供しており、
当社で構築したシステムは、このデータを処理して必要
な帳票等を出力するものである。
 R市場からの受注データはデータベースに蓄積される
と共に、在庫引当や売上伝票作成等に使用される。この
時点で在庫不足品の発注書作成や、顧客へ商品を発送す
る際の配送伝票と納品書の出力が行われる。また、本シ
ステムはカード決済の消し込み処理や、月末の月次処理
による決算用の帳票を出力する機能も備えている。
 本システムはデータを管理するサーバ、インターネッ
トに接続するためのプロキシサーバ、および3台のパソ
コンがLANで接続されたものである。
 私は本システムのユーザである一方で、開発にも関与
しているが、経営者として本システムの信頼性・安全性
・効率性を評価する責務も負っている。本論文では、シ
ステム監査人の視点から、本システムのコンピュータウ
ィルス対策の適切性を検証する。 (800字ライン)

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(設問イ)
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2.コンピュータウィルスの感染・発病を回避するための対策
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2.1.社内の体制作りと規則遵守の徹底
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 コンピュータウィルスを社内のシステムに持ち込ませ
ないためには、以下に述べるようにシステムの運用・管
理基準を定める必要がある。そして、システムのユーザ
である社員にこれを徹底するための教育を十分に行うこ
とも求められる。

1)ソフトウェアの管理
 コンピュータウィルスに感染したソフトウェアが社内
システムのパソコンにインストールされることを防ぐた
め、以下のルールを定める。

 a)ソフトウェアは正規のルートで販売されているもの
  等、出所の明らかなもののみを用いること。

 b)新規にソフトウェアをインストールする必要が生じ
  た場合、必ず管理者の許可を得て使用すること。

 c)システムに障害が生じた際に正しく復旧できるよう、
  ソフトウェアの原盤たるCD−ROM等は確実に保
  管しておくこと。」

 d)ソフトウェア管理台帳を作成し、全てのソフトウェ
  アについて下記の項目を記録すること。
   ・ソフトウェアの名称
   ・入手経路・年月日
   ・インストールしたパソコンと年月日
   ・原盤の保管方法
   ・その他特記事項
   ・管理者の承認日付と確認印

2)ファイルの管理
 外部から入手したファイルからマクロウィルス等に感
染することを防ぐため、以下のルールを定める。

 a)外部から入手したファイルは、開く前に必ず所定の
  ワクチンソフトでウィルスチェックを行う。

 b)電子メールに添付されたファイルを受信した場合、
  業務上必要でないものは開かないこと。

 c)ワクチンソフトは自動的に表示されるメッセージに
  従って、定期的にアップデートすること。また、新
  ウィルス発見の情報を得た場合、随時ワクチンソフ
  トのサイトにアクセスして確認・更新すること。

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2.2.不正アクセス等の対策
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 上述のような社内の体制を確立しても、部外者による
不正な操作や外部からの不正なアクセスによって、社内
システムにコンピュータウィルスが持ち込まれる恐れが
ある。このようなリスクを低減させるため、以下に述べ
る対策を取ることが有効である。

1)システムの不正な利用を防ぐためのID管理
 全社員にID・パスワードを与え、管理台帳に記録す
る。IDは管理者用(私ともう1名の幹部社員)とユー
ザ用(その他の社員)でアクセス権限の範囲が異なる。
パスワードは各自が随時変更するが、変更した日時が記
録され、1ヶ月以上変更していない場合、警告音が鳴る
ようにしておく。社員の異動等の場合には、IDの削除
や新設を迅速に行い、管理台帳に遺漏なく記載する。

2)外部からの不正アクセス防止のための対策
 インターネット経由で外部から不正なアクセスを受け、
コンピュータウィルスを持ち込まれることを防ぐため、
以下の対策を取る。

 a)プロキシサーバにファイアウォール機能を組み込み、
  外部からのアクセスを禁止する。

 b)プロキシサーバには、外部からのアクセス要求記録
  を残す。

 c)データサーバは社内の3台のパソコンのローカルI
  Pアドレス以外からのアクセスを拒否するよう設定
  する。また、全ての許可または拒否されたアクセス
  の記録を残す。

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(設問ウ)
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3.コンピュータウィルス対策の有効性を確認する監査手続
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3.1.社内の体制と規則遵守状況の監査
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1)ソフトウェア管理
 ソフトウェア管理台帳を入手し、システムの各サーバ
及びクライアントのパソコンに実際にインストールされ
てりうソフトウェアと比較する。そして次のいずれかに
該当するものがないか確認する。

 a)管理台帳に記載されていないソフトウェア

 b)管理台帳に記載された日時以降に更新されているソ
  フトウェア

 以上のいずれかに該当するソフトウェアについては、
直ちにウィルス検査を行う。そして、a)に該当するもの
については、関係者にヒアリング等を行い、インストー
ルされた経緯を調査する。それが業務上必要なものであ
れば管理台帳への記載を、不必要なものであれば削除を
勧告することになる。b)に該当するものについては、更
新の経緯を同様に調査し、必要に応じて原盤と比較する。
そして監査の結果によって登録台帳への更新記録の記載
またはソフトウェアの原状回復を勧告することになる。

2)ファイルの管理
 外部から入手したファイルの取扱いについての業務マ
ニュアルの調査と担当者へのヒアリングを行い、ウィル
ス検査の実施状況を調べる。また、実際に添付ファイル
を含む電子メールを送信し、ワクチンソフトの稼動状況
を調べる。
 ワクチンソフトはウィルス検査のログを残しているの
で、業務が行われた日に正しく稼動していたかを確認す
る。また、アップデートの記録を調べ、ワクチンソフト
が常に最新の状態に保たれていることを確認する。
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3.2.不正アクセス等の対策の監査
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1)ID管理
 IDの管理台帳を調査し、IDの新設や削除が適切に
行われていることを確認する。また、パスワードの変更
記録を調べ、パスワードが規定通りの頻度で変更されて
いるか確認する。いずれの場合にも、不審な点があれば
関係者にヒアリングを行う。

2)外部からの不正アクセス防止対策
 インターネット経由で社内システムへのアクセスを試
み、ファイアウォールが正しく機能して拒否されること
を確認する。そして、プロキシサーバのログを調べ、外
部から実際に不正なアクセスの試みがあったか否かを調
べる。不正なアクセスの試みが発見された場合、それが
拒否されていることを、以下の2段階にわたり確認する。

 a)プロキシサーバがアクセスを拒否していること。

 b)データサーバにアクセスの要求が達していないこと。

(2750字ライン)





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