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1.(設問ア)私が立案した情報化戦略
  私は、愛媛県に本社を持つ情報処理会社に勤務して16
年になる。入社以来開発部門でSEを経験後、現在は、
全社スタッフ部門である経営企画課の課長職に在る。
  経営企画課は、社長の直轄組織であり社長からの経営
に関する特命事項の遂行、全社計画業務、社内情報シス
テムの企画立案及び開発管理を行っている。

 当社は、東京に本社を持つ電気通信機器メーカーN社
の100%出資の子会社である。当社の主たる事業は、
N社からのシステム開発の請負(以下請負型事業と表す)
、及び自社で営業権を持ち開拓した四国地域を中心とし
たユーザーへのシステムソリューシヨン(以下自立型事
業と表す)の提供である。
  バブルの崩壊後、N社自体の業績が悪化傾向にあり
請負型事業の受注量が減少していく事が社内的に懸念さ
れていた。
  この様な経営環境の変化の中、当社の社長は自立型
事業の拡大を図り、当社自らの力により変化の波を乗り
切ろうという経営方針及び経営戦略を打ち出した。

  私は、この経営戦略の実現に当たりSWOT分析を行
うとともに最新の情報技術動向を調査し、社内情報戦略
として、以下の2点のシステム構築を社長に提案し承認
された。
   a.「セールスサポートシステム」構築
      (SFAの一環としてグループウエア上に構築)
   b.「業績サポートシステム」の構築
      (フロントオフイスシステムとしてDWHで構築)
  1997年度に社長自らが率先垂範して社内展開を実
施し、現在では戦略情報システムとして経営戦略の実現
に大きく貢献している。

2.(設問イ)事業環境の変化と私が策定した情報戦略
2.1  経営方針
(1) 事業環境の変化
  当社の1996年度売上実績では、N社からの請負事
業が約90%、自立型事業が約10%であった。
  バブルの崩壊後、N社の業績は悪化傾向に有り、子会
社への発注量の減少が懸念されたいた。
(2)経営方針の示達
  以上の様な事業環境の変化の中、当社の取締役と経営
企画課で構成される経営革新推進協議会にて社長から以
下の経営方針が発表された。
「自立型事業の拡大による事業構造の改革」
  自立型事業を拡大し、事業別の売上比率を、3年後
の1999年度には、、請負型事業50%、自立型
事業50%に推移させる。自己責任における経営の自立
化を目指し、事業環境の変化の波を乗り切ろうという主
旨であった。

2.2 経営戦略の立案
(1)経営戦略
  経営革新推進協議会において、経営方針を実現する為
に、以下の経営戦略が立案された。
  a.「営業力の強化」
  四国内の、地場産業に対しての自立型事業の営業力の
強化を行う。営業部門の体制強化及び営業情報の共有化
を行い、四国内顧客のセグンテーションを図り、営業活
動の効率化を推進する。
  b.「個々のプロジェクトの徹底した利益確保」
  自立型事業の拡大に伴い、今までの請負型事業を展開
するコストセンタの位置づけから、プロフィットセンタ
としての位置づけとする。
  また、自立型事業として、小規模のプロジェクトが
増加する事が予想され、個々のプロジェクトの利益管理
の精度をより一層強化する。

2.3情報戦略施策
(1)内部環境分析
  上記の経営戦略実現の為に、経営革新推進協議会から
経営企画課に対して情報戦略策定の指示が下りた。
  私は、まず内部環境の強みと弱みを分析した。
a.強み
・当社の社長は、元N社の四国支社長であり、営業経験
  30年以上の言わば当社No.1のベテラン営業マン
  である。四国全域に渡っての長年の顧客との付き合い
  があり、人間的なネットワークや業界動向、顧客情報
  を豊富に持っている。
b.弱み
・1996年時点で、営業マンは部門長を含めて5人の
  少数部隊であり、また特定ユーザーのみの対応であっ
  た為、新規顧客を開拓する営業力が弱い。
・業績に関する情報は、当時の基幹システムから出力さ
  れるする業績情報が1ケ月に一度各部門長に紙レベル
  配付されているのみであり、リアルタイムな業績管理
  は各部門内での自主管理にまかされていた。
(2)情報戦略の立案
  私は、分析により以下の2点を情報戦略で実現すべき
最優先課題であると判断した。
 ・<営業ノウハウの蓄積と効率的な営業活動の展開>
 ・<リアルタイムな業績及びリスク管理の実行>
  この課題解決の為に、情報戦略化計画として以下の2
点のシステム化を社長に提案し承認された。
a.「セールスサポートシステム」
  SFAの一環として、グループウエア上に構築する。
  営業マンが日々の営業情報、顧客情報を入力すること
により、全社レベルで顧客情報および営業ノウハウの共
有化を図る。
  営業情報には、課長、部長、事業部長、社長がそれぞ
れリアルタイムにコメント入力を行えるようにし、意思
決定の迅速化とフラットな組織構造を実現する。
  また、ワークフロー化は行わず、管理職をスキップし、
社長から直接かつリアルタイムな指示を可能とする。
b.「業績サポートシステム」
  フロントオフィスシステムとしてDWHにて構築する。
  基幹システムのデータから多次元データベースを作成
し、予算に対しての、売上、入金、原価等の実績、見込
み値表示、日別の推移等、様々な角度でのスライシング
による分析を可能とする。
  それぞれの指標は、全社から事業部、部門、課、主任、
各プロジェクト単位へとドリルダウンを行う事により、
各階層毎でのリアルタイムな業績管理を実現する。
(3)社内展開にあたっての工夫
  両システムは、5ケ月の開発期間及び1ケ月の試行期
間を経て完成した。
  私は、展開に当たり戦略情報ツールを意思決定手段と
して、有効活用する社内風土を築く必要があると判断し
た。それには、トップダウンで社長自らが率先垂範して
システムを使いこなす必要が有る事を社長に提言し、
社内展開時に全部門長に対して社長自らのプレゼンテー
ションを依頼し、まず部門長からの意識改革を図った。

3.(設問ウ)立案した情報戦略の評価と今後の方針
3.1 情報戦略システムの経営戦略への貢献度評価
  私は、継続し各部門に対して経営戦略実現の為のツー
ルとしての有功活用を啓蒙し、社内展開を推進した。
  数ヶ月の試行錯誤は有ったものの、機能改善を繰り返
し、意思決定の迅速化とフラットな組織を実現し、戦略
的な営業展開を実現する事が出来た。
  以下に、3年後のの経営戦略に対する評価を示す。
a.事業別売上比率の推移(数値は%)
       1996年度 97年度 98年度 99年度
請負型事業     90  80     65    50(現在)
自立型事業     10  20     35    50
  戦略的な営業活動展開により、上記の様に自立型事業
の売上を伸ばす事が出来た。目標の99年度の計画値も
クリアできる見込みである。
b.業績管理
  日々のリアルタイムの業績管理により、赤字プロジェ
クトは、一部の戦略プロジェクトを除いて、ほとんど無
くなった。(98年度実績で全プロジェクト中の約0.5%)

3.2 今後の情報戦略課題
  当社では、CS向上に対しても積極的に取り組んでお
り、顧客の生の声を肌で感じて行動する経営を目指して
いる。
  その為に、99年度にはCS度調査及びCS度向上を
推進するCS推進部を設立した。現在、当社のホーム
ページ上に顧客からの苦情、要求事項を直接書き込める
ようにするインタラクテイブなシステム「CSーBOX」
を構築中である。
  私の経営企画課では、現在「顧客満足から顧客感動へ」
をキャッチフレーズに更なる経営革新に向けての情報戦
略を推進していく所存である。




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