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 (情報システム部門の役割の見直しについて)

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(設問ア)
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1.当社の情報システム部門再編計画の背景
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1.1.旧情報システム部の概要
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 当社は年商1千億円、従業員数約千名の中堅食品メー
カーである。当社では約30年前に情報システム部を設
置し、業務の電算化を推進してきた。当初はごく限られ
た伝票をパンチャーが入力し、帳票を出力するだけのシ
ステムであったが、その後各部門に端末が配置され、更
にクライアントサーバシステムへと移行し、最近ではパ
ソコンによるEUCが行われるにいたっている。
 昨年までの情報システム部の主な業務は以下のとおり
であった。
 ・基幹システムの運用管理
 ・社内のハードウェア・ソフトウェアの管理・更新
 ・社内のパソコン研修、ヘルプデスク

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1.2.旧情報システム部の問題点
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 当社では当初より情報化のための人材を社内で確保す
ることが出来ず、実際の業務は社外に委託していた。委
託先は関連会社の子会社のシステム会社で、当社からも
情報システム部の人間を出向させている。このような環
境にあっては、当社の情報システム部の人材は、単にシ
ステムの運用管理の補佐が出来るに過ぎず、情報戦略の
立案を期待し得る人材は皆無であった。
 情報システムの役割が単に業務の効率化から、経営戦
略の成否を左右するものへと変遷する中にあって、当社
においても情報システム部門の抜本的な改革が必要とさ
れるようになってきた。当社経営陣は情報戦略本部の設
置を決定し、情報システム部の他に、経営企画部、経理
部、生産管理部等から人材を集め、情報戦略本部開設準
備室を発足させた。経営企画部次長であった私はこの準
備室長に任ぜられ、情報システム部門のあり方を見直し、
情報戦略立案体制を構築する責任者となった。
(設問ア:775字ライン)

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(設問イ)
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2.情報戦略本部の概要
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2.1.情報戦略本部設置の基本方針
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 情報システム部門の役割を見直し、他の部署も巻き込
んで情報戦略本部を設置するにあたり、私が最も重要で
あると考えたのは役割分担の明確化である。私は情報戦
略本部には後に述べる3つの部を置き、それぞれの機能
を明確にするとともに、外部に委託する業務についても
明確に定義することにした。3つの部の役割および外部
に委託する業務については以下の通りである。

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2.2.戦略立案部
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 戦略立案部は経営戦略に直結した情報戦略を立案する
ことを業務とする。要員は経営企画部、情報システム部
経験者を中心に確保し、私が部長に就任した。
 具体的な業務としては、グループウェアによる社内情
報共有化システムの見直し、インターネットを利用した
電子商取引導入の検討、ERPパッケージ導入の検討等
が挙げられる。
 最新の情報技術の実態や他社における導入実績の調査
等に関しては、必要に応じ社外のコンサルタントに委託
した。しかし、最終的な意思決定に際しては、部員全員
が十分に理解した上で議論を深め、経営陣に提言する内
容を決定することを徹底している。

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2.3.情報システム部
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 情報システム部の体制は、旧情報システム部をほぼそ
のまま引き継いでいる。その業務内容は情報システムの
開発・運用・保守等の実務に限られるものとした。
 しかしながら、前述のように当社情報システム部には
情報処理技術を持った者がほとんどおらず、実際の業務
は関連会社の子会社に委託しているのが実情である。
 私は当面の間、情報システム部の要員には、システム
アドミニストレータ的なスキルのみを期待することにし
た。つまり、実際のシステム開発・運用・保守は外部委
託し、情報システム部はその窓口としての機能を果たす
ことにしたのである。そして、従来通り社内のパソコン
研修やヘルプデスクも情報システム部の業務とした。

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2.4.管理部
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 管理部は情報システムの費用対効果を検証することが
主な任務であり、経理部および監査部経験者より人材を
求めて編成した。管理部長は当面常務取締役情報戦略本
部長が兼務していて、彼は通称CIOと呼ばれている。
 具体的な業務としては、情報システムの効率性を評価
するための内部監査の実施や、特に新規調達の際のコス
トの適切性の検証等である。また、本部内の経理・総務
関係の実務も担当している。これにより、従来はほとん
ど行われていなかった、情報システム部の発注に対する
コントロールの体制が確立された。
 部内には本格的なシステム監査を行うスキルのある要
員がいないので、専門の会社に委託して、監査を実施し
ている。システム監査報告書の提出先は言うまでもなく
管理部長、すなわち情報戦略本部長(CIO)である。

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(設問ウ)
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3.情報戦略本部の今後の課題
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3.1.人材育成の必要性
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 情報戦略本部の最大の課題は要員のスキルアップと人
材育成である。上述の3つの部において、それぞれの役
割を果たすためには、以下のように人材を育成する必要
がある。
1)戦略立案部
 経営戦略に直結して情報戦略を立案するためには、経
営学と情報技術の両方のスキルが求められる。私自身も
含め、部の主要メンバーがシステムアナリスト、上級シ
ステムアドミニストレータ、中小企業診断士等を取得す
る必要がある。
2)情報システム部
 情報システム部の情報処理技術者は、現状では第二種
情報処理技術者1名と初級システムアドミニストレータ
3名がいるだけである。システム開発等を社内では行わ
ないにしても、プロジェクトマネージャやアプリケーシ
ョンエンジニア、テクニカルスペシャリスト、ソフトウ
ェア開発技術者等を育成して行くことが望まれる。
3)管理部
 管理部においては、情報システムの信頼性・安全性・
効率性を監査するため、システム監査技術者を育成する
ことを目標としている。

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3.2.人材育成のための方策
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 以上のような人材を確保するためには、外部からの人
材登用も有効である。先般情報システム部長が解任され、
後任には関連会社から転籍して来たプロジェクトマネー
ジャ資格保有者が就任した。
 しかし、同時に社内の人員を教育して行くことも必要
である。私は資格取得のための研修費用補助と資格取得
者への手当て支給を提案し、経営陣の了承を得て実施し
た。今後この制度を活用して資格を取得する社員を増や
すことが課題である。
(設問イ+ウ:2075字ライン)





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