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(適用業務システム開発でのソフトウェアパッケージの利用計画の立案について)

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(設問ア)
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1.インターネット通販システム開発計画の概要
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1.1.インターネット通販開始の背景
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 当社は高知市で酒類卸業等を営む,年商5億円,資本
金1千万円の株式会社である。ディスカウントストアの
躍進など,酒類の流通は大きく変革しつつあり,従来の
卸業は売上・収益ともに漸減傾向にあった。当社では少
しでも売上と利益を確保すべく,本社ビル1階にワイン
ショップを開設した。しかし卸団地内という立地条件も
あり,売上は限られたものであった。
 当社取締役である私は,ワインの小売販売を効率よく
行うため,インターネットを利用した通信販売を企画し
た。そして,そのために必要となるシステムの開発を計
画することになった。

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1.2.パッケージを利用したシステム開発計画の概要
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 インターネット通販を実現するためには専用のサイト
を開設することになるが,この際には,以下の機能を持
ったシステムを構築する必要がある。
 1)商品データの登録とサイト上への表示
 2)顧客側の操作が簡単でかつ安全な発注機能
 3)受注データと当社諸システムとの連携
 4)本事業に関連する経理処理のシステム
 以上の機能をすべて独自に開発した場合,ベンダの試
算によれば,その費用は3千万円に及ぶ。私は安価で適
当なパッケージソフトがないか検討した結果,R社のサ
ービスを利用することにした。
 R社ではインターネット通販に必要な機能を一通り備
えたパッケージを開発し,それをR社サイト上で運営で
きるサービスを提供している。R社のサービス内容は主
に上記1)および2)の機能である。私はこのサービスを利
用してインターネット通販サイトを構築し,3)および4)
の機能をベンダに依頼して開発することにした。
(設問ア:775字ライン)

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(設問イ)
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2.R社システム利用の目的と問題点の解決
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2.1.R社システムの概要と問題点・課題
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1)R社システム利用の目的
 R社システムの使用料は月額5万円で,R社のサーバ
をほぼ無制限に使用することができる。上述したように
R社のサービスによって,インターネット通販に必要な
商品陳列や受注機能は確保される。そして,自社で開発
すべき機能は商品データの管理と,受注データの受け入
れから会計処理までに限定される。したがって,この方
法の採用により,短期間での開発とコスト削減という目
的が達せられると考えられた。

2)R社システムの概要と問題点・課題
 R社のシステムでは,商品データを入力するだけで受
注を受ける体制が整うが,ページデザインを大胆に変更
したり,受注方法の設定を細かく変えること等も可能で
ある。しかし,R社サーバ上に蓄積されたデータベース
に直接アクセスすることは許可されていない。したがっ
て,当社基幹システムの商品データベースと同期を取る
ためには,常にR社と当社の両方に同じデータを入力す
ることが必要になる。
 当社基幹システムでは,R社からダウンロードした受
注データをもとに在庫引当,伝票の作成,経理処理等を
行わなければならない。この際,基幹システムにおける
若干のデータ構造変更等と,R社システムに合わせた業
務フローの見直しが必要となると考えられた。

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2.2.R社と連携するシステム開発のポイント
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 以上の考察を踏まえ,私は以下のように業務の見直し
とシステム開発を進めることにした。

1)商品データベースの作成業務
 従来,当社内の店舗販売用に,ワインの商品データベ
ースを基幹システム内に持っていた。ここには一部商品
についてはPOP用の商品画像も蓄積されていた。した
がって,R社への商品情報のアップロードには,このデ
ータベースを直接利用することにした。データベースは
R社へのアップロードに合わせ,商品画像を必ず入れる
ことと,若干のデータ項目の変更・追加を行った。
 このデータをもとに,指定した商品の情報をR社シス
テム上の任意のページにアップできる機能を開発するこ
とにした。

2)受注データ処理に関連する業務
 R社よりダウンロードしたCSVファイルを基幹シス
テムに取り込む機能自体は極めて簡単に開発できるもの
である。従来から当社基幹システムには顧客情報を入力
し,それに基づいて配送伝票等を作成する機能があった
ので,そのままインターネット通販に対応できる。とこ
ろが,R社システムでの受注には,配送日時や配送方法
について細かい指定がなされている場合がある。このよ
うな指定に対応するため,配送業務のフローを見直すこ
とにした。
 また,従来の店舗販売では問題にならなかったが,イ
ンターネット通販の場合には,在庫管理を怠ると受注を
受けたのに商品が売り切れている可能性がある。私は店
舗のレジをバーコード読取方式に変え,店舗販売分を含
めた在庫管理がリアルタイムで行えるように改良した。

3)経理処理業務
 基本的には従来の基幹システムの機能をそのまま利用
することにした。しかし,代金引換便・クレジットカー
ド決済の入金管理や,配送料の計算等の機能を新たに付
け加える必要がある。

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(設問ウ)
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3.R社システムを利用した通販計画の評価
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 本年2月に,以上の検討をもとにベンダに見積を依頼
したところ,開発期間約2ヶ月で,費用総額約3百万円
との回答を得た。4月より販売を開始し,本年度売上高
3千万円,粗利益6百万円を見込んでいたので,社長の
決裁を受けて,すぐに発注した。
 システムは予定通り開発され,R社サイト上でのワイ
ンの通信販売を4月より開始することができた。システ
ムの細かいエラーは動かしながら修正を加え,大きな問
題もなく稼動している。
 このように,R市場のシステムを中心にして周辺の必
要な機能を開発することによって,当社が必要とするイ
ンターネット通販機能を安価に短期間で確立することに
成功した。
 また,R社のサイト自体に小さからぬ集客力があり,
現在のところ売上は目標を若干上回っている。更にはク
レジットカードの手数料の割引が受けられるなどの副次
的効果もあった。
 以上のように,R社システムを利用したインターネッ
ト通販システム開発計画は予想以上の成功を収め,当社
の経営改善に資するものとなっている。
(設問イ+ウ:2000字ライン)





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