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インターネットを活用した情報戦略の実施

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(答案ア) 800字ライン
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1-1.H町工業組合と事業環境
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 西九州にあるH町は人口2万弱で、町民のほとんどが
地場産業である窯業に関わっている。周辺には、美術品
や高級品で有名なやきもの産地が数多くあるが、H町の
窯業は磁器で、皿や碗などの食器を中心としている。一
般家庭や中堅の旅館・料亭向けである。100前後の窯
元と下請けより成り、戦後一貫して全国の25%のシェ
アを維持して来た。
 しかし、バブル後の不況で全国シェアは15%を割り
込み、倒産・閉鎖する企業が30を超えた。残りの企業
でも大幅な賃金カットや自宅待機・人員削減を実施して
いる。
 H町工業組合は、比較的体力のある窯元30社が、従
来の窯業協同組合から脱退して再結成したものである。
町の補助も受けて、根本的な対策を町出身の経営コンサ
ルタントのI企画に依頼した。

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1-2.経営戦略と情報戦略
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 I企画は中小企業診断士を頭とする3名のプロジェク
トチームを結成し、わたしはシステムアナリストとして
参加した。プロジェクトの任務は次のようであり、2年
間で完了させる。

 1.経営環境の分析と経営戦略の立案
 2.具体的なアクションプランの策定と実施
 3.アクションプランの検証と次ステップへの提言

5ヶ月後に、次のような経営戦略が立案・裁定された。

 1.顧客と直結した販売チャネルの構築
 2.新製品・新技術の開発体制の再構築
 3.組合企業の経営近代化と競争体制の確立

仕入体制に関しては、地場の下請け保護の為に先送りさ
れた。
 わたしは、上記の経営戦略の中でも販売戦略が最も重
要と考え、販売チャネルの構築に貢献する情報戦略を策
定し、その実現案である情報システムの全体計画を立案
した。


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(答案イ) 1,050字ライン
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2-1.顧客と直結した販売チャネルの構築
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 H町の磁器の主力である汎用食器は、従来は町内外の
専門商社を通じて県外の問屋に卸されていた。汎用食器
は生活必需品ではあるが、磁器は厳密な意味で必需品で
はなく、また消耗品でもない。またH町のやきもの自体
が有名ブランドではなく、不況時などはバーゲンの対象
となりやすい。H町では、これまでにも冷凍庫〜電子レ
ンジに対応した耐熱食器や、シルバー向け軽量磁器など
の新製品も開発して来ていたが、顧客と直結した販売
チャネルを持っていなかった為に、顧客のダイレクトな
反応をオンタイムで得る事ができなかった。
 以上のように販売チャネルの重要性は、経営環境の分
析時、マーケットリサーチの段階で十分認識されていた。
経営戦略の要でもある新製品の開発にも、顧客のダイレ
クトな反応を得る事は欠かせない。
 これまで、料亭に対しては定期的に営業マンが全国を
巡回していた。一般家庭用にそれが出来なかったのは、
汎用食器が安価であり、全国的な販売網を維持する経費
を負担できなかった為である。

 1.安価に構築・維持できるダイレクトな販売網
 2.オンタイムで顧客の反応が把握できる販売網

わたしは、この2つの点で、インターネットを活用した
販売網の構築は有効であると考えた。

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2-2.短期間でのビジネスプロセスの見直し
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 前述したように、本プロジェクトは経営戦略の具体的
な実施と検証を含めて2年間で終えなければならない。
インターネットを活用した販売網の構築も可及的速やか
に、具体的には6ヶ月以内での実販売までの到達を目標
とした。
 一方、情報戦略の具体的な実施策である情報システム
の全体計画の立案には、業務モデル分析は欠かせない。
特に、顧客へのダイレクトな販売は、H町工業組合企業
にとっては新しい業態であり、販売・決済プロセスの新
構築と与信・認証プロセスの見直しはおろそかにできな
い。
 わたしは、以上の短期間でのビジネスプロセスの見直
しを完遂するために、次のように全体計画の立案を進め
た。

 1.販売・決済・与信・認証のビジネスプロセスを包括
  的に含むECパッケージの選定
 2.決済手段・金融機関としてインターネット銀行の採
  用
 3.運用形態として既存ISPの活用によるアウトソー
  シング

以上3点共に複数が既に存在していた。選定にあたって
は、カスタマイズの便や機能などよりも、ビジネスプロ
セスとしての有効性に重点をおいた。


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(答案ウ) 650字ライン
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3-1.現時点での評価
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 前述のように、ビジネスプロセスとしての完結性・完
成度に重点をおいて選定したので、プロジェクトの開始
から8ヶ月で実販売を開始できた。
 ECパッケージについては、カスタマイズを重要視し
なかったので、操作性など硬直的な運用を強いられてい
る。しかし、限られた期間でビジネスプロセスの見直し
と再構築、さらにはカスタマイズを実施するよりも、運
用担当者をソフトハウスに研修派遣した方が費用対効果
面でも有利・有効であったと判断している。
 インターネット銀行の採用は、一般に購買率が訪問客
の2%といわれているBtoCにおいては、顧客をネッ
ト銀行口座保有者に限定するという点で不利ではある。
しかし、最も心配された決済・認証プロセスで今のとこ
ろトラブルはない。24時間体制で残高を更新・管理して
いるインターネット銀行は、現時点では与信プロセスに
関して最良と評価している。
 既存ISPへのアウトソーシングでは、ISP業者の
選定において、大手でバック資本の堅固なところを採用
したので、他業者より15%程度高コストとなった。し
かし、特にASP業者の撤退が続いているこの方面では
止むを得ないと判断している。リソースのバックアップ
は、運用開始より独自でも行っている。ハードウェアや
代替ネットワークも含めたシステム全体のバックアップ
は、次ステップでのプロジェクト課題として盛り込むつ
もりである。
 以上のように、情報戦略の短期間での実現という点で
は、現時点では所定の成果をあげたと評価している。

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以上、合計2,500字ライン





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