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(情報戦略の策定について)

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(答案ア) 800字ライン
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S社の情報戦略の策定
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ア−1.S社の経営戦略と課題
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 S社は、従業員300名の中堅建設会社である。事業
の中核である建設事業はE事業部(部員150名)が
行っている。その他に、建設関連の人材派遣やアウト
ソーシングを行うT事業部とO事業部がある。
 E事業部は、従来、プラント分野を中心にしていたが、
構造的な不況の為に、売上高・利益共に落ちこんでいる。
そこで、比較的に安定した需要と収益性の見込める、改
修・改築も含めた一般建築分野へ進出してきた。
 S社E事業部の経営戦略は、この一般建築分野への全
面的なシフトである。その為に、次の経営課題に対処せ
ねばならない。

 ・不特定多数の顧客ニーズの把握と業務への反映
 ・収益性確保のための予実管理の徹底
 ・工事進捗状況の確実な把握

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ア−2.わたしが策定したE事業部の情報戦略
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 S社には、勘定系を保守・運用している経理部電算室
があったが、分析・設計を行える人材がいなかったので、
外部に委託することになった。わたしは、E事業部の情
報戦略と全体計画の策定を担当する事になった。
 わたしは、S社及びE事業部の経営幹部にヒアリング
を行い、前述のような経営戦略を聞き出し、情報戦略の
策定作業に入った。
 S社E事業部の経営課題は、要するに「ビジネス情報
の鮮度・精度の向上とタイムリな反映によるビジネスス
ピードの向上」で解決できると考えられた。
 わたしは、次のような情報戦略を策定した。

 1)情報を共有・活用できる情報系システムを導入し、
   現場情報を即時把握し、予算を予防管理する
 2)事業部員、現場を結ぶ堅牢なネットワーク基盤の
   採用と機動的活用体制の整備

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答案イ 1,650字ライン
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イ−1.現行の情報システム環境の調査
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 わたしは、情報戦略とそれを具現化する情報システム
化構想を企画するのにあたり、次の点を主眼とする現状
調査を行った。

 1)情報資源:現行システムはどれだけのデータ資源
   を網羅・把握しているか?
 2)情報基盤:現行ハード・ソフト・ネットワーク環
   境のセキュリティは?モバイル等の機動性対応度
   は?
 3)人的活用技術:ユーザレベル、リテラシ度は?
   ヘルプデスク等のサポート体制は?

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イ−2.情報資源の問題
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 まず、現行の情報システムは全社勘定系であり、経理
システムとして特化しており、月次決算が最小の出力頻
度である。把握しているデータの形態は、例えば材料発
注だと注文書単位である。分割納品など日次、週次での
集計には対応できない。経費に関しても、勘定科目コー
ドでくくられており、内訳・摘要については、大幅なシ
ステムの改造を行わない限り対処できそうもない。
 一方で、見積り価格や工事進捗の管理の要となる人工
(人日、マンデー)や出来高に関しては、月次報告書を
別途入力しているだけであり、システムとしてはほとん
ど対応していない。
 わたしは、E事業部のエンティティを拾い直した上で
の情報系システムの導入で対処するしかないと結論づけ
た。

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イ−3.情報基盤の問題
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 全支店にLANが導入され、主要支店と本社は専用回
線で、その他の支店ともインターネット経由で結ばれて
WANが形成されていた。しかし、勘定系ホストを守る
ゲートウェイは古い機種で、現在の脅威に対応するには
機能が十分ではない。またウィルス対策として、個々の
PC単位でなく、サーバにアンチウィルスソフトが導入
されたのは、数ヶ月前であった。毎日の様に、ウィルス
が発見され、メールサーバも月に2度ほど止まっている。
 わたしは、この状況にシステムを導入しても、システ
ムの稼動信頼性は望めず、ビジネススピードの向上は発
揮できないと判断し、VPNの導入を構想にもりこむ事
とした。

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イ−4.人的活用技術
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 最初に述べたように、勘定系の保守・運用を担当して
いる電算室には、分析・設計の人材はない。また、経理
部であり経理業務としてのシステム保守・運用が任務で
あったので、全社的なEUC、ユーザ支援などは、慣習
的に行っているだけであった。
 S社E事業部は、プラント・建設のエンジニアが部員
の大半であることもあって、情報リテラシ度の平均は悪
くなかった。ほぼ全員が表計算を使いこなし、一部は
データベースソフトも使用できる。
 わたしは、ユーザ支援としては、EUCサポートとヘ
ルプデスクに主眼をおき、リテラシ向上策は一部のユー
ザだけに対象を絞っていいと判断した。これを構想にも
り込んだ。

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イ−5.情報システムの開発・運用体制と電算室
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 わたしの対象はE事業部である。これまでの分析から、
E事業部に情報システムを導入して活用することは現状
でも可能であると判断していた。しかし、開発・運用を
行うには、現行の電算室では知識・スキル・人員の面で
全く不可能であるといわざるを得ない。
 わたしは、E事業部内での開発はコスト的にも難しい
ので、開発・調達・運用も含めてアウトソーシングする
ように構想にもり込んだ。
 電算室については、改組して全社の情報システム化に
対応できるような体制にすべきだと考えたが、今回のわ
たしの担任対象でなく、非公式に提言することにした。

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答案ウ 750字ライン
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ウ−1.情報システム化構想の進行状況
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 S社E事業部では、わたしの策定した「E事業部情報
戦略と情報システム化構想企画書」を裁可し、役員会で
承認をもらい、予算のついた公式プロジェクトとして進
めている。初年度予算は、ハード調達を含めて約3千万
円で、事業部利益の40%にあたり、期待は大きい。
 現在、基盤となるWebアプリの選定が終わり、カス
タマイズの外部設計中である。

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ウ−2.現状課題の対策の評価
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 情報系システムの新規導入を前提として、事業部エン
ティティの0からの拾い出しを行ったのは、よかったと
判断している。現行情報系に対する追加としての分析だ
と、どうしてもデータの再利用・有効利用の観点が加わ
り、エンティティの網羅とデータモデルの構成に影響が
出たと思う。
 VPNの導入は、コスト的には専用線と大して変わり
はない。現在の技術では、暗号・複合の部分をハードに
も頼っており、専用ハードの調達費が初期コストを押し
上げるからである。しかし、セキュリティポリシの作成
から、周知・徹底するまでの時間を考えると、現在のS
社の体制では、外堀を構築した方が早いのである。
 ユーザ支援は、体制の整備の他に人材育成の問題があ
る。E事業部長に諮り、システム開発の段階から、中堅
部員を2名、プロジェクトに参加させてもらっている。
 なお、現在T事業部とO事業部も部門システムを企画
中である。コストとベンダ管理上の利点から、同じ
Webアプリのパッケージを用いた情報系として進行し
ている。さらに、これを期に、電算室の情報システム部
としての独立と改組が決定した。これをもって、運用と
ユーザサポート体制が完築されると考えている。





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