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□ 情報化による現場支援システムの構築
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(設問ア)
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1.業務の概要
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 わたしは、プラント建設工事下請け業(社員170名)
の海外工事部(部員50名)の次長であり、情報化推進
も合わせて担当している。当社では、4年前にライン部
門の希望者全員にノートパソコンを無償貸与した。また、
3年前にWWWサイトを開設しており、来年初めに
LANを導入することになっている。
 国内外のプラント建設は、長引く不況や通貨危機など
で、各プロジェクトの採算性は決してよくない。合理化
やコスト削減策も限界まで進めており、全社的に危機感
は強い。
 海外プラント建設で一番のコスト要因は、日本人管理
者に関わる費用である。従来は複数人で対処していた規
模のプロジェクトでも、近頃は一つの現場に1人の部員
しか派遣できない。部員の経験・スキルは平均しておら
ず、現場で起こる問題に対しての対処能力も違う。
 海外工事部では、営業部で受注した案件について、詳
細な工事計画書や実行予算書を作成し、派遣部員の選任
を行う。部長と専務が これを決裁する。派遣された部
員は、現場に関するほとんど全ての事項に権限と責任を
持つ。現場から本社への報告は、工事進捗と予算実績に
ついて月次報告書で行う。
 現場からは、解決できない問題が発生した場合、本社
へ問い合わせがくる。緊急の場合が多く電話使用が主で
ある。計画外、予定外の問題が多い。顧客に原因のある
工程の遅延・変更などは、後々の追加請求に関り、重要
である。上位の担当者や管理職は不在の時も多く、時差
もあり、即応できない。悪化した状況に対処するために
上位者の応援出張が増加・長期化する。顧客の心象も悪
くなり、追加請求などを打ち合わせる状況ではない。
 わたしは、情報化によって改善できないかと考えた。
[以上設問ア 32行800字ライン]

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(設問イ)
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2.業務改革の内容
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2−1.問題点の整理
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 部員のスキル・能力不足や計画不足、連絡・即応体制
の不備などが要因と考えられ、それらを整備・充実させ
れば解決するようにも思える。しかし、現場業務に必要
なスキル、能力の項目を列挙し、部員別に採点してみた
ところ、極端に不足な部員はいなかった。計画書・予算
書についても、すべての場合を想定できるものでもない。
連絡・即応体制の整備も、費用・人員の面から、現状の
ままでは現実的な選択とはならない。しかし、連絡の充
実は、検討の課題になりうると考えた。
 次に、解決できなかった場合の波及を検討した。通信
費の増大。問合せ・対応による各自の本来業務への影響。
応援出張の費用。上位者・管理職への負担集中。機会損
失による売上減。いずれも放置できる問題ではない。ま
た、現場部員の本社対応への不信感と、対応・応援にあ
たる上位者の不満も蓄積される。これらも放置すると、
現場・本社の相互信頼をなくし、対応策の効果を減殺し、
悪化を助長する。
 わたしは、現状の問題を整理した。
 ・1人体制により判断に確信がもてない
 ・例外事項に対して意志決定が遅れる
 ・参考事例などの情報が少ない
 ・本社で、現場をタイムリーに把握できない
 ・両者の認識にギャップがある
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2−2.業務改革の方針と具体化
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 わたしは、前述の検討から方針をまとめた。
 a.連絡効率化による通信費削減
 b.情報共有化による回答の精度向上
 c.相乗効果による応援費用の抑制
 連絡の効率化は、必要な情報をすぐに使える形態で提
供できれば、最小の頻度と量で済ませられる。つまり、
情報のニーズと用途がわかればよい。
 対応策がどういう結果を生じるかの、ある程度の予測
も必要である。通常これらは、上位者・経験者の経験で
すまされてきたが、これを整理しておく必要がある。ま
た、助言や対応策が想定した結果を生んだかどうかの成
果を、両者で検証するための仕組みも望ましい。これが
ないと、助言・指導が徹底されないし、継続されない。
そうした検証に耐えてこそ、責任ある助言とその効果が
期待できる。
 2つの相乗効果により、問題の発生と悪化を抑えるこ
とが期待できる。応援出張の短期化は、容易に実現でき
ると考えられた。従来と異なって状況が把握できている
ので、準備が充実できるからである。
 わたしは、情報化の手順をまとめた。
 a.情報のニーズ・ユーズの調査・抽出
 b.情報の所在の確認
 c.経験データ・FAQのDB化
 d.対応策の成果の検証方法
 e.実現できるソフト・ハードの選定
 f.システムの評価基準と検証方法
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2−3.業務改革の企画・提案
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 企画書の作成にあたっては、具体的な数値目標として、
海外通信費50%削減、部員の本来業務専任時間15%
アップ、現場費用5%削減をあげた。想定するシステム
案をイントラネットとし、画面サンプルを作成し添付し
た。必要人員を専任2名、期間を1年と見積もった。
 わたしは、以上をまとめた企画書を、非公式に部員や
上司に見てもらって、一部修正した。そのあと、部次長
会議で提案した。期間を6ヶ月に削られた上で、企画は
承認された。
[以上設問イ 62行1550字ライン]

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3.情報技術の活用と効果
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3−1.イントラネットによる早期利用
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 ノートPCを配布して4年経ったとはいえ、部員の情
報リテラシはまちまちである。本社側のデータ加工の手
間は若干ふえるが、早期に全員が使えるインタフェース
としてWebブラウザを採用した。
 データの入力は、ページ上で項目を選択または数値を
代入するだけのものとした。コメントや質問とそれに対
する助言・指導は、一括して掲示板で行う。入力された
データは、工程進捗・実績のページに、更新されたグラ
フとして表示される。ここで、進捗状況を把握・共有し
て、対応策の検討と結果の検証を行う仕組みである。
 サイトは、現場別に別ディレクトリとしたので、部員
が閲覧するページは少なく、入力もフォーム指定である
ので、1ヶ月で全員が利用可能となった。
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3−2.オフライン機能による通信費削減
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 海外では、通信インフラがまちまちで、特にアクセス
の維持が難しい地域もある。アクセス時間を短縮して、
必要な機能を発揮できるように、ノートPC内にオフラ
インミラーサイトを設けた。部員は、オフラインで立ち
上げデータを入力してボタンを押すだけで、データ送受
信は自動で行われ、更新されたページが閲覧できる。
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3−3.目標値の達成
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 電話連絡はなくなったわけではないが、通信費は60%
削減された。
 全部員の日報を時間割を含めて、システムで入力する
ようにあらためた。本来業務の専任時間は20%アップ
した。
 応援出張は減少し、現場経費は予算以下で進行してい
るが、工期が長いためにまだ判断できない。

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4.今後の課題
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4−1.LAN導入への対応
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 LANが導入されると、部門間の連携で重要データを
集中して扱うことになり、セキュリティ対策を見なおさ
なければならない。アクセス時間の短縮化に反さない、
ID・パス認識の方法が必要である。
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4−2.予実管理の充実
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 現在は、サブ工程の進捗と主材料使用量だけが日次入
力の対象である。予算実績は月次入力となっているが、
この頻度をあげないと予実管理は充実されない。このた
めに、現場での会計処理の標準化・システム化を検討中
である。
[以上設問ウ 42行1050字ライン]





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