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 (分散開発環境におけるコントロールの監査について)

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(設問ア)
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1. 洪水予測システムの開発
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1.1 洪水予測システムの概要
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 X洪水予測システムは、AA県が2級河川BB川に建
設したCCダムにおける洪水調節を支援するためのシス
テムである。
 ダム管理は汎用機により行われ、流域雨量、ダム放流
量などの情報を把握している。洪水予測システムを追加
し、リアルタイムに予測することにより、ゲート操作を
最適化し、洪水調節効率の向上を図るものである。
 洪水予測システムはパソコンシステム上で稼動し、概
要は以下のとおりである。

(1) データの取り込み
 汎用機と接続された計器により、流域内の雨量および
ダム貯水量、ダム流入量・放流量などの情報を得る。

(2) 洪水予測計算
 雨量データと現在時刻のダム流入量を基に貯留関数法
により数時間後までのダム流入量予測を行う。

(3) ゲート操作(案)の計算
 既存のゲート操作規則は、一定率一定量方式である。
洪水量流入予測を行なうことにより、予備放流が可能と
なり、ダム放流量の適正値を提示する。但し、最終的に
ダム放流を決定するのはダムのオペレータである。

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1.2 分散開発の背景
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 当社は河川系の建設コンサルタントである。洪水予測
やダム操作規則に関するノウハウは蓄積しているが、情
報技術、特にネットワーク技術についてのノウハウは持っ
ていない。本システムの場合、既存の汎用機との連係す
なわちデータ通信が不可欠である。したがって、ネット
ワーク関連については、ネットワークを専門とするD社
に発注した。
               (30行=750字)

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(設問イ)
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2.分散開発によって生じるリスクとコントロール
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 本業務は、建設コンサルタントとネットワーク系ソフ
ト会社という異業種間での分散開発である。想定したリ
スクおよびコントロールは以下のとおりである。
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2.1 著作権の帰属
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 本業務は、「測量・設計等標準約款」による契約であ
り、著作権は発注者に帰属し、著作者人格権の行使は制
限されている。したがって、D社が著作権を行使しない
よう、著作権譲渡および著作者人格権不行使条項を入れ
た契約を結ぶ。

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2.2 用語の齟齬
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 建設コンサルタントと電算ソフト会社という異業種間
にわたる分散(垂直分散)開発であるので、同じ用語で
も意味することが違う場合がある。たとえば、「リアル
タイム」であるが、土木技術者には数分のタイムラグで
結果が得られれば、それはリアルタイムという認識であ
るが、ソフト会社にとってのリアルタイムの許容タイム
ラグははるかに短かい。このような齟齬の可能性を減ら
すため、業務開始前において打合わせにより十分な意思
疎通を図ると共に、ささいなことでも電話等の手段によ
り意味を確認する。   

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2.3 仕様変更等の確認不徹底
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 発注者(ダム管理事務所)との打ち合わせは、元請で
ある当社が担当することになる。打ち合わせの結果によ
り、仕様変更となる可能性があり、また、当社としては
不慣れな業務であるがゆえに初期の仕様の詰めが足りな
いがために仕様変更とならざるを得ない場合がある。そ
して、そのような場合に仕様変更点が明確にならないと
、完成直前の手戻りが生じやすくなる。
 これらを避けるため、打ち合わせ結果は全て議事録に
残し、内容について互いに確認する。なお、双方の確認
印の無い議事録は、全て無効とみなす。

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2.4 進捗管理
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 契約関係は業務委託契約であり、外注先の業務進捗管
理は契約上から不可能である。よって、開発期間中に数
回のチェックポイントを設け、業務打ち合わせおよび進
捗状況の確認を行なう。
               (37行=925字)

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(設問ウ)
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3.監査手続
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3.1 監査体制
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 本業務は、情報関係の開発業務であると同時に、土木
設計の側面も持つ。土木設計では、業務管理者として管
理技術者、業務の照査者(設計審査者)と照査技術者の
設定が義務付けられる。管理技術者と照査技術者は、照
査の独立性の観点から兼務できない。管理(照査)技術
者の資格要件は、当該技術部門の○○○または△△△△
である。本業務は情報処理の側面を合わせ持つので、第
1種情報処理技術者以上でも要件を満たしている。私は、
RCCM(河川砂防および海岸部門)および第1種情報
処理技術者の有資格者として、本業務の照査に携わった。

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3.2 監査(照査)項目
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 監査の時期は、納品前である。監査項目は以下の項目
について行なった。ただし、土木関連の項目は省略して
いる。

 (1) 著作権の帰属
 解約書の特記事項として、著作権の移転に関する条文
が記載されているかを確認する。

 (2) 用語の齟齬および仕様変更等の確認不徹底
 まず、発注者との契約書(特記仕様書)および打合せ
議事録に従い、成果物が所定の動作をしているかを確認
する。所定どおりでない場合、建設コンサルタントとソ
フト会社間の議事録により、仕様どおりでない箇所が生
じた原因を特定し、責任の切り分けを行なう。同時に、
成果物の修正を管理技術者に勧告する。
 このとき、打合せ議事録が残っているだけでは不十分
である。議事の確認は双方が行なっていることを確認印
の有無により確認する。

 (3) 進捗管理
 進捗がほぼ予定通りであれば、特に何もしない。遅れ
が目立つようであれば、議事録により、遅れの原因を究
明する。

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 3.3 予防措置
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 1年に1回の割合で、業務ミスのリストを作成し、ミ
スの究明に努めると共に、ミスのおきやすい箇所を特定
し、重点チェックを徹底することでミスの防止に努める。

               (37行=925字)
                全部で2600字





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