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 (業務改善のための情報化投資と効果について)

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(設問ア)
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 当社は年商1000億、従業員500人を擁する中堅
の不動産会社である。システムは経理処理のみでありオ
フコンを使用し経理部にて手書き伝票を集中的に入力す
るしくみで、これについて効率化を計る為チームが編成
され役員の指導の元、私がリーダーとしてその任にあた
ることとなった。

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情報システムの内容
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1.各部での手書き伝票の起票→経理部送付を改め、証憑
を元に各部で直接画面に入力し、データを送るとともに
モニターリストを証憑とともに経理部へ送付する

2.経理部では送られてきた書類とデータを突合し、問題
がなければ受入処理をする。

3.各部での入力項目は現在の経理必須入力項目の他に各
部で必要なデータ(非経理的データも含む)も併せて入
力し、データを送る機能の他に各部で必要な帳票を処理
作成する機能を加える。

4.各部では、入力後月次作業の他に随時に必要な帳票の
作成処理を行い、各個別業務の遂行に役立てる。

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構築並びに運用の詳細と費用等
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 本システムは設計から本番稼働まで約1.5年を要し
た。
 まず第一段階として、設計の為に必要な要件定義、そ
の為の各部ニーズのヒヤリングとまとめに約半年間要し
た。又、この部分で要した費用はコンサルティング費と
してヒヤリングに参加した業者へ約500万円支払った。

 第二段階はプログラムの作り込みとテスト、これは5
つある各部の個別・結合・総合テストの繰り返し行いこ
の部分では約1年の期間と約1億の費用を要した。

 第三段階は本番稼働開始と運用で、テスト稼働との並
行作業を約2か月程行った後、作成したマニュアルの確
認と修正を行い、年度当初からの本番稼働に持ち込んだ。
 しばらくは、計算通りに動くか開発業者と連日検証し、
不測の事態にはすぐに対応できる様な立ち会い体制を約
3か月組んで定着を計った。・・・以上約800字


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(設問イ)
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 前述の業務改善につき期待した効果は大きくは2つあ
る。
1.各部で必要な情報を入力する事により、月次集計の早
期化を計る。これについては従前の翌月4日完了の所要
日数を3日に、1日短縮する事を目標とした。従前の経
理部での集中入力から各部での日々の分散入力により入
力負担が軽減するであろうと推測したからである。
 また同時に従前の集中入力の為の要員も負担が減じる
事により要員削減の効果も期待できるであろうと推測し
た。只、単純に入力を分散しただけでは計画通りの効果
は見込めず、入力内容の「決まり事」を明確化し、各部
に周知させる必要があった。各部の不慣れによる勝手な
解釈による入力の累積は、後で収拾がつかなくなると推
測したからである。

2.各部で必要な情報を入力する事により、各部で必要な
帳票作成作業の早期化を計る。これについては毎月月次
集計用の帳簿が経理部がら配布されてから各部が一斉に
始めていた作業を、日々の作業として平準化することに
より、作業負担の軽減と同時に残業時間も月初平均約
10時間から2〜3時間に削減できるであろうと推測し
た。
 同時にここでもまた要員の削減が計れるであろうとも
推測した。只、この平準化の為には日々の必要情報入力
だけでなく、その情報を随時に抽出できる様な機能を追
加し、操作方法を各部に周知させる必要があった。各部
の不慣れによる勝手な操作はかえって無駄な作業を強い
ることになると推測したからである。

                  以上約600字

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(設問ウ)
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 前述の業務改善について期待した効果は、稼働後の検
討で必ずしも十分とは言えない事となった。

1.各部からの分散入力による月次集計の早期化について
日数短縮の面では確かに効果があり、平均1日の短縮が
達成できたが要員の負担軽減と人員削減という面につい
ては達成できなかった。なぜなら、システムを変えた事
により今まで入力中心に充てられていた要員が、各部か
ら日々送られてくるデータのチェックに回り、しかも初
めての事もあり慎重に処理するようになり、結果として
今迄と同様の負担と作業ボリュームとなってしまったか
らである

2.各部の必要情報を入力する事による各部作業の軽減に
ついては、作業に当たる為の残業時間は平均一人あたり
5〜6時間短縮し、この面でも効果が上がったように見
えたが、これは結局、各自作業を平準化して前倒しで行
うようになった為で、作業のボリュームとしては従前と
なんら変わらない為作業そのものの負担軽減にはならな
かった。 もしタイムリーに各部の必要データが単純操
作で最終形ででるシステムにしておけば、作業そのもの
の軽減に繋がったのではという反省がある。
 この業務改善を通じ、各部の業務改善と月次集計の早
期化の為には、分散入力といわゆるエンドユーザーコン
ピューティングという視点が私の根底にあったが、何十
年と続く各部の作業方法・カルチャーの改善という視点
が弱かった為、十分な効果を得られなかったと考えてお
り、本稼働後1年を経た現在、今後のさらなる改善を構
想する際は、このあたりを視点に据える必要を痛感する。

                 以上 約600字





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