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 積算基礎データの効果的な活用について
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(設問ア)
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1.業務と主要なデータ
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 わたしは、プラント建設工事下請け業(社員170名)
の海外工事部(部員50名)の次長である。当社では、
4年前にライン部門の希望者全員にノートpCを無償貸
与した。3年前にWWWサイトを開設しており、現在
LANの導入の準備中である。わたしは、2年前に海外
工事部内で現場支援システムのEUDの企画・構築を主
導した。それまでの電子メール・電話・FAXが混在し
ていた部内コミュニケーションを、ブラウザ・掲示板等
に再統合したものである。それ以来、情報化推進も担当
している。
 わたしの本来業務は、次長として、海外工事現場の統
括である。次のようなものが主である。
 a.工事計画書・実行予算書のチェック
 b.派遣部員の選任
 c.外注業者の選定・発注等のチェック
 d.現場損益状況の把握・指導
 e.部員の統率・管理
 国内以外のプラント建設は、長引く不況と通貨危機な
どにより、採算性は悪化している。当社でも、合理化や
コスト削減などを進めており、全社的に危機感は強い。
 ライン部門最前線である工事現場での本務は、地味で
はあるが、各サブ工程を効率よく組み上げて、材料・建
機・人工(マンパワー)をセーブする事である。そのた
めに必要なのは、精度の高い積算データ、迅速な集計・
積算手順や手法、そして効率よい組み合せを練るシュミ
レーション技法と時間である。
 それら全ての基礎として必要なのが、確度の高いデー
タであり、利活用しやすい形態である。積算作業で用い
るデータには次のようなものがあった。
 a.紙のデータ(仕様書・材料データ・図面など)
 b.電子データ(工事日報・予算・実績など)
 c.経験・知識(処理量・使用量などの経験知)
 d.その他(各国の労働法・工場法・会計基準など)
[設問ア 800字ライン]

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(設問イ)
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2.データの活用
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2-1.データ活用の目的と仕分
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 目的は、積算業務の効率化・迅速化といえる。そして、
目標は、分析・組み合せ作業へのシフトである。
 従来は、前述のようなさまざまなデータを収集・選別・
整理して集計するまでの作業が膨大であった。工程の組
み合せを練る時間はわずかしかとれていなかった。人工・
日(マンデー)比率でいうと、5:1であった。(ちな
みにPC導入前の全手作業時は10:1であった)
 わたしは、情報システムの利用によって、これを
2:1にしたいと考えた。そのために、次の基準でデー
タを仕分し、活用形態を考えた。
 a.期間を2−3年として、不変で一定であるか
 b.加工して使用できるか、生データでの使用だけか
 c.データの利活用法(プロセス)は不変か
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2-2.データ不変、プロセス不変
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 データの加工もプロセスも必要でない、データ自体が
結果として用いられるべきもので、各国の法律・基準や
BS・ASTM・ISOなどの国際標準規格などである。
 利用形態は「そのまま見る」で、画像やPDF の形式で
共通データCDとして配布する。利用条件などがあって電
子データに変換できないものは、書籍のまま管理する。
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2-3.データ変化、プロセス不変
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 日々に更新・追加されるデータで、加工可能である。
材料の成分・価格・予算実績や仕様書の一部が相当する。
 これらは利用形態により、生データ(価格)と加工
データ(比率・小計・差分)のどちらかを使用する事に
なる。目的からいくと加工済みのデータ提供が中心であ
り、支援システムを通じて最新データをダウンロードす
る事とした。
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2-4.データ不変、プロセス変化
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 いろいろな使われ方をするデータで、積算作業が一段
落した後の分析・シュミレーション作業で用いられる。
 組み合せやあてはめ方(プロセス)を、パターン化し
て効率化することも考えられなくもない。しかし、今回
は、データの加工度を上げて提供し、プロセスをコンパ
クトにする事をねらった。
 プログラムに例えると、入力するパラメータの種類を
増やして出力を多様化させるのではなく、少種のパラ
メータの投入段階によって出力の変化を検討するもので、
プログラムを簡素化できる。
 具体的には、サブ工程の基礎データとして、人員デー
タを1人1人の単位でなく、5人または10人のチーム
として提供する。
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2-5.データ変化、プロセス変化
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 傾向とかなじみとかで表現される経験・体験や、新分
野のプラント、新工法などの情報が相当する。
 ある程度の量が蓄積されるか期間が経過すれば一定化
するものも含まれるが、現状ではまとめる方向性が見つ
からないものである。
 支援システムに設置した質問掲示板が、電子データの
形としては、主要な収集源となる。将来のシステム的な
利活用に向けて収集・蓄積するのを現在の方策とした。
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2-6.データの整理と加工
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 以上の4種類にデータを区分し、それぞれの区分で形
式・形態の標準化・統一化を図った。また、加工する
データについては、加工過程、段階を統一し、加工度を
示した上で提供するようにした。
 個人レベルで、新規にデータを収集・整理・加工する
際にも、この基準を守るように周知・徹底した。
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2-7.利活用のためのツール
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 今回は、分析・シュミレーションの方法は個人に任せ、
基礎データを提供しただけであった。部員の中で、表計
算ソフト使用に長短があった為である。データベースを
使える段階の者はまだ少ない。
 ただし、データの利活用促進の為に、個人レベルに合
わせられる様な、種々のツールを用意させた。用意した
マクロやテンプレートは、テキストデータの空白やイン
デントを対話式に削除する単純なものもある。また、マ
イルストーンを数個設定した上で、サブ工程を自動的に
組み合せる複雑なものもあった。
[設問イ 1,875字ライン]

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(設問ウ)
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3.今後のデータ活用
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3-1.今後活用したいデータ
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 実は、積算の最も基礎となる工事量(Work Volume)
のデータが最も確度が低い。顧客であるエンジニアリン
グ会社から提供される図面や
EFD(Engineering Flow Diagram)などの基礎資料は、
工事の進捗に伴い確定、詳細化されていくからである。
これは、施主の要求や顧客間の競争の結果である工期短
縮に起因するもので、これからも改善は見込めない。
 そこで、現在は紙ベースの図面・仕様書等を電子デー
タで提供してくれるように顧客と交渉中である。この電
子化がないと、工事量の変更に即応できないからである。
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3-2.活用のための準備
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 仕様書や設計書の一部は、現在でも電子データとして
提供されているが、表計算ファイルが多い、また、改訂
作業は現場の現地スタッフによって行なわれる事もあっ
て、表示は同じようでも各セルの入力形式は統一されて
いないものが多い。このために、表計算関数レベルのマ
クロも標準ツールとして部員に配布している。
 CAD データは、当社としてはその数量部分(B/Q、B/M)
が有用である。図面データそのものは当社の現場では参
照用であって、電子データで支給されると、出力方法や
大容量ファイルの管理面でかえって面倒でもある。
 ただ、最近の流れをみていると、CAD ファイルの形式
も統一化・標準化に向かうようであり、変換ツールも出
てきた。
 現在、CAD データから数量部分の抜き出し機能と、容
量を小さくするコンバート機能の2つを指標に、数種の
CAD データ変換ツールを比較調査させている。
[設問ウ 675字ライン]





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