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 (問題発生プロジェクトへの新たな参画について)

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(設問ア)
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1.プロジェクトの概要問題発生の状況
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1.1.B社生産管理システムの再構築
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 A社は東日本を中心に100店舗を展開する中堅のス
ーパーである。A社では、商品の発注については、商談
結果による新商品の投入や売出商品等を本部からオンラ
イン端末で行い、店舗からは補充発注をHTより行って
いる。
 長引く不況の中、収益力強化のためにA社では在庫削
減を経営戦略に掲げている。そして、それをサポートす
る情報システムとして、仕入・発注システムの、全面再
構築を行う事となった。
 私の勤務するN社は、システムインテグレータとして
当プロジェクトを受注した。
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1.2.問題発生の状況
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 プロジェクトは計画上では、連動テストを完了し、ユ
ーザによる運用テストを開始しなければならない時期に
あった。しかしながら、実態はプログラム開発と単体テ
ストのみが完了しているという状況であった。
 このような状況下で、システム間の連動には不具合が
ある事を承知で運用テストを開始したが、結果としては、
単体レベルにおいてユーザの要件を満たす事が出来てお
らず、単体テストのやり直しを行うよう、クレームが寄
せられた。
 私はプロジェクトの立て直しを図るべく、PMとして
投入された。上司からの指示は、コストの超過はやむを
得ないが、納期だけは達成し、B社との信頼関係を回復
させるというものであった。
 プロジェクトの状況は、約1ヶ月遅れであり、また残
された期間は3ヶ月。私は、この間に単体テストのやり
直しを含め、連動テスト・運用テストを実施し、本番稼
動を迎えなければならなかった。

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(設問イ)
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2.プロジェクトの状況把握
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2.1.前任者であるPMからのヒヤリングと分析
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 私はまず、プロジェクト途中段階の品質管理・進捗管
理の状況をドキュメントから把握する事とした。ところ
が、プロジェクトのある時期から、品質管理・進捗管理
が一切なされていない事が判った。私は、これについて
その原因を前任者に確認した。
 まず進捗状況について、何故1ヶ月遅れており、また
管理がなされていないのか。これについての回答は、以
下の通りであった。
 内部設計工程においてユーザからの仕様変更が多発し
た。また、PM自身もSEとして設計の見直しに携わら
ざるを得ず、管理に手が回らなくなった。
 次に、「単体テストが完了していない」というユーザ
クレームが何故発生しているのか。これについての回答
は以下の通りであった。
 プログラムは外部に請負で発注していたが、成果物・
検収状況を明確にしていなかった。結果的にはSEが簡
単な操作を行ったのみで、OKの評価を出している。

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2.2.私自身の活動による状況把握
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 このような状況下にあるプロジェクトにおいては、現
状を正確に把握する必要がある。私は上司に要請し、ま
ず3週間×2人を現状把握の為に投入した。

 1週目:プログラム仕様書の確認・修正。
     特に、A社より要求された仕様変更が反映さ
    れているか。
 2週目:単体テスト仕様書の作成
 3週目:単体テストの実施。

 上記については、全体で200本のプログラム中、2
0本を無作為に抽出し実施した。その結果は、プログラ
ム1本あたり、10件のバグとなっており、A社の指摘
通り品質が出ていない事が明確となった。

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3.私のとった対策
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3.1.開発機能の絞り込み
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 私は仕様変更・機能追加分を中心に、立上げ時に必須
である機能の絞り込みを行う事をユーザと協議した。こ
れは、納期優先とするか、機能優先とするかという事を
ユーザに確認したものである。
 結果的には、一部の機能は立上げ時には必要無いとい
う事となった。仕様変更・機能追加の一例としては、発
注数量の仕入れ先通達後の変更というものであり、月に
数件しか発生しないものであり、電話・FAXでの対応
が可能であるという事であった。

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3.2.2ヶ月間のスケジュール作成
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 先の絞り込みの結果、プログラムは140本に縮小さ
れ、これに対するスケジュールとして以下を定めた。

・単体テスト:0.5ヶ月(7人月)
・連動テスト:0.5ヶ月
・運用テスト:1.0ヶ月

特に、140本の単体テストを0.5ヶ月で行うために
は、14人の投入が必要であるが、納期優先とし、コス
トは問わない事を社内で改めて確認した。

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3.3.進捗・品質管理の徹底
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 私は、確実に納期を達成するために、週次での状況把
握では不足すると判断し、日々状況確認を行う事とした。

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(設問ウ)
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4.評価と課題
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4.1.プロジェクトの評価
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 前述の施策により、単体テスト・連動テスト・運用テ
ストは順調に完了し、予定通りに本番化を迎える事がで
きた。これについては、大胆に機能をカットした事、品
質・進捗管理を進捗に行った事が功を奏していると判断
する。

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4.2.今後の課題
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 今回のプロジェクトが失敗した要因としては、進捗管
理・品質管理が徹底されていなかった事にある。また、
その直接の原因は、ユーザからの仕様変更を安易に受け
つけてしまった事である。
 仕様変更については、プロジェクトにどのような影響
を与えるか、コスト・品質・納期の面からユーザと協議
した上で判断する事が必要である。
 このような当り前の事をきちんと行う事がプロジェク
トを成功させる要因であると考える。





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