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 A社サーバ更新におけるコストの削減

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(設問ア)
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1.システムの概要と私の立場
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1.1.システムの概要
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 A社は化学薬品を製造するメーカである。A社におい
ては情報系システムのインフラとして、本社内の各部署
単位・各営業拠点単位に100台のサーバを導入してい
る。また各サーバにはRDBMSが導入されており、品
質管理・工程管理・注文管理等にデータを活用している。

 情報システム部門としての役割は、基幹系システムか
ら各サーバに対するデータの準備とサーバの運用管理を
行う事にある。但し、サーバの運用要件としては基本的
に営業日・営業時間帯のみを保障すれば良い事となって
おり、1日程度は停止可能である事から特別な保守契約
は締結していない。
 一方、A社でのサーバの導入方針としては、能力ぎり
ぎりの性能設計を行い、リース期間満了時には、必ず更
新を行うというものである。この方針により、導入時期
の関係から、常に年間に10〜20台の更新が発生して
いる。しかしながら長引く不況を背景に、A社ではさま
ざまな部門においてコストを削減する事が要請されてお
り、情報システム部門ではサーバの運用コスト削減の検
討に着手した。

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1.2.私の立場
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 私の勤務するN社は、A社の情報システムのアウトソ
ーシングを一括して請け負っており、私は運用管理を行
う責任者である。そして先に述べたサーバはA社の資産
であり、N社はサーバ更新について、構成検討・提案を
行う立場にある。先のような状況に対して私の責務は、
サーバの運用コストを削減する具体的な方法を提案し実
行する事にあった。

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(設問イ)
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2.コスト分析とコスト削減策の検討
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2.1.現状のサーバ更新方針に対する考察
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 私はまず、サーバをリース期間満了時には必ず更新す
るというA社の方針に対して、その妥当性を検証した。

 具体的には日々データ収集を行っているサーバのディ
スク使用量やCPU・メモリ等の利用率を分析した。導
入時の性能設計では4年間のリース満了時点でほぼ能力
限界に達するはずであったが、実際にはかなりの余裕が
あるにも関わらず多くのサーバが更新されようとしてい
る事が判った。つまり、サーバ能力だけに着目すれば殆
どのサーバはリース満了後も使用を継続する事ができる
という状況であった。

 しかしながら、システムのコストはハードウェア・基
本ソフトウェアのプロダクト費用だけで構成されるもの
では無い。実際には、運用管理を行うエンジニアの工数
が加算されなければならない。つまり、先に検討した再
リースを行った場合、導入時期の違いからバージョンの
異なるOS・RDBMSが氾濫する事になり、かつ運用
に必要な知識・技術が各々について異なる事から運用コ
ストを押し上げる可能性が生まれる。

 私は、再リースを行う事によるサーバ調達コストの削
減と、運用コストの増分をシミュレーションし、結果的
にはA社の方針通り、リース満了期間で更新を継続する
方が総合的には低コストであるとの結論を得た。

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2.2.ライセンス契約に対する考察
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 次に検討を行った事は、調達コストの削減である。こ
れについては、使用するOS・RDBMSについてはA
社内で統一されていたものの、ハードウェアについては
様々なメーカの機種が導入されていた。これは、調達の
都度複数ベンダから見積りを取り、価格を抑えさせてき
たA社の方針による結果である。

 私は、これまでの経験から、100台のサーバに対す
る長期レンジでの導入実績と更新計画をベンダに提示し、
最も条件の良いベンダとパートナー契約を締結する事で、
コスト削減が図れると考えた。実際に数社のベンダーに
対して問い合わせを行ったところ、充分にその可能性は
あるとの感触を得る事ができた。

 私は、A社の承諾を得た後に導入実績と更新計画の提
示を行い、見積りの回収・評価を行なった。その結果、
ハードウェア費用で30%、OS・RDBMS等の基本
ソフトウェアで10%の削減が可能であるとの試算を行
う事ができた。私はこの検討結果をA社に提示し、最終
決定を仰いだところ「更新計画に基づく購入義務は発生
しない」との条件付きで、パートナ契約を結ぶに至った。

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(設問ウ)
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3.コスト削減策の評価と今後の課題
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3.1.コスト削減策の達成状況
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 先の施策により、年間のサーバ調達コストは、800
万円の削減を達成できた。これは、A社コスト削減目標
であった500万を大幅に上回っており、高いレベルで
達成できたと評価できる。

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3.2.更なるコスト削減に向けた今後の課題
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 今回の施策により、A社と特定ベンダーは3年間のパ
ートナー契約を結んでいる。この間は基本的に提示した
導入計画に基づきサーバの更新を行って行かなければな
らない。しかしながら、総合的に判断した場合、サーバ
の集約と高速ネットワークの使用で更なるコスト削減が
図れるのではないかと考えている。

 今現在、パートナー契約の2年目を終えたところであ
るが、更に条件の良いパートナを探し契約を継続するの
か、サーバの集約を図るべきであるのか具体的な検討を
進めている。





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