Click here to visit our sponsor



----------------------------------------------------------------------

A社オペレーション業務の効率化について

----------------------------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------
(設問ア)
----------------------------------------------------------------------
1.システムの概要と私の立場
----------------------------------------------------------------------
1.1.運用効率向上対象システムの概要
----
 A社は化学薬品を製造するメーカである。工場は24
時間365日の操業である事から、信頼性の観点からシ
ステムはホスト計算機上に構築されている。一方で、工
程管理・品質解析等を目的に、情報系サーバの導入も進
んでおり、システムの構成は以下となっている。
・ホスト計算機:オンライン・バッチ処理として、2台
・情報系サーバ:5台

----
1.2.運用効率向上に着手した理由
----
 長引く不況の中、A社ではコスト削減が経営方針とし
て挙げられ、情報システムにも年間コストの10%であ
る、4千万の削減が要請された。そして、内50%の2
千万をシステム運用部門で削減する事が決定された。

----
1.3.私の立場
----
 私の勤務するN社は、A社システムに関する維持管理・
運用をアウトソーシング契約で請け負っており、私は運
用チームのリーダとしてA社に常駐していた。リーダで
ある私の責務は、A社のコスト削減要請に応えるための
具体的な方策を検討し、実施する事にあった。
 尚、A社では前述のシステムを、4人×4チームのオ
ペレータで運用しており、先のコスト削減を実施するた
めに、これを2人体制にする事となった。

----------------------------------------------------------------------
(設問イ)
----------------------------------------------------------------------
2.オペレータの業務分析
----------------------------------------------------------------------
 オペレータの省力化にあたって私はまず、現状の業務
分析に着手した。これは、より負荷の高い業務を優先的
に改善する事で、効率的に省力化を進める事を目的とし
たものである。
 これについては、日々5分単位で登録している業務管
理システムのデータベースを参照することにした。業務
管理システムは、私がA社に赴任した時に導入した仕組
みであり、業務単位の負荷分析を行う基礎データを収集
する事が出来る。導入した当初は、業務分類の登録が個
人毎に異なる、精度にばらつきがある等の問題があった。
しかし私は、業務の効率化を行うためには正しいデータ
収集が必要である事を繰り返し説明し、登録マニュアル
を充実させるなどの施策を実施し、精度を上げていった。
 今回のオペレータの省力化については、幸いこのデー
タを使用する事ができた。

----------------------------------------------------------------------
3.改善策の実施
----------------------------------------------------------------------
 私は上記の業務分析の結果、以下の点について改善を
実施した。

a.従来は計算機室にて印刷を行っていたバッチ帳票につ
いて、レスペーパシステムの導入と、各部署にプリンタ
を設置し、分散環境での印刷を行う。これは業務分析の
結果、帳票の仕分け・配布・用紙の補充等に高い負荷が
割かれている事が明らかとなっており、最優先で何等か
のサポートが必須であると判断した業務である。具体的
には、レスペーパシステムの導入と、分散環境での印刷
を実施する事により業務の20%は削減可能であると見
込まれた。一方で、利用者に対しても、レスペーパシス
テムにより、データの検索が可能になる、帳票を発行す
る場合にもより席に近い環境で帳票を手に入れる事が可
能になる等、利便性が向上する事から反対の意見は全く
無かった。

b.アプリケーション障害監視業務については、ミドルソ
フトウェアを導入する事により、維持管理担当者に配布
している携帯電話に自動的にメールにて障害通知を行う
事とした。これはオペレータ負荷軽減という視点では決
して高い効果では無かったが、メールにて障害時のログ
情報等を送信可能である事から、障害対応時間の短縮が
見込まれ、A社および維持管理担当部門からも強い要請
があった。具体的には、この対応により、障害監視業務
については廃止できる見込みでああり、10%程度の削
減が見込まれた。

c.ジョブの運用については、自動運用可能なミドルソフ
トウェアを導入する事とした。これは、月単位でスケジ
ューリングさえ行えば、実際の実行は異常終了等のイレ
ギュラーな事態が発生しない限り、自動的に行えるとい
うものである。これにより、オペレータ業務の15%は
削減可能であると見込まれた。

----------------------------------------------------------------------
(設問ウ)
----------------------------------------------------------------------
4.改善策の評価と今後の課題
----------------------------------------------------------------------
4.1.オペレータの省力化について
----
 前述の施策により、オペレータは予定通り2名体制を
実現する事が出来た。また、具体的な効果としては、初
年度は1千万の削減にとどまっているが、2年目以降は
2千万を削減できる見通しである。初年度の目標未達の
原因は、ミドルソフトウェアの導入と、カスタマイズ費
用が一時的にかかったためであり、A社の了解も頂いて
いる。

----
4.2.今後の課題
----
 経済の不況は未だ出口が見えず、今後更に運用コスト
の削減を要請される可能性もある。これについては、現
在は複数台あるサーバを統合する事により、バックアッ
プ業務・サーバ間の連携業務を減らせる可能性もある。
また、同様にホスト計算機を論理分割し、1台に統合す
る事でオペレータ業務も削減可能であると考える。私は、
これらの施策により、1名体制も実現可能ではないかと
考えている。
 以上、これらの最新技術動向の調査を継続する事が、
システム運用管理エンジニアの役割であると考える。





[ 戻る ]