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 データウエアハウス導入提案の企画段階におけるシステム監査

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(設問ア)
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1.データウエアハウス導入提案概要と私の立場
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1−1.データウエアハウス導入提案背景
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 当社は総合アパレルの企画・製造・卸売りを事業とし
ている資本金40億円、年商約600億円の株式会社で
ある。デフレ傾向が強くなる中、消費は一段と冷え込ん
でおり、売上高は当初中期経営計画で掲げた数値を下回
るなど厳しい状況が続いている。新たな中長期経営計画
をあげる。
1)徹底したローコスト戦略
2)スピードのある製販運営
3)選択と集中による商品戦略、販売戦略
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1−2.私の立場
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 私は経営企画室に所属しており、情報システムの監査
を担当している。中期経営計画の施策として、情報シス
テム部からデータウエアハウス導入提案があり、導入提
案の企画段階についてシステム監査をすることになった。

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1−3.データウエアハウス導入提案内容
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 システム部からの提案は以下の通りである。導入の目
的は、業務のスピードアップである。処理概要は、汎用
機で発生している日々の基幹データをサーバーに送信し、
サーバー側で大量データを保管できるデータベースを作
成する。そして、ユーザーインターフェースは、ブラウ
ザを使ってイントラネット経由でデータベースにアクセ
スし、タイムリーにデータを様々な切り口の集計分析が
できるようにしたり、大量データから必要なデータだけ
を瞬時に検索や集計ができるようにしたりする。開発の
生産性を上げるため、ブラウザ作成ツールを購入する。
費用はサーバー、データベースソフト、を含めておよそ
1000万円である。効果目標は、事業部が作成してい
る年間の定型資料作成時間の50%削減を目指す。

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(設問イ)
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2.データウエアハウス導入に伴うリスクとリスクを低減するためのコントロール
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2−1.データウエアハウスの有効性
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 有効性の指標は、データウエアハウスの目的を達成し、
経営目標達成に近づけることが出来るかどうかである。
有効性の観点から想定されるリスクをいくつか上げる。

 データウエアハウスを導入したが、システム機能や画
面の操作性を十分備えていない。そのため、データウエ
アハウスから必要データを取り出したが、手作業による
資料加工が必要である。事務作業の時間を削減できない
ので、人的生産性が向上しない。業務に必要なデータ項
目がデータベース上からもれていたり、データ項目の定
義が不明確であったりする。スピーディな意思決定のた
めのデータ支援や、戦略立案のためのさまざまなデータ
分析ができない。ユーザーが情報活用の目的とその重要
性を理解していない。情報活用ニーズがでてこないので、
データウエアハウス活用意欲がなく、情報リテラシ向上
につながらない。以上のリスクを低減させる必要なコン
トロールをあげる。

 様々な視点でデータ分析する場合は、データを加工し
やすい形式で取り出す。定型帳票が必要な場合は、デー
タの加工をすることなく、必要フォーマットでデータを
取りだす。ユーザーがそれらを組み合わせて使えるよう
な入出力帳票、入出力画面を設計し、ユーザーの責任者
の承認を得た開発手順書を作成する。ユーザーが作成し
ている現状帳票のサンプル収集を行い、実務に精通して
いるユーザーが参画して、業務に必要なデータ項目や、
収集したデータ項目の定義検討を行う。このデータ項目
をもとにデータベース設計を行う。経営目標を実現する
ための支援ツールとして、データウエアハウスの構築目
的をユーザーに明確に示す。ユーザーの情報活用ニーズ
の調査を行い、情報活用ニーズを明確にし、情報活用ニ
ーズをデータにブレークダウンできるように、初期構築
段階からユーザーが参加してシステム分析・要求定義を
行う。

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2−2.データウエアハウスの可用性
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 データ見積もりしたところ、1年間約2000万件で、
約8ギガバイトある。当年を含む過去3年間のデータを
蓄積する予定であり、合計24ギガを一つのテーブルで
扱う。膨大なデータを扱うため、データウエアハウスの
レスポンスが長くなり、ユーザーにストレスを与えて利
用されないリスクがある

 リスクを低減させるコントロールは、データの利用形
態や、データ量の増加、利用するDBMSの機能及び性
能を考慮してデータベース設計を行う。

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2−3.データウエアハウスの機密性
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 今回開発するデータウエアハウスは、イントラネット
を使用する。外部の不正アクセスよりも、社内の権限の
ない者が不正アクセスするリスクがある。コントロール
としては、ID・パスワードによるアクセス制限や、ア
クセスログの管理する仕組を作成する。

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(設問ウ)
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3.データウエアハウス導入の評価のための監査手続きと監査目標
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3−1.有効性から想定する監査目標
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 データウエアハウスが当社の経営戦略と整合性を持ち、
十分な有効性の評価をしていることを確認することが必
要である。有効性の評価の重点は、費用対効果である。
従って、開発及び運用費用の算出基礎を明確にしている
か。データウエアハウスの予想効果を明確にしているか、
導入後の効果測定が可能になっているかが監査目標とな
る。

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3−2.有効性から想定する監査手続き
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 費用は、費用項目と算出基礎項目策定している書類の
収集やヒアリングを行う。

 効果は、効果の内容を的確に定義しているか。定量的
効果項目や、定性的効果項目の定義を明確にしているか。
書類の収集やヒアリングを行う。

 企画段階での事前評価とシステム運用段階での事後評
価を検証する仕組かどうかを検証するため、書類の収集
やヒアリングを行う。





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