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 (情報システムのアウトソーシングについて)

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(設問ア)
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1.情報システムのアウトソーシング計画概要
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 私の勤務する会社は人材紹介会社で、私はその会社に
1年前に新設された情報システム部に所属している。情
報システム部と言っても、社内システムだけでなく社外
のシステムの構築・運用も積極的に受託している。構築
・運用を行っているシステムは主にWEBベースのもの
で、自社事務所にインターネットの専用線を引き、WE
Bサーバを立ち上げ、独自のアプリケーションを開発し
機能追加を行ってきている。

 自社サイトは、人材紹介というビジネスにおける「仕
入れ」に当たる転職希望者の発掘という業務を主目的を
として当事業部で開発・運営されており、自社の紹介ビ
ジネスにおいてその約半分を担う重要な位置付けにある。

 他社サイトの開発・運用の受託事業は当事業部の中核
事業であり、既に宿泊施設の予約システムや物販システ
ムの構築・運営の実績がある。インターネット活用の時
流に押されて引き合いは多く、積極的に事業を拡大し売
上や利益を伸ばして、人材紹介ビジネスに次ぐ事業に育
てていくことが会社の方針である。

 この方針を実現するための課題として、人材不足の解
消や設備面の増強という課題がある。優秀なエンジニア
の採用は難しく、また技術革新が速く設備の陳腐化が早
い。こうした環境の中で、事業を拡大し売上や利益を伸
ばしていくために、積極的に外部リソースを活用し既存
スタッフはコア業務に集中するという基本方針を固め、
設備面から日常管理や開発など事業部の中心に近い業務
までのアウトソーシングの可能性を探った。

 アウトソーシング計画のメンバーは、プロジェクトリ
ーダーの私の他に、サーバの初期構築を行ったSE1名
と、責任者としての部長の計3名である。


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(設問イ)
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2.アウトソーシング計画の策定
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2.1 アウトソーシング計画のメリット・デメリット
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 外部リソースの活用方法について、以下の3案を検討
することにした。

案1.設備面のみアウトソーシング
 設備面の改善だけでも、マシンや回線のスペック不足
 に起因するシステムダウンやビジーの多発を回避でき、
 自社人材のトラブル対応時間を減らすことが期待でき
 る。

案2.設備と日常管理をアウトソーシング
 案1にプラスして日常のオペレーションやトラブル対
 応の初動までアウトソーシングすることで、自社人材
 の管理業務負荷を軽減できると同時に、トラブルへの
 対応開始を早めることが期待できる。

案3.設備から日常管理・開発までアウトソーシング
 案2にプラスして独自アプリ開発までをアウトソーシ
 ングすることで、自社人材は顧客企業のコンサルティ
 ングや案件の企画・設計業務に特化・集中することが
 できる。

 採用案の比較検討は、以下の評価項目で行った。
a.24時間運用で安定した運用が期待でき、長期的に
 最新設備・技術の利用が期待できること。
b.長期的な視点でコストメリットがあり収益に貢献す
 ること。
c.自社人材がコアビジネスに集中できること。
d.自社ビジネスのコアスキルを維持できること。
e.委託先企業の事情による自社ビジネスへの悪影響を
 最小化すること。

 上記の検討の中で「自社のコアとは何か」が、あらた
めて議論となった。設備を自社で用意できることは不要
であるという認識は最初から一致したが、日常管理や開
発業務については事業展開の上で必要なノウハウではな
いかという意見があった。しかし私は、以下の観点から
案3を推奨した。
・現在の人員構成からコンサルティングや案件の企画・
 設計業務など上流工程が事業部の強みであること。
・引き合いが多くある現在の環境を活かしてまず顧客数
 を増やし、収益をあげて事業部としての体力をつけ、
 必要であればその後で必要は人材を採用して開発や日
 常管理のノウハウやスキルを蓄積することができるこ
 と。

 最終的に部長判断で私の意見が採用され、案3でアウ
トソーシングを実施することとし、複数社に打診した。

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2.2 アウトソーシング導入時の工夫点
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 自社人材が上流工程に集中できる環境を整えるには、
何よりも日常の運用が安定していることが大切である。
委託先の選定に当たっては、まずサービスレベルの保証
内容など品質面とコストを比較検討した。また、人事異
動によるサービスレベル低下防止策として、担当者の異
動は3ヶ月前に当社に通知し、後任への引継ぎを当社社
員を含めて行うことを要求することとした。

 委託先企業の経営不安などによる致命的な事態への対
策としては、最低限のドキュメントの整備やノウハウの
蓄積が必要と考えられる。そのため、上流工程だけでな
く開発や運用フェースになってもプロジェクトリーダー
の実務を自社人材が担当し、ドキュメント整備の責任を
プロジェクトリーダーが負うこととした。これにより、
最悪の場合に委託先企業を変更することが可能となり、
また、上流工程の業務のための下流工程のノウハウを補
うこともできる。

 このアウトソーシングは、様々なリスクなどの事情を
勘案して、まず自社サイトのアウトソーシングから取り
組んだ。


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(設問ウ)
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3.アウトソーシング計画の評価と反省
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3.1 アウトソーシング計画の評価
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 引き合いが多数あるという恵まれが経営環境と、限ら
れた経営資源の有効活用という条件のもとで、積極的な
事業拡大という方針にかなう適切なアウトソーシング計
画であったと評価している。

 自社サイトの担当者は日常管理業務から解放され、機
能追加要望への対応や新規の企画に集中することが可能
になっている。

 また、自社サイトのアウトソーシング実施時点で、設
備面に起因する自社サイトのトラブルは解消したのは当
然であり、サイトへのアクセス者数は20−30%程度
増加した。23時以降のアクセス集中時間帯のトラブル
がなくなったことが大きいと思われる。

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3.2 アウトソーシング計画の反省
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 委託先として最初に決定した企業では移行作業が上手
くいかず、アウトソーシング開始時期を3ヶ月ほど延期
して委託先を変更する事態となった。委託先の選定にお
いてはその技術力や体制は十分評価したつもりであり、
人事面での混乱も排除したつもりであったが、最初に選
定した企業は事業を急拡大させており、他社の吸収や新
規採用を大胆に実施しており、それによる体制の混乱が
あったものと推測している。

 このような事態を回避するため、また業務量の増減に
柔軟に対応できる環境を作るためにも、日頃から協力会
社候補の選択肢をもち、広く付き合いをもっておきたい
と考えている。





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