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 (チームリーダの養成について)

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(設問ア)
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1 プロジェクトの概要とチームの特徴
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1−1 プロジェクトの概要
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 私は中規模〜大規模の企業を主な顧客とするソフトウ
エア開発会社A社に勤務している。会社では主に企業の
イントラネット内で使用する各種アプリケーションシス
テムの開発に従事しており、今回はB社における内線
IP電話システムの開発に際して参画を行なった。

 内線IP電話システムは2〜3台のサーバ(ソフトス
イッチ)とクライアント(IP電話機)とで構成されて
いるが、サーバによる集中管理方式となっている。今回
の開発は、開発期間は6ヶ月、開発規模は50人月、開
発費用は5000万円であった。また開発要員はA社か
ら15名、協力会社から5名の合計20人であった。

 私は本システムの開発において、プロジェクトマネー
ジャとしてプロジェクトの計画・実施・完了段階までを
一貫して統率管理した。

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1−2 リーダの養成を図ろうとしたチームの特徴
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 今回のシステムでメインの機能の呼制御機能を開発す
るチームは、プログラム言語の開発スキルの関係で20
代の若手メンバのみを配置する必要があった。

 このチームのメンバは皆、開発スキルには優れている
が他人への関心が低く、自己中心的な傾向があった。ま
たチームで開発する呼制御機能はシステムのメインの機
能であるため、チームの進捗状況がプロジェクト全体の
進捗状況を左右することが想定されていた。

 私は以上のことを踏まえてリーダ選出する必要があっ
たが、このチームにはリーダ経験者がいなかったため、
私は、チームメンバとの相性および、今後のA社のリー
ダ育成方針を鑑み、チーム内メンバを新たにリーダとし
て選出することとした。

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(設問イ)
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2 チームリーダとして必要な能力と養成方法
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2.1特に伸ばそうとしたチームリーダとしての能力
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 最初にチームリーダの選出を行なった。私はリーダ候
補となるメンバを2名(C君、D君)ピックアップし、
「リーダへの意欲」を確認した結果、より強い意欲を見
せたC君をリーダとすることとした。

 私はC君とのヒアリングを行ない、C君の特徴および
チームの特徴を鑑みた結果、重点的に伸ばす必要のある
能力として以下の2点をピックアップした。

(1)チームメンバとのコミュニケーション能力
 前述の通り、このチーム内のメンバは他人への関心が
低い傾向があり、それはC君も例外ではなかった。チー
ム内の各種問題に早期対応するためにはメンバの状況を
常に把握することが不可欠であることから、私はC君の
コミュニケーション能力を向上させる必要があると考え
た。

(2)問題発生時の対応能力
 前述の通り、C君のチームの進捗状況がプロジェクト
全体の進捗状況に影響を及ぼすことが想定されたため、
進捗遅れを防止するためには、特にチームでの問題発生
時の迅速に対応することが必須と考えた。

 しかし今まで開発要員としての業務のみを経験してき
たC君には、自立的に問題への対応を行なう、といった
経験がなかったことから、私はC君の問題対応能力を伸
ばすことが必要と考えた。

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2−2 能力の養成にあたり実施した施策
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 前述のチームリーダとして必要な能力の養成にあたり、
私が実務を通じて工夫した点は以下の通りである。

(1) チーム内ミーティングの日々実施
 今までチーム内ミーティングは月曜の朝と金曜の夕方
に2時間づつ実施していた。しかし私は、チーム内メン
バの状況をリアルタイムに把握可能とするため、ミーテ
ィング頻度を向上する必要があると考えた。

 そこで私は、毎日の朝20分と夕方20分にミーティ
ングを実施するようにスケジュールを変更させた。ミー
ティングの議題についても、以前は一週間分の作業計画/
作業実施状況を資料化して報告させていたが、毎日のミ
ーティングでは口頭での報告とするとともに、報告時に
は自分の作業計画/実施状況に対する自分のコメントも
必ず含めさせるようにした。

 この施策により、開発進捗状況がより細かく把握可能
になったのに加え、メンバ自身の開発に対する考えも明
らかになり、メンバの業務に対する日々のモチベーショ
ンの高低も把握できるようになった。

(2) 問題発生時の対応経験の蓄積
 問題発生時の対応方法は基本的な部分は共通であるが
具体的な対応内容は千差万別である。そこで私はC君の
能力を高めるには、問題発生時の対応経験を積ませるこ
とが最も早道であると考えた。

 しかし、自分のチーム内の問題に対応するだけでは短
期間に経験を積ませることができない。そこで私はC君
に対し、一ヶ月間、プロジェクトの他チームの問題発生
時にも対応支援を行なうよう指示した。

 この結果、C君は一ヶ月の間に大小合わせて5件の問
題へ対応し、経験の蓄積および自立的な対応への自信を
持たせることができた。

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(設問イ)
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3 私の実施したチームリーダ養成施策の評価と今後の改善点
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3−1 私の評価
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 今回のプロジェクトの中でC君は初めてのチームリー
ダとして業務を無事に遂行し、プロジェクトも予定通り
完遂することができたが、私の今回の施策が一助となっ
たものと自負している。

 また、私の実施した施策の中の、「チーム内ミーティ
ングの見直し」については、チームリーダがチームメン
バの状況を知ることができるだけでなく、チームメンバ
同士がお互いの状況をより知ることができるという付帯
効果があった。

 このためチームの連帯感が以前より強くなり、チーム
の生産性も以前より向上する結果となったため、私の今
回の施策はかなり評価できるものと考えている。

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3−2 今後の改善点
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 私が今回、「問題発生時の対応能力向上」のために実
施した「経験の蓄積」は効果的な施策であったが、会社
の生産性向上のためには後続に経験を継承していくこと
も、重要である。

 従って、私は今後、社内のリーダクラスが経験として
持っている問題発生時の対応ノウハウをデータベース化
し、必要時にいつでも参照できる様取り組んでいきたい
と考えている。


− 以 上 −





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