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 A社における製造・販売情報の共有化

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(設問ア)
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1.業務プロセス改革の背景と概要
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1.1.A社のビジネス状況
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 A社は電気部品を製造するメーカであり、国内に3ヶ
所の工場を有している。A社では見込み生産方式を採用
しており、1ヶ月間分の製品在庫と、3ヶ月分の仕掛在
庫を持っている。これは、製造原価ベースで、営業利益
の2年分に相当するものであり、キャッシュフローの悪
化、不良在庫となった場合のリスク等、経営に与える影
響は大きい。従って、A社では在庫削減を経営課題とし
て捉え、これに取り組む事となった。

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1.2.業務改革の概要
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 見込み生産量については、月に一度の生産計画会議に
て、営業より提示される受注見通しや市場動向に基づき、
生産部門と協議の上、決定されていた。しかし、いずれ
の部門においても「需要変動への対応」を名目に、実際
の能力よりも多目の数字を設定していた。従って、以下
の通り、部門間にまたがる業務プロセスの改革に取り組
む事となった。

a.月次単位の生産計画を週単位に変更する。
b.見込み生産については、見込み注文を入力する。
c.顧客の状況、生産在庫情報の共有化を図る。

 システムインテグレータであるN社は、長年A社情報
システムのアウトソーシングを請け負っており、私はシ
ステムアナリストとして、参画が要請された。

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(設問イ)
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2.部門間にまたがる業務プロセスの改革における工夫
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2.1.問題点の本質と対策のポイント
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 生産計画を週単位に見直す事で、需要変動への柔軟な
対応が可能になる事は既に述べた。しかし私は、営業部
門が多目の数字を提示する事については、他の要因があ
ると推測し、担当者へのヒヤリングを行った。

 その結果、提示する数字は常に予算との比較が行われ、
ギリギリまで予算を割り込む数字は提示できないとの事
であった。更に、数字をフォローされるのみで、具体的
なアクションプランへの落とし込みも充分で無い。

 私は、営業取締役に、アクションプランへの落とし込
みと、アクションプランでのフォローを提案した。

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2.2.情報技術の最適な利用
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 生産計画業務を月次から週次で見直す事については、
生産部門より対応不可であるとのクレームがついた。具
体的には、現状でも3名の担当者が徹夜を含む2日間専
任体制となっており、これを週で実行する事が現実的で
は無い。これについては、生産計画パッケージの導入を
提案した。特に、多くのパッケージはMRPをベースと
するものであるが、A社のようにプロセス産業向けのも
のを提案した。

 一方、見込み注文を入力する事により、全ての在庫は
着工前に注文と紐付けられる事となる。これにより、不
良在庫については、営業・生産の見込み誤りであるか、
顧客都合によるキャンセルであるか、等の分析が可能と
なる。しかし、私は見込みの精度を上げるためには、注
文情報という形で数値化できない情報についても共有が
必要であると考えた。例えば、顧客の状況・競合他社の
情報などである。これについては、電子掲示板の導入を
提案した。

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2.3.業務プロセス改革のねらいやリスクの共有
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 前述の通り、営業部門へのフォローは、数値だけでな
く、アクションプランでのフォローを提案した。これは、
未達が早期に検知が可能であり、実行予算の見直し・他
顧客でのリカバリ等、代替案の検討が早期に可能と評価
された。しかし私は、営業担当の甘えから、モラルダウ
ンとなるリスクもあると考えた。

 一方、在庫を削減した場合には、納期遅延をおこすリ
スクもあると考えた。そこで、以下について、トップマ
ネジメントの了承を得て、業務改革に取り組んだ。

a.営業部門へのフォローは、数値だけで無くアクション
 プランで実施する。
b.在庫削減効果については、3ヶ月間は追求しないので、
 その間に週次での生産計画を定着させる事。

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(設問ウ)
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3.業務プロセス改革の評価
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 前述の通り業務改革に取り組んだところ、営業担当に
ついては、数値だけでなくアクションプランでのフォロ
ーを実施するという事から、モラルダウンにはならず、
全員が予算を達成している。これは、私の提案が功を奏
していると判断する。

 一方、納期達成率については2ポイントの悪化となっ
ている。これは、20%のところが予定外に30%まで
在庫削減が進んだ事によるものであり、やむを得ない事
ではあるが、在庫削減と納期達成率のバランスを取りな
がら業務改革を進める必要があったと反省している。





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