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A社企業統合におけるシステム監査の実施

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(設問ア)
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1.情報システム統合の目的と概要
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1.1.A社のビジネス環境と統合の目的
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 A社は大手製造業の多角経営の一貫として設立された
電子部品を製造するメーカである。しかし、業界への参
入が遅かったため、A社は苦戦を強いられており、黒字
を定着させるには至っていなかった。

 そのような状況が10年程度続いていたが、親会社の
本業回帰に伴い、A社はX社に売却されることが決定さ
れた。一部の顧客は重複しているものの、A社は国内・
X社は海外の顧客を得意としており、統合によるシェア
拡大・設備統廃合による生産の効率化が見込まれた。

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1.2.情報システム統合の概要
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 A社・X社いずれの情報システムも老朽化が目立って
おり、数年内には再構築が必要と判断されていた。一方、
X社では自社によるシステム開発・運用を行っていたが、
A社ではアウトソーシングを行っており、自社にはシス
テム企画要員のみが残されていた。

 更に、統合が決定されてから統合会社の設立までには
半年しか無く、統合会社のあるべき姿を見据えた統合情
報システムの開発は困難であると判断された。従って、
今回は、短工期・低コストを最優先に考え以下の方針が
決定された。

「基本的には各々の情報システムを継続使用し、会計な
 ど統合時点に必要な最低限の機能はX社システムを使
 用する。A社ではそれに必要なインタフェースの開発
 を行う。」

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1.3.私の立場
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 私の勤務するN社は長年A社情報システムのアウト
ソーシングを請け負っており、この度のX社との統合に
際し、私はA社側のシステム監査人として計画に参画す
ることとなった。

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(設問イ)
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2.統合の適切性を監査する場合の監査項目
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2.1.経営戦略と情報戦略の整合性に関する監査
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 客観的に評価しても、半年という期間で統合会社の情
報システムを構築することは現実的では無い。今回の既
存情報システムを継続使用するという判断は妥当である
と考える。しかし、各々の情報システムが抱える老朽化
による課題がトップマネジメントに認識されていなけれ
ば、経営戦略との整合がとれているとは言えない。

 私は、現状システムを継続使用することに対して、
トップマネジメントの理解・承認の手続きが充分で無く、
統合会社が期待通りのパフォーマンスを発揮できない点
をリスクとして指摘した。監査のポイントとしては、シ
ステム統合の計画書において、現状システムの課題が洗
い出され、トップマネジメントの承認が得られているこ
とを確認することになる。また、統合会社の情報システ
ムの中期計画として、統合情報システム構築の時期・概
算のコストが見積もられていることも確認する必要があ
る。

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2.2.業務プロセス移行の実現性に関する監査
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 前述の通り、会計など一部機能において、A社はX社
情報システムを使用することになる。勿論そのためには、
X社の管理体系・管理方式に合わせなければならない。

 私はこの点において、A社業務プロセスがX社情報シ
ステムに合わせられないリスクを指摘した。監査のポイ
ントとしては、X社情報システムの前提とする業務プロ
セスがX社より明確に提示され、A社により既存業務プ
ロセスのギャップ分析が行われ、移行可能である事が、
利用部門により事前に検討・確認されていることを確認
することになる。

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2.3.情報システム統合の実現性に関する監査
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 今回の情報システム統合は、基本的に開発・改造を最
小限に抑えているためリスクは低いと言える。しかし、
素材の相互供給など統合後に必要となる新業務プロセス
については、相互にインタフェースを開発しなければな
らない。また、A社ではX社会計システムへのインタ
フェースを開発しなければならない。しかし、A社側情
報システム部門についてはN社にアウトソーシングを
行っているため、細部に精通している人材が皆無に近い
ことは明かであった。

 私は、この点について着目し、新業務プロセスについ
て必要となるインタフェースの開発が滞るリスクを指摘
した。同時に、監査のポイントとしては、A社にとって
不可欠となるN社側システム要員が充分に確保されてい
ることを確認することになる。

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(設問ウ)
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3.企業統合委員会の監査に対する留意事項
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 今回の、X社によるA社買収については、企業統合委
員会の組織として、システム監査チーム組織された。私
は、A社側のシステム監査人として様々な形で統合委員
会の実施する監査に協力・助言を行ってきた。

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3.1.監査への協力
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 企業統合委員会に設置されたシステム監査チームが短
期間で効率的にシステム監査が実施できるような支援を
行わなければならない。何故ならば、システム監査チー
ムは各々の企業からの出身者で構成されており、自社シ
ステムはともかく、相手の情報システムに関する知識・
人脈は無い。例えば、以下のような企業統合委員会の求
める監査項目については、A社・X社各々の内部監査人
が実際の対応にあたった。

a.共通仕様が各社で齟齬なく理解されているか。
b.共通仕様は、各社既存情報システムで実現可能な範囲
 に収まっているか。
c.各社の開発に必要なリソースは確保されているか。

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3.2.統合委員会自身の監査
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 一方で、A社・X社から見た場合、企業統合委員会が
本当の意味でチームとして機能しているかも、重要な監
査のポイントになる。例えば、統合とは名ばかりで、そ
れぞれの出身企業の問題しか扱わない体制であった場合、
共通の課題への対処や、全体最適の視点が抜け落ちるリ
スクがある。これについて、私は、企業統合委員会に出
席し、検討内容・検討の過程を確認した。





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