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 通信販売業S社におけるCRM導入計画立案

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(設問ア)
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1.改革に至った背景と改革の概要
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1.1 部門間にまたがる業務プロセスの”あるべき姿”
 に基づいた改革に至った背景
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  S社はカタログによる通信販売業をメインとする企業
である。取り扱う商品はアウター・インナーウェアを中
心として、家具、家庭生活用品、栄養食品などがある。
近年はこの業界にも多くの企業が参入してきており、デ
フレ傾向と合わせて、S社は減収減益が続いている。販
売チャネルについては、電話・ファクシミリ・郵便に加
え、最近はインターネットによる電子販売も開始してお
り、コールセンターの拡充も実施してきた。

 このような状況下で問題が顕在化してきたことがある。
ひとつは、各販売チェネル毎に部門が存在し、同じ業務
プロセスが各組織に存在することにより、類似業務を異
なる組織で重複して処理しているのである。もうひとつ
は、コールセンタでは各部門のデータベースまで検索し
ないと顧客への最適対応ができない、つまり、顧客デー
タベースが一元管理されてないのである。

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1.2  改革の概要
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 私は経営企画部の次長であり、この問題に対するIT
活用戦略の立案を任命された。そこで私は、次の2点を
狙いとして推進することとした。

(1) 業務プロセスの改革
 ベストプラクティスに基づいた業務プロセスを目指し
部門間の業務プロセスの重複をなくし、”あるべき姿”
に改革する。

(2) 顧客データウェアハウスの構築
 各販売チャネルから集まってくる顧客情報を一元管理
化し、データウェアハウスを構築し、各部門のそれぞれ
の業務において、最適な顧客対応を可能にする。
 また、経営判断に役立つ情報をすばやく提供する。

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(設問イ)
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2.私が採用した対策と重要と考え工夫した点
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2.1  業務プロセスの”あるべき姿”と現状の業務
 プロセスとのギャップの克服と解消のための対策
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 私はまず、ベストプラクティスについて、各種セミ
ナー参加、文献による検討、同業者の成功事例などの調
査を実施した。続いて、各部門に対しヒアリングを行い、
現行業務プロセスの調査を行い、あるべき姿とのギャッ
プを明確にした。また、現行システムの改造とするか、
パッケージ導入のいずれにするか、この費用対効果の評
価・検討を実施した。

 この結果、全体最適を目指し、部門間の業務プロセス
の重複を排除し、ベストプクティスを取り込むには、
CRMパッケージソフトの導入がベストと確信し、IT
活用戦略としてまとめ、取締役会で承認を得た。

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2.2 私が重要と考え工夫した点
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 私が重要として捉えた点は次の3点である。

(1) CRM導入推進委員会
 私はCRMの導入を推進していくためには、経営者層
から各部門の合意形成が必要不可欠であり、あわせて
トップダウンで推進することが大切であると考え、推進
委員化会の設置を行った。参加者は取締役1名と、関連
する各部門とシステム部から一名づつのキーパーソン、
そして、経営企画部から部長と私、計8名で推進委員会
を設置した。また、CRMパッケージ導入を依頼した
SIベンダーの経験豊富なコンサルタントにも協力して
もらい、CRMパッケージが持つ業務プロセス、および、
ベストプラクティスについての説明も仰いだ。

(2) パッケージの変更方針の設定
 パッケージの持つ業務プロセスをそのまま取り込むこ
とは望ましいが、現場担当者には自らの変革能力には限
界があり、また、ベストプラクティスを理想として追い
過ぎると現場から拒否反応が出てしまうものである。
 ここで、パッケージと現行業務プロセスとのギャップ
について、必要であれば、変更・追加を行わなければな
らない。私は、この変更・追加について、明確な判断基
準を設定した。それは、
 a.変更・追加にかかる費用と効果の明確化
 b.経営企画部での一次審査
 c.CRM導入推進委員会での承認
を経てはじめて変更・追加を許すことである。

(3) 情報センターの設立
 ベストプラクティスを達成するためには、各業務のあ
らゆる局面においても、顧客データウェアハウスの活用
が大切なポイントとなると私は考えた。したがって、顧
客データウェアハウスの解析・分析能力が重要となる。
ここで私は、システム部に情報センターを設置し、この
情報リテラシーの推進を担当させた。

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(設問ウ)
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3.評価
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 CRMパッケージの導入については、推進委員会の設
置により、トップダウンで進めることができ、また、関
連部署の合意形成がスムーズに達成することができた。
当初は現場担当者の戸惑いや反対の意見もあったが、コ
ンサルタントの支援や、取締役のアドバイスにより、業
務プロセスの改革に至ったと感じている。

 パッケージの変更方針の設定については、チェックポ
イントを設けたことにより、全体最適の考えでギャップ
の解消ができたと確信している。

 情報センターの設置により、顧客データウェアハウス
の分析が進み、新商品のキャンペーンダイレクトメール
の対象者抽出等、販売促進の活動で功を奏している。ま
た、CTIを利用したコールセンターにおいても、電話
と同時に顧客情報が画面に表示され、リアルタイムに最
適な顧客対応が可能になった。CRMの導入前後のお客
様アンケート結果では、対応が「良好」であるとの回答
がほぼ4割増となり、顧客サービス向上が図られた。

 当面は、経営の意思決定に対する顧客情報の分析が課
題と感じており、この情報リテラシーの推進に私は力を
注ぎたいと考えている。また同時に、当初設定した費用
対効果の実績評価を行い、更なる業務プロセスの改善を
実施することが、私の今後の最大の課題であると認識し
ている。

                     以  上





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