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和紙製造販売業におけるSFA導入計画の立案

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(設問ア)
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1.IT戦略立案の背景となった企業のビジネス環境と
情報システムの置かれた状況
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1.1 ビジネススピードの向上を目指すIT戦略立案
の背景となった企業のビジネス環境
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 地方都市に存在するU社は和紙の製造と販売を行って
いる、この和紙は手すきと機械すきがあり、用途として
は書道用紙や包装、はがき・名詞など多岐に渡り、多く
の固定客に支えられ、手すき和紙の販売量では業界のな
かではトップクラスであった。
 しかしながら、機械すき和紙は低価格の通常紙に押さ
れ、また、近年のデフレ傾向により手すき・機械すき共
に売上額の減少が続いていた。
 営業・販売状況については、販売先・地域で分担し、
営業マンがセールス活動を行っているが、知識・ノウハ
ウの共有が不足しており、属人化しているのが現状で
あった。

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1.2 情報システムの置かれた状況の概要
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 U社は伝統的な手すき和紙作りから始まった老舗であ
りながら、同業他社に先駆けて、機械すき和紙作りにお
いて生産管理システムを導入し、成果をあげていた。
 販売管理についても、システム化されていた、しかし
ながら、顧客への販売履歴データがあるもののこのデー
タの活用が不足していた。
 今後は優良顧客の囲い込みと新規顧客の獲得が課題で
あり、合わせて、営業力強化を狙い、ビジネススピード
の向上を目指すITの活用が必要であると、U社の社長
は感じていた。
 私は、システムアナリストとして、この経営課題の目
的達成のために、IT戦略立案の依頼を受けた。


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(設問イ)
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2.立案したIT戦略と私が重要と考え工夫した点
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2.1 ビジネススピードの向上を目指して立案した
IT戦略
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 私はIT戦略立案にあたり、最初に現状の状況調査を
実施した。各種経営指標を分析してみたところ、売上額
の減少以上に商品回転率の悪化が顕在化しており、過剰
在庫の傾向を示していた。
 顧客については、大手企業は少なく、手すき和紙は書
道家に問屋、機械すき和紙は個人事業と中小企業が多く
を占めていた。
 営業面からは、優秀なセールスマンほど、得意先の注
文サイクルをしっかりと把握することで売り上げに貢献
していた。そこで、私は受注タイミングの予測をIT化
することが優良顧客の囲い込みにつながると判断した。
 これらより、次に示すIT戦略を立案した。

(1) SFAの導入
 販売力の強化を目指し、SFA(セールス フォース
 オートメーション)の導入を決断した。また、顧客毎
の受注予測量の管理と生産管理システムへの連携機能を
可能とするパッケージソフトを選定することとした。
 この導入により、営業マンの知識・ノウハウの共有お
よび過剰在庫の減少を狙った。

(2) 受注タイミング予測システムの作成
 顧客毎の受注タイミングを予測するシステムの開発を
進めることとした。これは、過去の販売履歴の受注サイ
クルより次の受注タイミングを予測するものである。つ
まり、御用聞きのタイミンをシステムが提示してくれる
のである。これにより、営業マンの効率的な顧客対応を
目指した。

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2.2 私が特に重要と考え工夫した点
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 私は今回のIT戦略の立案において、次の具体的工夫
を実施した。

(1) SFAの導入目的の明確化
 SFAの機能は多く、全ての機能を取り込むことは逆
にコストのみが増し、効果が薄れてしまう、そこで、私
は目的の絞込みを行い、これを明確にした。
a.営業日報の電子化を実施し、営業担当者と管理者・本
 社とのコミュニケーションの効率化を図る。
b.販売履歴等の顧客情報の参照を可能とし、顧客対応に
 関する情報の共有化を図る。
c.在庫量の圧縮を目指し、営業マンが担当顧客の製品別
 の受注量を予測して、これを管理できうるようにした。
 すなわち、予測と実績の乖離チェックができる仕組み
 をつくり、これによりより営業マン自身が精度の高い
 受注予測を目指すことができるようにした。

(2) 費用対効果を意識したIT戦略への投資
 U社は年間売上高が数億円であり、一般的にはIT投
資額は0.5%から1%前後と考えられる。また、売り
上げの増加予想に対する、IT投資費用対評価見積もり
を行った。この結果、売上げ比率で見て、0.7%程度
の投資が妥当であると私は判断した。
 この費用内に収めるために、SFAパッケージソフト
の選定と導入機能の絞り込みを行い、あわせて、今回開
発する受注タイミング予測システムについて、シンプル
かつ単機能としシステム開発規模の縮小化を図った。

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(設問ウ)
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3.評価
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 私はビジネススピードの向上を目指して、SFAの導
入と受注タイミング予測システムの構築を行い、2年ほ
どが経過した。この結果、売上高で5%の向上、また、
新規顧客獲得率で10%の向上、さらに、営業利益率で
は12%の向上が図られた。
 これらの要因としては、営業マンのビジネススピード
が早められ、それにより生まれた余裕が新規顧客の獲得
につながったと判断している。さらに受注タイミング予
測システムの結果、いつ、どの顧客にセールス活動を行
うべきであるかが明確となり、営業マンの作業の効率化
が図られた。加えて、在庫切れになりそうなタイミング
で顧客に接することが可能となり、お客様からもたいへ
ん喜ばれた。
 SFAの導入については、当初は営業マンの反対や戸
惑いの声も多かったが、トップダウンによる目的説明、
そして、ノートパソコンの活用技術教育の徹底実施によ
り、効果が現れ、現在では必要不可欠なものとなってき
ている。
 私の今後の課題としては、更なる顧客満足と優良顧客
の囲い込みを狙い、CRMの導入を検討し、さらなる売
り上げ増を目指していきたいと考えている。

                                   以 上





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