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 A社における製造部門の統合

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(設問ア)
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1.業務プロセス改革の背景と概要
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1.1 背景
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 A社は通信機器や情報端末の電気メーカで、事業部性
を採っていて、通信機器事業部と情報機器事業部からな
る。各事業部は設計から製造までを行っていて、製造は
事業部毎に有す別々の工場で行っていて、材料の調達等
についても工場間の連携はない。

 通信機器事業部では、従来、電話交換機などの製品を
主に扱ってきたが、近年のIPネットワークの普及に伴
い、IPネットワーク製品にシフトしていて、製品の性
質が情報機器事業部の製品に似てきた。そのため、各事
業部の製造部門を1つにまとめ、新たに製造事業部を設
立し、製造部門の効率化を実施し、コスト削減に取り組
むことになった。また、統合することでスケールメリッ
トも期待されている。

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1.2 業務改革の概要
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 A社では、事業部毎の独立性が高く、業務プロセスや
情報システムが事業部毎に異なっていた。また、業務プ
ロセスでは設計と製造の役割が異なっていて、単純にど
ちらかに合わせるのは難しく、このままでは、統合のメ
リットが出ないのではないかという懸念があった。
 そのため設計・製造までの業務プロセスの見直しと、
効率化について経営層から要請があった。

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1.3 私の立場
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 私はA社の情報システム部に属し、主に経営支援シス
テムを担当している。今回、私はこの業務プロセス改革
プロジェクトの計画立案のリーダを命じられた。
 プロジェクトメンバには、通信機器事業部と情報機器
事業部から設計管理部と製造技術部の課長が各1名、情
報システム部からはプロジェクトマネージャを務める部
長と私の計6名である。

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(設問イ)
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2.部門間にまたがる業務プロセル改革における工夫
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2.1 業務プロセスのあるべき姿と現状
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 業務プロセスの改革を以下の順に行った。
1)理想像(あるべき姿)の構築
 社長をはじめとする経営層へのインタビューを行い、
理想像を固めていった。また、国内外で同様の改革を行っ
た会社について調査し、参考にした。このとき、他社の
事例がそのまま自社に適用できるとは限らないので、自
社の強みを意識し、この強みが生きるようにする。
 自社の強みは品質であり、特に故障率の低さが顧客か
ら評価されている。

2)現状の把握
 次に現場のキーパーソンにヒアリングを行い、現状の
業務プロセスをまとめ図にする。この時、ヒアリングを
行うときに、ヒアリングの意味と結果が今後にどのよう
に反映するのかを説明し、理解してから行った。
 ここで、両事業部では、設計と製造の役割が異なる点
があることがわかった。回路基板を作る場合、設計から
製造に設計資料には、基板のパターン図と、部品表があ
る。情報機器事業部では部品表に部品を特定するための
部品図番を全て指定しているが、通信機器事業部では抵
抗やコンデンサなどの汎用部品については定格のみを指
定し、部品図番の指定は製造部門内の部品技術部で行っ
ていた。

3)理想像と現実のギャップの整理
 次に、1)と2)の結果を比較し、ギャップの洗い出しと
整理を行う。
 部品指定の理想像としては、設計部門で全ての部品に
ついて定格、品質(MTBF)、コストを考慮して、部
品図番の指定を行うのが良い。それは、品質やコストを
上流工程から意識したほうが効果的であるからである。

4)問題点の本質と対策のポイント
 なぜ、通信機器事業部で、このような方法がとられて
いるのかを調査した。当初は、通信機器事業部でも情報
機器事業部のように全ての部品について部品図番の指定
まで行っていたが、まだ情報システムがなく、紙ベース
で部品情報を管理していた時代は、設計が部品の選択を
するのに時間がかかる点や、指定された部品図番を製造
部門でチェックすると不適当なことがあり部品表の変更
が発生し、変更作業が大変なために、だんだん、部品図
番の指定を製造部門に任せるようになったということで
あった。

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2.2 対策
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 4)で整理したギャップの内容に基づいて対策案をまと
める。
 通信機器事業部での部品指定については、品質やコス
トの更なる向上を実現するためにも、設計部門で全ての
部品図番を指定するようにした。また、製造部門で行っ
ていた部品のチェック業務については、品質、コストの
面で有効であると考え残すことにした。特に流用設計時
には、設計の部品選択が最新の部品情報で確認していな
い設計者がいるため、有効だと考えた。
 また、従来のように部品表の変更作業が大変なままだ
と、元のようになってしまうことが考えられるので、設
計部門から製造部門の設計資料の提出から受け入れまで
のプロセスをワークフロー化し、進捗具合の確認や、変
更作業を簡単に実施できるようにする。
 この内容について通信機器事業部と情報機器事業部、
製造事業部の各キーパーソンに説明を行い、実際の作業
を行った。

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(設問ウ)
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3.評価と課題
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3.1 私の評価
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 前述の通り、製造部門の統合に伴う業務改革に取り組
んだところ、製造期間の短縮と、品質の向上を実現でき
た。部門間にまたがる業務にワークフローを用いること
で、業務の簡単化したことが製造期間の短縮につながっ
たと考えている。また、品質については設計部門で部品
の一つ一つに対する責任感が増したためだと考えている。
 また、業務プロセスの改革を行う際に、経営層の意見
を確実に捕らえ、現場のキーパーソンに説明をしっかり
行ったことで大きな混乱もなく、改革が行えたことは上
司から評価されていて、自分でも評価している。

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3.2 今後の課題
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 一方、設計部門の担当者からは、部品図番指定の作業
が大変であるといった意見や、製造部門が設計の指定し
た部品について意見をするのはおかしいといった意見が
ある。品質やコスト向上のための業務プロセス変更であっ
たが、社内全体への説明が不足していた面もあったかも
しれないので、これについては今後、関係者全員への説
明をしっかり行うようにしていきたい。
                      以上.





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