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(段ボール製造業におけるIT基盤の整備計画)

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(設問ア)
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1. IT基盤整備計画の必要となった背景とねらい
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1.1. 背景
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 A 社は全国に25ヶ所の工場を保有する段ボール製造業
である.国内市場でシェアNo.1を誇っている.A 社は従
来受注管理,所要量計算,生産計画, MES,トラックの
運送計画などの業務をサポートするシステムをホスト上
に構築し,運用してきた.しかし,ホストの部品保証期
限が2008年と迫っており,システムの刷新を迫られてい
た.

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1.2. 整備計画のねらい.
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 A 社はシステムの刷新に当たってオープン系システム
をIT基盤とすることにした.これは,前述したようにホ
スト上にシステムを構築していたことによる.ホストの
製造メーカーでは現在A 社で使用している機器を製造し
ていない.また,後継機種を生産していれば,その機器
に現在使用しているシステムを移植することで引き続き
運用を続けられるが,後継機種も製造されていなかった.
他メーカーのホストに切り替えることも考えられたが,
今回のようなことがまた起きないとは限らない.A 社と
しては特定のメーカー(技術)に左右されないIT基盤を
構築したいと考えており,今回オープン系システムでIT
基盤を構築することにした.

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1.3. 私の立場
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 私は製造業向けソリューションを展開しているH 社の
システムエンジニアである.今回のA 社のIT基盤刷新プ
ロジェクトにおいてチームリーダーとして携わった.

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(設問イ)
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2. 私の作成した整備計画
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 前述したようにA 社は「特定のメーカー,技術に左右
されないIT基盤の構築」を望んでいる.これにそって私
は以下のような整備計画を作成した.

(1) A 社の業務のあるべき姿を再構築する
(2) A 社の業務のあるべき姿に基づいて業務ごとにサブ
  システムを構築する.
(3) サブシステムはデータベースを介して情報のやり取
  りを行う.
(4) プログラムからデータベースへの接続方式は業界標
  準のものを使用する.
(5) サブシステムの構築に当たって開発標準を定める
(6) オープン系技術に対応した技術に対応できる人材の
  継続的な育成を行う.
(7) 業務マニュアル,運用マニュアルなどのマニュアル
  類の整備を行う.

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2.1. 私が特に重要と考えた点
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 私はIT基盤の整備計画の作成にあたってA 社の業務の
あるべき姿を再構築することが重要とまず考えた.業務
のあるべき姿をきちんと構築した上でないと,プラット
フォームやネットワークの整理などを有効に行えないと
考えたからである.そして,A 社の業務のあるべき姿を
構築した上で各業務に対応するサブシステムを構築する
こととした.前述したように現状のA 社の業務システム
は業務の種類ごとにきちんと分離されていないため,業
務の変更に伴う変更の際にもすべてのプログラムを確認
せざるをえず,そのためのコストが多大なものになって
いる.このようなことを避けるためにも業務ごとにサブ
システムを分離することにした.このようにすれば,ビ
ジネス環境が変化した場合でも,対応するサブシステム
のみ修正すればよく,変更の際のコストを抑えることが
できると考えた.

 技術的な面ではまずIT技術動向や信頼性について調査
を行った.IT業界では技術革新の名の下,新しい技術が
発表され,流行し,廃れるという流れを繰り返している.
A 社は特定のメーカー,技術に左右されないIT基盤の構
築を望んでいるため,オープン系システムに基盤を移行
した後も同じことが繰り返すことは避ける必要があった.
私は,ここ十年間の技術の動向,標準化団体の動向など
を調査し,データベースを中心に据えたシステムを構築
することを整備計画に盛り込んだ.また,プログラムと
データベースの接続方法も業界標準のものを採用するこ
とにした.

 その他にIT基盤技術者の育成も重要と考えた.A 社で
はホストで構築したシステムの運用経験しかないため,
オープン系システム基盤に対応した技術者の育成が必要
とされた.また,オープン系システムの技術動向は大き
いため,特定の技術に左右されないシステム基盤という
A 社の前提がひっくり返されかねない.その動きに追随
できる人材を育成する必要があった.その他にも開発基
準,運用マニュアル,業務マニュアルの整備も盛り込ん
だ.A 社は従来,特に開発基準,運用マニュアル,業務
マニュアルが存在しなかった.このことも業務システム
の変更のコスト増加や,業務の必要性の判断無く業務シ
ステムの改修につながっていた.

 繰り返しになるが,私は以下の点を重要と考え,整備
計画に盛り込んだ.
(1) A 社業務のあるべき姿を再構築し,再構築した業務
  に対応した形でサブシステムの構成を決める
(2) ITシステム基盤の中心にデータベースを中心に据え,
  かつプログラムは業界標準の方式を採用する
(3) オープン系システムに対応できる人材の継続的な育
  成,および開発標準や運用,業務マニュアルの整備

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(設問ウ)
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3. IT基盤の整備計画に対する私の評価と今後の課題
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3.1. 私の評価
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 現在,私の作成した整備計画に基づき,要件定義,機
能設計,開発まで作業が終了し,A 社のシステム部門お
よびエンドユーザによる運用テスト中である.運用テス
トに先立ちA 社ではシステム部門,エンドユーザに対し
業務のあるべき姿と業務マニュアル,運用マニュアルに
ついて教育を行った.そのため,運用テストにおいても
あるべき姿に基づいた評価をいただいている.また,業
務ごとに明確にシステムが分かれているため,業務を進
める上でどの機能を使えばよいか分かりやすいという評
価も頂いている.これは整備計画にA 社業務のあるべき
姿の構築を盛り込んだ成果と考えている.

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3.2. 今後の課題
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 A 社システムは今の段階では運用テスト段階である.
従ってビジネス環境の変化にはさらされていない.A 社
の顧客の動向によってはビジネス環境の変化は十分に起
こりうる.今後,A 社のビジネス環境の変化にシステム
が追従できるか継続して検証を行い,A 社のビジネス
パートナーとして引き続きA 社の利益向上に貢献してい
きたいと考えている.

以上





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