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(稼働開始時期を満足させるためのスケジュール作成について)

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(設問ア)
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1.プロジェクトの概要と稼動開始時期が決定された背景
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1.1 プロジェクトの概要
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 大手地方銀行のA銀行は、収益確保のため、個人に対
するローン商品の販売を強化している。融資可否の判断
には、自動審査システムを用いて、効率化を行っている。

 融資可否判断の精度を向上させるため、業界ではロー
ン契約者の信用情報を相互に登録・照会できるシステム
(以下、個人信用情報システム)を構築し、共同して個
人信用情報センターを運営している。A銀行の自動審査
システムもこの個人信用情報システムに接続し、融資可
否判断に必要な情報を取得している。

 このたび、セキュリティの強化と情報の拡充を目的に、
個人信用情報システムが更改されることとなり、A銀行
も対応をせまられることとなった。

 私は大手SI会社に勤務し、かねてよりA銀行自動審
査システムの構築にたずさわってきた経験から、本プロ
ジェクトのプロジェクトマネージャに任命された。

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1.2 稼動開始時期が決定された背景
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 個人信用情報システムの更改時期は、すでに確定して
いた。更改後、1年間は移行期間として旧システムの継
続利用が認められていたが、その間の旧システムの運営
費用を別途追加負担することが定められていた。

 A銀行では追加負担を回避するため、個人信用情報シ
ステムの更改に合わせて、自社のシステムを対応させる
ことが決定された。

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(設問イ)
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2.稼働時期を満足させるためのスケジュールの作成
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2.1 日程を変更できないイベントやタスク
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 本プロジェクトの主な目的は、自動審査システムを個
人信用情報システムに正常に接続し、正しく照会を行い、
回答を受け取ることである。したがって、接続テストに
て十分に確認する必要があった。

 個人信用情報センターでは、各社の接続テストの日程
を策定し、各社に通知していた。接続テストの日程は変
更することも可能であったが、他社のテスト日程との関
係もあり、希望する日程に変更できない可能性があった。
実際、接続テストの変更について問い合わせたところ、
大幅に後日の日程にしか変更できことがわかった。その
日程では、期日通りに稼働できないおそれがあった。私
は「接続テスト」を日程を変更できないイベントと認識
した。

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2.2 稼働開始時期を満足させるための調整
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(1)スケジュールの作成
 私はシステム開発標準や過去の類似プロジェクトを参
考にWBSを作成した。WBS上の各タスクの所要日数
を見積り、タスクの実行順序を設定しスケジュールを作
成した。その結果、「接続テスト」までに終えなければ
ならないいくつかのタスクが完了できないことが判明し
た。
 「接続テスト」までには、
 ・機器の調達、回線の導入、通信ミドルウェアの設定
 ・テスト項目書、テストデータの作成
が必要である。特にテスト項目書、テストデータの作成
はテストケースが多岐に渡ることもあり、分量も多かっ
た。一部作業には、有識者が欠かせない作業もあった。

(2)スケジュールの調整
 機器の調達、回線の導入、通信ミドルウェアの設定は
当初プロジェクトメンバーで対応する予定であったが、
スケジュール上の問題もあり、システム管理を担当する
他部署に応援を要請した。開発作業と並行して作業を行
うことができた。

 テスト項目書、テストデータの作成は、「接続テスト」
までにすべてのテストケースを準備することは不可能で
あると判断し、次のように対応した。

 テストケースを通信制御に関するテストケースと業務
電文の検証に関する部分に分ける。実機・実環境で行う
「接続テスト」では、通信制御に関する異常系テストと
業務電文の検証のうち主要なテストケースのみ実施する。
残りのテストケースは、シミュレーターを用いて自社内
で実施する。

 この対応により、テスト項目書、テストデータの作成
の一部作業は「接続テスト」後に実施順序を変更するこ
とが可能となった。また、有識者が欠かせない作業は、
先行してモデルケースを作成し、他のメンバーがそれを
参考にして作業を行う。有識者は専ら成果物のチェック
やレビューに専念し、ボトルネックにならないようにし
た。

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(設問ウ)
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3.評価と改善点
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3.1 評価
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 「接続テスト」までにすべての準備が整い、無事実施
することができた。その後、本システムも当初予定通り
に対応を終え、稼働開始した。事前に日程を変更できな
いイベントを考慮し、タスクを分割、並行実施したり、
実施順序の調整を行った今回の対応の成果であると評価
している。

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3.2 改善点
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 今回、他部署に応援を要請し、並行して作業してもらっ
たが、コミュニケーション不足に起因するトラブルが発
生した。
 並行して、多数が作業をする場合、進捗を確認しあう
などコミュニケーションを密にするタスクを忘れないよ
う改善していきたい。
                      (以上)





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