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(情報システムの全体最適化とシステム監査について)

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(設問ア)
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1 私が関わったシステムの概要と企業全体から見た場合のシステムの問題点
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1−1 システムの概要
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 A社は、会員数400万人以上を持つ大手のインター
ネットサービスプロバイダである。当初はビジネスユー
ザ向けのみにサービスを提供していたが、インターネッ
トの普及に伴い5年前からコンシューマユーザ向けの
サービスも提供している。

 このような経緯から、ビジネスユーザ向けとコン
シューマ向けのサービスは異なるシステムでの提供を
行っている。また、システム主管についてもビジネス
ユーザ向けシステムはA社の法人営業部であるのに対し、
コンシューマユーザ向けシステムはコンシューマ営業部
となっており、今日まで両営業部では独自にそれぞれの
システム開発を進めてきている。

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1−2 企業全体から見た場合のシステムの問題点
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 前述のように2つのシステムが平行して運用している
状態のため、最近では以下の問題が表面化するように
なってきている。

a.ビジネスユーザ向けに提供している高度サービスメ
 ニューをコンシューマユーザ向けに提供しようとした
 場合、コンシューマユーザ向けシステムに新規の開発
 が必要となる。

b.中小企業ユーザ等でビジネスユーザ向けおよびコン
 シューマユーザ向けの両方のサービスを利用している
 場合にISP利用料の請求書が別々に発行されるため、
 ユーザから改善を求められている。

c.システム保守運用も独立で実施しているため、殆ど同
 一の作業内容にも関わらず、システム保守運用のため
 のコストが2システム分必要となっている。


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(設問イ)
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2 システムの全体最適化計画に対する監査項目
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2.1 全体最適化計画
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 前項で述べたシステムの問題点に対応するため、A社
の経営企画部において、システム全体最適化計画の立案
が行われた。

 その計画とは、第一段階として、両システム間の連携
機能を機能追加し、ユーザサービス向上を図ることとし
た後、第二段階としては、3年後に両システムを廃止統
合し、新しいシステムへ移行させる計画である。

 私は、A社と過去何度か取引経験のあるコンサルタン
トであるが、今回A社経営企画部からの依頼によりこの
全体最適化計画の監査を担当することとなった。

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2.2 全体最適化計画の監査項目
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 私は、システム管理基準等を参考にして、以下の3点
を監査の観点とし監査項目の抽出を行なった。
・全体最適化計画の方針・目標について
・全体最適化計画の承認について
・全体最適化計画の策定について

(1)全体最適化計画の方針・目標について
 今回最適化を計画しているシステムはA社の事業基盤
の根幹を成すものであり、極めて重要である。従って、
その計画の方針・目標がA社の今後の事業運営方針・目
標と整合しているか確認することが監査項目として挙げ
られる。
 また、今回の全体最適化計画は、2つの段階により実
施されることから、第一段階と第二段階のそれぞれの計
画について細かい部分で方針・目標に差異が生じていな
いかも監査項目となる。

(2)全体最適化計画の承認について
 今回の計画は全社的なものであることから計画の承認
においてはA社のトップである社長以下主要なメンバの
承認が必要である。従って、それらの承認が行なわれて
いるかどうかどうかが監査項目となる。
 具体的には、承認行為を行なう手段が決裁行為による
ものか会議形態によるかを確認した後、決裁者や会議の
出席メンバの中で、社長以下主要なメンバが含まれてい
るかどうかを確認する必要がある。特に、現システムの
システム主管である、法人営業部およびコンシューマ営
業部のトップおよびキーマンが、メンバに含まれている
ことが重要な監査ポイントとなる。

(3)全体最適化計画の策定について
 全体最適化計画の策定においては、投資額や投資を行
なった場合の効果が明確になっているかが監査項目とし
て挙げられる。更に今回の計画では、現システムからの
移行作業が発生するため、移行にあたって万一の事態が
発生した場合リスクおよびその対処方法が計画の中に盛
り込まれているかがポイントして挙げられる。


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(設問ウ)
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3 監査を実施する場合の手法
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 前項で述べた監査項目について実際に監査を実施する
にあたり、私の考える監査する際の手法は以下の通りで
ある。

(1)全体最適化計画の方針・目標について
 全体最適化計画の方針・目標については、まずはA社
の事業計画で記載されているA社の事業方針・目標との
整合性の確認を行なう。更に、システムの主管である法
人営業部およびコンシューマ営業部のそれぞれの事業計
画データも参照し、全体最適化計画との整合性が取れて
いるかどうかの確認も行なうべきである。

(2)全体最適化計画の承認について
 社内体制表を基に、決裁者または会議参加者が社長、
役員、または主要事業部長であることの確認を行なう。
システム主管事業部のキーマンについては社内体制表だ
けでは判断できないため、事業部内ヒアリングにより
キーマンを導出し、それが承認者として含まれているか
どうかの確認を行なう。
 また、会議での合議を承認とする場合においては会議
の出席状況や代理出席の有無を確認し、欠席したメンバ
に対する意向確認方法を確認することも必要である。

(3)全体最適化計画の策定について
 策定した全体最適化計画の中の第一段階、第二段階そ
れぞれについて、A社の投資計画データと比較し、整合
性がとれていることを確認する。第二段階の計画は3年
後であるため、投資計画データ上からはシステム全体最
適化のための投資が読み取れないケースも想定される。
その場合は、ヒアリングによりA社投資計画に含まれて
いることの確認を行なう。
 また全体最適化計画の中にリスクへの対処方法により
その対処に必要となる資源が、他の計画でも準備されて
いることを確認する必要がある。具体的には、「人的資
源による回避」が挙げられている場合は要員計画との整
合性の確認を行ない、「金銭による回避」が挙げられて
いる場合は、A社事業計画の中の費用計画との整合性の
確認を行なう必要がある。




                 − 以 上 −





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