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(情報システムの全体最適化とシステム監査について)

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(設問ア)
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1.私が携わった情報システムの概要
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1.1.情報システムの概要
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 私はプリンタ基盤製造を中心に製造・販売を行ってい
るC 社の監査室に勤務している.C 社では長年にわたり
生産管理部や,購買部といった部署ごとに業務システム
を導入し,運用してきた.部署ごとに構築されたこれら
の業務システムは,C 社の各職場で勤務する人員の改善
意見を採り入れつつ,改修を重ねてきた.

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1.2.C社情報システムの問題点
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 市場のグローバル化を受け,C 社でも全社的に柔軟に
市場へ対応する必要に迫られている.そのためには,生
産ラインの柔軟な対応がC 社のような製造業では必要に
なる.しかし,上記のようにC 社は部署ごとにシステム
を最適化してきた.その反面,関連する部署であっても,
システム同士の連携が取れず,生産ラインの変更に伴う,
材料の調達や,出荷手配の変更という手続きがスムーズ
に取れずにいた.

 そこで,C 社経営陣は,市場への柔軟な対応という経
営戦略の実現のため,C 社内の業務システムを刷新し,
市場の変化に柔軟に対応できるC 社全体で最適化された
システムの導入を決定し,プロジェクトチームを発足さ
せた.

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1.3.私の立場
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 私はこの新システムプロジェクトチームの企画業務に
対し,経営戦略と整合性が取れているかという観点に立
ち,責任者という立場で監査チームを率い,監査を実施
した.


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(設問イ)
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2.C社システム全体最適化計画に対する監査項目(設問イ)
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2.1.監査の観点と監査項目
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 私は今回のシステムの全体最適化計画が従来行ってき
た各種システム監査とは観点が異なると考えた.全体最
適化という観点に立てば,従来の業務そのものや組織を
見直す必要もある.また,全体最適化計画の趣旨が理解
されていない場合,抵抗にあうことも考えられる.

 上記の点を考慮し,経営戦略との整合性という観点か
ら次の監査項目を立てた.

1)全体最適化の方針・目標が明確になっているか
2)全体最適化計画の承認は組織の長によりなされている
 か
3)全体最適化計画における業務・組織の変更は何らかの
 方針に基づいているか
4)全体最適化計画の趣旨について利害関係者の間で合意
 が取れているか.

  以下,これらの項目について説明する.

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2.2.全体最適化の方針・目標について
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 企業システムにおける全体最適化といっても,業種・
業態ごとに目指す「あるべき姿」は異なる.C 社の場合
C 社の経営戦略を明確に反映したものでなくてはならな
い.

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2.3.全体最適化計画の承認について
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 今回の全体最適化計画の最終的な責任は経営陣,特に
代表取締役に帰せられる.そのためにはプロジェクト
チームのまとめあげた方針・目標について役員会議にお
いて議論され,承認を得ている必要がある.

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2.4.全体最適化計画における業務・組織の変更について
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 全体最適化に伴って業務・組織の変更を行うといって
も何らかの判断基準が必要である.プロジェクトチーム
において,どのような判断基準(例えば,エンタープラ
イズアーキテクチャにおける参照モデルなど)を用いて
いるのか,明確にしておく必要がある.

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2.5.全体最適化計画の趣旨について
  利害関係者の間での合意
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 全体最適化計画によって,携わる業務が大きく変わる
ものや,部署そのものが見直し対象になるものが生じる
と考えられる.また,各職場から挙がった改善要望に基
づくシステムの改修計画も停止するものもある.この計
画によって一時的に不利益を被る部署の長を中心に合意
が取れている必要がある.


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(設問ウ)
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3.監査項目に基づいて監査を実施する場合の手法
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 私は上に挙げた各監査項目について以下のような監査
手法を取った

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3.1.全体最適化の方針・目標に関する監査
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 プロジェクトチームの会議議事録を参照し,以下の点
を確認した.1)全体最適化の方針・目標が議題として挙
げられている.2)議論の経緯について経営戦略を意識し
た討議になっていることを確認する.3)最終的に得られ
た結論(方針・目標)が経営戦略と矛盾のないことを確
認する.

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3.2.全体最適化計画の承認に関する監査
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 この点については,代表取締役,および役員へのイン
タビューを実施し,1)役員会において全体最適化計画を
討議したこと,2)承認を行ったことを確認した.

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3.3.全体最適化計画における業務・組織の変更方針
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 プロジェクトチームの会議議事録を参照し,以下の点
を確認した.1)業務・組織の変更に関する基準に関し合
理的に討議されていること.2)討議の際,どのような基
準を用いているか明確に示されていること.

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3.4.全体最適化計画の趣旨に関する
  関係者への周知について
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 以下の手法を使用した. 1)C 社各部門の長に対し,全
体最適化計画の内容について知っており,部署単位での
影響について理解しているかを確認する.




以上





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