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(IT基盤の整備計画について)

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(設問ア)
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1.IT基盤の整備計画について
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1.1 背景
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 A市では、小中学校において、パソコンを利用した教
育に熱心であり、各学校においてパソコン教室を設営し
情報技術教育に力を注いでいる。

 教材ソフトには、クライアントサーバー型のシステム
を利用してきた。各クライアントには、市のデータセン
ターのサーバー側の教材を閲覧したり、テストに回答す
る機能を持ったクライアント・ソフトウェアをインス
トールして使用している。

 各学校で情報処理専門の教員を確保するのは難しく、
数学や理科などの担当の教職員がパソコン教室の運営に
兼任で当たるケースが多い。

 クライアント・ソフトウェアの改版があった場合、担
当の教職員が全てのパソコンにインストールしているが
その業務負荷が高いとクレームがあがっている。

 また、情報処理専任ではないため、パソコンが故障し
た場合や、ウィルスの混在などの対応が即時出来ないケ
ースが多々あった。

 各パソコンでの各人の入力結果や試験結果がハードデ
ィスクに保存されるため、パソコンが盗難にあった場合
などの個人情報保護対策も検討する必要がある。

 パソコンの私的利用の可能性も問題視されている。

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1.2 実現を目指したIT基盤の概要
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 パソコン環境のメンテナンス工数の削減、ウイルス対
策、個人情報の保護の強化、パソコンの目的外使用の禁
止を実現するものとして、サーバ側でクライアント・ア
プリケーションを実行する方策と、パソコンのリプレー
ス時期に合わせて、ディスクレスのシンクライアントP
Cを採用することに決定した。


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(設問イ)
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2.IT基盤の整備計画の作成
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2.1 シンクライアントシステムの導入
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 クライアント・サーバ型の問題として、アプリケーシ
ョンの配布工数が高い、WANを通した通信負荷が高い
というのがある。これを解決する手法として、Webシ
ステム化とシンクライアントシステム化が近年注目を浴
びてきている。

 シンクライアントシステムとは、サーバ側でクライア
ントアプリケーションを実行し、端末ではその実行結果
を表示するだけと言うものである。

 さらに最近では、オフラインでは動作出来ない、ディ
スクレスのシンクライアントPCがさまざまなベンダー
から提供されるようになっている。

 私は、システムのWeb化とシンクライアント化にか
かる費用を試算して比較してみた。システムのWeb化
には、アプリケーションのロジックの全面見直しが必要
であり、シンクライアント化に比べると多大な初期投資
が必要であった。また、Web化の場合、今までの教材
の再利用が難しかったり、利用者の使い勝手が変わるた
め、利用者教育にかかるコストや時間も問題となった。

 私は、シンクライアント化を採用する方針とし、個人
情報保護の強化を実現するために、端末にはディスクレ
スのシンクライアントPCを導入することにした。

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2.2 特に重要と考え、工夫した点
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 私は計画の策定にあたって、今現在の問題が解決でき
るだけでなく、将来に渡って利用者がシステムを利用で
きる環境の構築に留意した。
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2.2.1 対象業務への適合性
 私は、新しいシステムの導入によって、現在の業務上
の問題点が解決されるかどうかを一つ一つ検討していっ
た。

(1) PCメンテナンス工数の削減
 市のデータセンターに新たに設置するサーバ上でクラ
イアントアプリケーションを動作させるため、各学校で
アプリケーションのインストール作業は必要なくなる。

 シンクライアントPCの場合、故障する可能性が最も
高いディスクがないため、故障時の対応件数自体が下が
ると期待される。

 私は、シンクライアント端末を使用している事例をイ
ンターネットで検索した。ベンダー側の成功事例として
紹介されているもので条件が似ているものを、実際の適
用先に企業や学校にインタビューを試みた。

 そこで判明したこととして、OSのセキュリティパッ
チのインストール手順が普通のPCに比べると難しいと
いうものであった。それ以外は、使い勝手も変わらず、
満足していると言う結果を得た。

 これについては、通常のPCに比べると、ディスクが
ない分、パッチを当てる頻度は一月に一回としても問題
がないと判断した。

(2) ウイルス対策
 ディスクが存在しないため、ディスクを書き換えて感
染するウイルスには強くなる。反面、ウィルス対策ソフ
トは各端末にはインストール出来ないため、メモリに常
駐するワームタイプのウイルスには効き目がない。

 この弱点に対しては、比較的閉じたネットワークであ
ることから、インターネットとの接続部分に侵入検知製
品を導入することで対応することとした。

 それでも感染した場合は、端末の再起動で対応できる。

(3) 個人情報の保護の強化
 データは全て市のデータセンター側のサーバに保存さ
れるため、各学校でセキュリティを大幅強化する必要が
ない。万が一、端末が盗まれた場合でもデータは一切存
在しないため、情報漏洩の可能性がない。

(4) パソコンの目的外使用の禁止
 個人的なアプリケーションのインストールは一切出来
ないため、目的外に使うケースは大幅に制限される。

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2.2.2 シンクライアントPCの将来性
 今までは提供していなかったベンダーもシンクライア
ントPCの供給を開始したり、導入事例も増えてきてい
る状況を鑑みて、シンクライアントが一時的な流行に終
わらず将来的にも安定供給され続ける可能性が高いと判
断した。

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2.2.3 パソコンリプレース計画との整合性
 A市では、計画的にパソコンが導入されてきたため、
パソコンのリプレース時期が同時に行われていることも
好都合であった。切り替えをまとまった単位で行うこと
になるため、セキュリティの強化も一斉に対応可能とな
る。

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2.2.4 運用体制の確立
 基本的には、クライアントアプリケーションをサーバ
側で動かすだけであるため、利用者側の使い勝手は今ま
でと同じになる。利用者教育について特別な負担は生じ
ない。

 導入後の運用体制については、シンクライアントPC
のベンダーとPCを含めたシステム全体の保守契約を結
ぶことで、トラブルに備えることとした。


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(設問ウ)
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3.評価と課題
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3.1 私の評価
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 専任の情報技術の教職員が確保出来ない状況で、簡単
に運用可能なシンクライアント端末を利用したシステム
の構築はピッタリとはまるものであった。

 市の職員からは、小中学校だけでなく、市の基幹シス
テムへの導入の検討をいただくなど、高い満足感を得て
いただいている。

 これらの結果から、このIT基盤の整備計画は成功した
と判断している。

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3.2 課題
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 ハードウェアやシステム的な導入だけでは、近年問題
となっている個人情報漏洩の危険に十分には対応できな
い。担当の教職員の情報リテラシーの向上、セキュリテ
ィ意識の強化は大きな課題である。

 教職員の情報リテラシーの向上と合わせて、本当の意
味で導入が成功したと言える。

 私は、市の責任者に運営上の課題を解決するため、教
職員の教育プログラム実施の提案を行っている。これが
採用されれば、教職員の情報リテラシーの向上に寄与す
るものと考えている。





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