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(情報システムの活用による間接業務の効率向上について)

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(設問ア)
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1.私が携わった間接業務の効率向上策の概要
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1−1 対象となる間接業務の概要
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 S社は大手の電機メーカーで、従業員は2万人を超え
る。業界は多くの会社が参入しており熾烈な競争が続い
ている。競争に勝ち抜くためには他社に先駆けて独創的
な技術を開発していく必要がある。S社の持つ経営信条
の中に、自社で開発し保有している技術だけでなく、所
属する技術者の持つ知識やノウハウが会社発展の源泉と
なるという考え方がある。しかし近年、企業規模が拡大
したことにより、従業員、特に技術者が大幅に増加し、
技術者の知識を把握することが難しくなった。そこでS
社では2年前より、全従業員を対象とした人事管理に加
え、技術者を対象とした技術スキル管理を行っており、
ある技術を持った技術者がどの地域もしくはどの事業分
野にいるかなどを経営層が把握できるようにして、これ
が事業経営に大いに役立っていた。

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1−2 部門間役割分担の見直しと情報システムの活用
について
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 しかし、この2種類の人事管理の仕組みが並存するこ
とにより、多くの技術者からは人事申告の手間がかかる
という苦情があがって来ており、また人事管理部門では
業務が集中し業務効率の低下を招いていた。
 そこで、業務効率の低下を招くことなく二つの人事管
理システムを生かす方法を検討すべく、経営層の指示で
プロジェクトチームが編成されることになった。メンバー
は人事部門、情報システム部門、技術部門から選出され、
私は技術部門の技術管理セクションの所属員として情報
システムに対する知識を買われてプロジェクトに参加し
た。                       

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(設問イ)
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2 施策実現のために私が重視したこと
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2−1 重複業務の整理
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 私は、業務効率の低下を招かないようにするためには、
まず業務プロセス全体を効率の観点から見直し、ムダな
業務や重複業務などを整理すべきだと考えた。そこでま
ず、対象となる業務のプロセスを分解して、集中させた
ほうがいい業務と分散させたほうがいい業務とに分担す
ることにした。

 現在、従業員に対しては年1回、各人宛に質問表と解
答用紙が配布され、人事情報の確認と今後希望する職種
などの質問がなされて、従業員は解答用紙に記載して返
送する。解答用紙はマークシートになっており、全従業
員の解答用紙は人事部門に集められてデータベースに入
力される。一方、技術系従業員に対しては、こちらも年
1回であったが、人事部門の調査とは別の時期にメール
にて調査依頼が届くようになっていた。調査はWebサーバ
にブラウザでアクセスして回答をする方式で行われてお
り、回答のデータは技術部門の技術管理セクションの管
理するサーバで蓄積されていた。

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2−2 集中分散すべき業務と部門間の役割分担
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 私は当初の予想として、情報を管理するサーバを一つ
に統合して、調査方式をマークシート方式からメールと
Webを用いた方式に移行すれば、問題は解決するので
はないかと踏んでいた。しかし、プロジェクトのメンバ
ーと状況を調査していくにつれ、そう簡単な問題ではな
いことが徐々にわかってきた。

 まず、技術者向けの調査においては管理すべき技術ス
キルの分類が重要で、これが逐次更新され最新の技術動
向を反映し実態に即したものになっていることが技術ス
キル情報の活用の鍵となるのであるが、人事部門では技
術スキルの分類のメインテナンスが困難であることから、
技術スキルのデータベースを含めた管理が技術部門の技
術管理セクションにゆだねられた経過があった。また技
術スキル調査はあとから導入されたので当初は人事情報
調査と調査時期が重ならないように日程が設定されそれ
が変更されることなく今に至っていた。

 また、人事情報の調査においては過去幾度かWebを
用いた調査への移行が検討されていたが、人事部門が所
有するサーバが旧式でWebなどを用いて従業員の直接
アクセスに絶えられないこと、人事情報が秘密性の高い
内容で人事部門以外に情報を漏らしてはいけないこと、
全従業員が必ずしもWebアクセス出来るわけではない
こと、などを理由にして、移行が見送られ、旧来のマー
クシート方式が継続されてきたこともわかった。

 私は、単に新しい方式を導入して、管理する情報を統
合することだけでは業務効率の改善は図れないと考えた。
やはり各部門がその特性に応じて業務上の役割を適性に
分担することが重要である。プロジェクトでの討議の結
果、システムにおける各部門の役割分担を以下のように
定めた。

 技術部門=技術スキルデータの保守
 人事部門=人事データの保守

つまりシステムの構成を変えてもデータ保守の担当は現
在と変えないほうが効率が高いということになった。

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2−3 情報システムの活用            
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 検討の過程で、人事部門の管理データベースのシステ
ムがリプレースの時期にあり処理能力が向上する予定で
あることが判明した。それを踏まえて、私はプロジェク
トのメンバーとともに検討結果をまとめて、以下のよう
な提言を行った。

1)部門間の役割分担を崩さないようにしながら、We
  bでの調査の仕組みなど、今後段階的に導入してい
  くことで、現在の人事部門の業務の負担を軽減して
  いくよう、情報システム部門と人事部門が協力して
  取り組んでもらう。
2)二つの調査の時期を近づけて行うことでユーザ部門
  の技術者や従業員の負担が減るようにする。将来的
  にはマークシートがなくなり、人事情報の調査と技
  術スキルの調査が同じWebブラウザの画面から入
  力できるようにする。

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(設問ウ)
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3 成果の評価と今後の課題
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3−1 成果の評価                
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 その後、プロジェクトの検討結果を踏まえて、人事部
門、情報システム部門、技術部門が中心となってシステ
ムの改善事業がスタートした。今後順次システムが更新
されていくので、今すぐ成果が出るわけではない。しか
し私は、今後改善が順調に進めば、当該部門では事務作
業の軽減や効率向上が図られると考えている。

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3−2 今後の課題
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 今回の業務においては、先入観にとらわれず、正確に
現在の状況を把握し、業務プロセス全体をきちんと見直
した上で、効率向上策が立案できたと考えている。
 今後は、業務効率の向上策に加えて付加価値を追加で
きる対策もあわせて提案できるよう努力していきたい。





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