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(パイロット開発について)

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(設問ア)
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1.システム概要と対象業務の特徴及び本開発に当たっ
 て想定した課題
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 今回論述対象となるシステムは,某家電メーカ向けコ
ールセンタシステムである。業務の特徴としては,大人
数での同時使用,高応答性を必要とするなどがあった。

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1−1.システム概要
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 本コールセンターシステムは,過去の問題を蓄積し,
それをオペレータが検索する機能,問題解決時にその内
容を保存する問題点蓄積機能。更に,問題点を分析し,
本社へ次期開発のデータとするための分析機能及び,オ
ペレータの教育のため教材作成機能がある。

 このシステムを導入することにより,オペレータの経
験の多少にかかわらず,誰でも的確な回答を行えるよう
にし,顧客満足度の向上を図る。更に,オペレータの負
荷低減を主目的としたシステムである。

 本システム開発に当たって,私は開発チームリーダと
して参加した。

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1−2.パイロット開発で対象とした業務の特徴と本開
 発に当たって想定した課題
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 システム開発においては,一括導入などをすると,リ
スクを負う可能性がある。そこで,対象となる業務につ
いて分析し,本開発での課題を想定しなければならない。
そこでまずは,業務の分析を行った。

(1) 業務の特徴
 顧客とのヒアリングの中で,メインとなるコールセン
タの業務について分析を行った。その結果,「同時使用
のピークが300 人」「電話で通話しながらの対応なので,
高い応答性を求めると同時に,高い操作性を要求する」
という2 点が重要であると判断した。

(2) 本開発に当たって想定した課題
 本開発に当たって想定した課題としては,(1) の要件
を満たすことが不可能となる可能性があるとと予想した。

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(設問イ)
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2.パイロット開発の計画と評価を確実に行うために工
 夫した点
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 今回のパイロット開発では,開発の対象となる処理と
して,オペレータが検索を行う処理とした。また,特に
注力する点として,応答時間,同時利用,操作性を挙げ
た。

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2−1.パイロット開発の計画
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 今回のパイロット開発では,コールセンタの検索機能
のみを対象とし,応答性などを重要視しない,本社へデ
ータを上げる分析機能,問題点登録機能及び教材の作成
機能については対象外とした。

 コールセンタの検索機能に的を絞り,その中で,応答
時間,同時利用,操作性の3 項目を中心にパイロットシ
ステムを構築することとした。

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2−2.評価を確実に行うための工夫
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 評価を確実に行うためには,目標の設定や,テスト環
境の整備などが必要となる。そこで,今回は,応答時間
の目標設定,300 人同時使用のシミュレーションシステ
ムの構築及び,実際のオペレータによる操作性に関する
試験を行った。

(1) 応答時間の目標設定
 応答時間は,検索ボタン押下から,画面表示までの時
間を2秒以内とした。

 一般にはインターネットなどでの検索では3 秒以内で
行わなければならないというルールがある。しかし,今
回開発のシステムでは,一般の人がインターネットを見
るよりも,更に高い応答性が必要であると考えた。そこ
で,目標値を2 秒とした。

(2) 300人同時使用のシミュレーションシステム構築
 コールセンタでは300 人同時使用でも耐えられる必要
がある。しかし,実際に300 人で同時使用するテストは
不可能であった。そこで私は,300 人同時使用している
と同じ負荷をかけるシミュレーションを構築することと
した。ただ,そこでは,単純にネットワークの負荷をか
けるのではなく,実際のオペレーションに従ったデータ
のやり取りを行わなければ意味がないと考えた。そこで,
検索システムのプロトタイプを作成し,実際のオペレー
タに協力を頂きキー操作を記録することにした。私は,
できるだけ多くのデータが必要と考え,オペレータの方
には,比較的手の空く平日の午前中に実際に操作してい
ただくことにした。そのキー操作をシミュレータに記憶
させ,負荷テストを行えば良いと考え実施した。

(3) 操作性試験
 応答性を考える場合,オペレータがシステムにログイ
ンしてから,条件などを入力し,検索ボタンを押すまで
の時間。つまり,操作性も重要であると考えた。そこで,
操作性の試験については,開発側の人間が行っても意味
が無いと考え,実際のオペレータに協力を頂き,操作性
の確認を行うことにした。

 試験をしていただくオペレータには,熟達殿違いがあ
り操作性の考えが違うと考え,経験のほとんどない新人,
平均的な中堅,及び熟達した人をそれぞれ 2名ずつ協力
いただけるように依頼し,実施した。


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(設問ウ)
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3.評価と課題
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 既に本開発も終了している。パイロットシステムで確
認したことにより,特に問題も無く終了した。しかし,
操作性の面で,新人にはやや使いづらいという意見があ
った。

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3−1.評価
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 パイロット開発で確認したため,実運用でもピークと
なる休日の午後でも応答性には問題はでていない。また,
パイロット開発から除外した,分析機能,教材作成機能
についても大きな問題は発生していない。それらのこと
から,機能の切出し,注力点の選定は正しかったと確信
している。

 また,操作性という面で,メニュー(製品)の選択に
時間がかかるという問題があった。それに対して,メニ
ュー選択にショートカットを利用して,ピンポイントに
メニューを操作する機能を追加した。これが特に熟練者
には評判がよく,パイロット開発での成果の一つである
と考えている。

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3−2.今後の課題
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 今回のパイロット開発において,オペレータは新人,
中堅,熟練者にテストをお願いした。その結果を踏まえ,
本開発を行った。しかし,予算の関係上,初めてこのシ
ステムを使用する人という観点は除外せざるを得なかっ
た。新人の意見としては,メニューのガイダンスなどが
出ると使いやすいなどの意見があったが,それらについ
ては無視せざるを得なかった。

 今後は,パイロット開発の段階で,ユーザ特性を踏ま
えた上で,誰にでも使い勝手がよい上に,操作時間が最
短になるシステムを構築していきたいと考えている。

以上





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